愛憎に関連した俳句の例をまとめました。
愛憎を含む俳句例
愛憎や鮭雑炊の塩加減/上村占
愛憎のかくて眩しき翁草/石昌子
人形に愛憎すこし冬籠/後藤夜半
愛憎の夢も現も行秋ぞ/小畑一天
愛憎の炎我にも鵙猛る/柴田奈美
愛憎を母に放ちて秋に入る/桂信子
愛憎や卓上に吹く虎落笛/塚本邦雄
愛憎の誰彼とほし初蚊遣/伊藤孝一
草笛や愛憎愛の方へ吹く/本多静江
明易や愛憎いづれ罪深き/西村和子
愛憎やたぐれば逃ぐる毛糸玉/三須操
愛憎の果ての夜桜見て歩く/小林康治
愛憎の満ちて白玉だけ残る/対馬康子
愛憎の起伏なき日や柿吊す/仙田洋子
愛憎はこころの要いわし雲/篝ゆう子
愛憎は紙一重なり罌粟の花/桑野英彦
カンナ朱に神の愛憎いづれなる/岡本眸
グラヂオラス妻は愛憎鮮烈に/日野草城
初髪に愛憎淡くなりしかな/石田いづみ
山椒の実噛み愛憎の身の細り/清水径子
俳句例:21句目~
愛憎は蠅打つて蟻に与へけり/子規句集
愛憎の果ての寒さの見え来る/氷高/爽
愛憎や指に振子のさくらんぼ/山本花山
愛憎のいづれたてつづけに草矢/長田等
枯菊になほ愛憎や紅と黄と/久保より江
河豚煮るやひとり呟く愛憎言/石田波郷
河豚鍋や愛憎の憎煮えたぎり/西東三鬼
愛憎がはげしく足は癒えざりし/三谷昭
きりぎりす愛憎二つながら憂し/川口重美
愛憎のかくて薄るる単衣かな/鈴木真砂女
愛憎に耽りし爐をば閉ぢにけり/吉屋信子
愛憎にとほく薄氷見つめをり/つじ加代子
菊なます愛憎つねに表裏なす/稲垣きくの
子の中の愛憎淋し天瓜粉/高野素十「雪片」
愛憎の渦巻く蚊帳は静閑に/北山河「山河」
つくるよりはや愛憎の木の実独楽/橋本多佳子
蝉の朝愛憎は悉く我に還る/石田波郷「鶴の眼」
愛憎一つのドアに二つの鍵を持ち合う/日向野秀策