受話器に関連した俳句の例をまとめました。
受話器を含む俳句例
秋晴や受話器の中の声聞え/上野泰
落雷の直後の受話器鳥が鳴く/成井恵子
受話器からしやぼんの如き母の声/林桂
受話器とる妻の濡れ手や初鰹/岡田貞峰
受話器置く虚空泪の始めかな/伊藤三代
俳諧を受話器に切りし春の暮/加藤郁乎
外套重し受話器の底の嘘を聞く/松村多美
春愁の音なくなりし受話器置く/神長裕子
蛇笏忌けふ宋淵の聲受話器より/松村蒼石
貝の香の受話器で繋ぐ浜の雑事/伊丹公子
青き声受話器の底に海ひびかす/前山巨峰
颱風裡受話器の底の声にすがる/中島斌雄
受話器から世間洩れ聞き冬籠る/谷口東人
受話器とる寒泉そこに奏でゐて/木村蕪城
受話器とる手の青あざや走梅雨/仙田洋子
鶏交るしろき受話器に中毒して/攝津幸彦
黄落や或る悲しみの受話器置く/平畑静塔
受話器置く耳まだ燃えて新社員/小島昌勝
わが受話器良夜の友を待てりけり/永井龍男
フリージア受話器を置きし時匂ふ/西村和子
俳句例:21句目~
万愚節雲のかたちの受話器とる/上田日差子
受話器手に何でも脚色ゆすら梅/近藤三枝子
春燈や息あるごとき夜の受話器/渡邊千枝子
澄む秋や受話器の奥のノクターン/中根千夏
癌の兄声音しずかに受話器を来る/西東三鬼
着ぶくれてをるらしき声受話器より/関口謙太
愛ほろびしのちも受話器の黒懼る/樋口喜代子
風の中受話器の底にとどいた声だ/栗林一石路
火のついた受話器軍艦が見える部屋/伊丹公子
かたつむり受話器鳴るとき消えてゐる/柿本多映
受話器おいて夜寒の背中ありにけり/樋口千恵子
受話器に叱られ九官鳥となっている/八木三日女
受話器置き夜なべどころでなくなりし/玉井旬草
受話器据わる空をもたない鳥たちに/林田紀音夫
受話器置くからだのどこかもみじして/岸本マチ子
サマードレスの腕が伸びきり受話器とる/河野多希女