遺書に関連した俳句の例をまとめました。
遺書を含む俳句例
遠く湧く夏雲遺書は一俳誌/原裕
寒昴鉛書きの妹の遺書/角川春樹
終戦忌声なき声の遺書無数/伊東肇
朝顔や絵日記最終頁の遺書/仁平勝
寒昴鉛筆書きの妹の遺書/角川春樹
群うごく遺書の館や神無月/脇本星浪
柿の花一兵たりし父の遺書/今田清乃
遺書となる葉書一枚敗戦日/森田和子
兵の遺書簡潔に松色変へず/工藤義夫
遺書いまだ裂かず直さず秋深む/遷子
遺書父になし母になし冬日向/飯田龍太
遺書封ず南風の雲のしかかり/加藤楸邨
父に遺書なし蓑虫が貌出して/村上高悦
睡蓮の真白な遺書水浸きけり/丸山嵐人
われに遺書なし凍港に鴎飛ぶ/小澤克己
遺言と遺書とのちがひ花沢瀉/塚本邦雄
一通の遺書となりたる文曝す/合原/泉
人の手に扇ひらひら遺書もなし/上村占
冬空の青一枚を遺書とする/桜木美保子
笹鳴や遺書は十七文字で足る/植村幸北
俳句例:21句目~
夏菊や遺書の多くは父母讃へ/川崎慶子
笹鳴や鉛筆書きの妻の遺書/三村太虚洞
身に入むや尚々書きの一揆遺書/森田峠
子の日誌遺書として読む夜の秋/村上曼
花冷や句集おおかた遺書めきて/山口剛
若き等の遺書に黙しぬ知覧夏/黒滝恒子
蝉しぐれ遺書は枕の下にあり/中嶋秀子
身に入むや巻紙長き乃木の遺書/森田峠
遺書のごと冬の空より一羽毛/鈴木鷹夫
出家には遺書などいらぬ花八手/無着成恭
遺書かいて心静かに柿を剥く/小松崎爽青
遺書未だ寸伸ばしきて花八ツ手/石田波郷
遺書書くや入院前夜しぐれつゝ/相馬遷子
胼の手に託すや遺書を信濃路へ/加藤秋邨
空蝉や人目にさらす殉死遺書/平井さち子
夏葱は遺書の余白に似てゐたり/栗林千津
羊水の磨くコクトーの遺書ならん/須藤徹
遺書一行満月をゆくかたつむり/白澤良子
遺書一枚外階段を降りてくる/渡辺誠一郎
遺書のように馬の毛残る冬の壁/大井雅人
俳句例:41句目~
戯れの遺書は螢のことばかり/小泉八重子
春昼の遺書も遺書めくものもなし/安住敦
梅雨寒の母を頼むと遺書一行/冨田みのる
遺書かきし筆そのままに秋の暮/小林康治
雪の上に金をこぼすそれが遺書/栗林千津
青梅雨や妻への書翰遺書めきて/伊東宏晃
鳥引きにけり整然と遺書の文字/篠崎圭介
夕焼に遺書のつたなく死ににけり/佐藤鬼房
海嘯も激雨もおとこの遺書ならん/折笠美秋
秋の空かたむきながら鳥の遺書/磯貝碧蹄館
竹札に遺書を思へる月夜かな/長谷川零餘子
雪原の平らに書かれし遺書ありき/寺田京子
蝉の遺書開かず柩車行方知れず/小泉八重子
遺書抱へ来てこの旅の清水かな/中塚一碧樓
遺書書けば遠ざかる死や朝がすみ/相馬遷子
遺書めきしあとがきを読む十二月/山崎冬華
鉛筆の遺書ならば忘れ易からむ/林田紀音夫
かなかなや二文字のみの兵の遺書/佐藤博重
セルを着て遺書は一行にて足りる/寺田京子
遺書を裂くやうに揚羽を殺しめけり/須藤徹
俳句例:61句目~
黄のハガキ定形ギリギリの遺書/五十嵐研三
なやらひや日記書き継ぎ遺書めくも/巌谷小波
なつかしく遺書の曝書に参りけり/河東碧梧桐
虫しぐれ冴ゆとしづかに遺書は言へり/瀧春一
寒月のわれふところに遺書もなし/富澤赤黄男
はまなすや大トルストイに遺書二つ/岩田昌寿
守られぬ遺書かも知れず明け易し/中戸川朝人
蝸牛遺書ものこさず消えにけり/松岡ひでたか
鴎外の遺書を碑に読む沙羅あかり/白井/香甫
菊うらら遠き日の遺書裂きてをり/鷲谷七菜子
遺書にして艶文、王位継承その他無し/加藤郁乎
鷹女忌やをんなは遺書を書かざりし/糸山由紀子
身に入みぬ遺書とも見ゆる散らし書き/後藤比奈夫
思ふさま生きしと思ふ父の遺書に長き苦しみといふ語ありにき/清水房雄