弁当に関連した俳句の例をまとめました。
弁当を含む俳句例
独弁当香斗もらせ梢の花/調泉
桃咲いて三歳の子の小弁当/林翔
染飯の庄屋弁当菖蒲園/田中英子
枯葎弁当殻を支へたる/小路紫峡
弁当の胡麻散る飯や春隣/小川軽舟
弁当は海桐の花の岬にて/河合大拙
紫蘇匂ふ京弁当や夕月夜/大島民郎
箸の先花見弁当の飯ころげ/上野泰
弁当に玉子焼あり水温む/池田秀水
鯉幟弁当持つて歩きたし/藤田湘子
突堤に弁当とどく鯊日和/佐藤信子
弁当に醤油しみたり山法師/辻桃子
大師けふ弁当閉ぢて入りけり/常矩
娘と二人弁当開く春帽子/熊谷彰子
秋耕の弁当置くや溝の花/久米正雄
尼宮に花見弁当届きたる/山口民子
春の野や女四五人弁当持/正岡子規
野遊の弁当赤き紐ほどく/深見けん二
弁当のパンがわきゐて咳さぞふ/篠原
弁当の二重めでたき花の雨/石川桂郎
俳句例:21句目~
弁当を覗かれている秋曇り/平山道子
弁当を開けば冬の蝿の来る/高浜虚子
早乙女の弁当を覗く鴉かな/正岡子規
烏来る田打弁当置きしあと/高野素十
真昼時弁当部屋のあつさ哉/正岡子規
出先まで花見弁当とどけられ/上村占
種蒔や妻も子も出て野弁当/正岡子規
笹鳴や二段にひらくお弁当/黒田杏子
聖五月石仏の町弁当買う/新宅みさ子
山藤や草刈り鎌に弁当結ひ/宮坂静生
蜃気楼弁当の紐真つ赤なり/小川軽舟
広げたる弁当に降る花吹雪/前原茂子
行先ちがふ弁当四つ秋日和/松永典子
見ぬふりの隣の弁当嫁菜風/上村春子
弁当に醤油のにじみ木歩の忌/渡邉春枝
弁当に日が射す林檎の花の下/細見綾子
花見弁当展げる弥陀の来迎図/楠/節子
弁当にかぶる焚火のほこり哉/角田竹冷
ビル壊す男ら日の丸弁当なり/五島高資
弁当にとびくる虻を叱しけり/岸風三樓
俳句例:41句目~
弁当縁に杣深く入りぬ夏書寺/野村泊月
弁当に牛蒡うれしく笹子鳴く/岸本尚毅
花すもも弁当解けば虻の来る/関森勝夫
弁当の紙飛びたがる花すみれ/辻田克巳
春の弁当を妻も膝にし大裾野/橋本夢道
荒南風や枕草子といふ弁当/小林ふく子
弁当を寄せて大工の焚火かな/矢本/明
植林の弁当を負ひ苗木抱き/青柳志解樹
首に弁当秋の蜂など山が聳え/金子兜太
中年工女冬日笑むごと弁当開く/岩田昌寿
亀鳴いて弁当の箸あらひけり/鹿志村余迷
子に見せて包む弁当木の芽晴/辰巳奈優美
山寺に弁当とゞきぬさくら狩/鈴鹿野風呂
工場弁当眼玉貫かれしなり喰ふ/中台春嶺
煤払ひほかほか弁当運ばせて/小玉真佐子
弁当を持たされ今日へ押出さる/浜野白蓬
弁当に葭簀はちりを落すなり/楠目橙黄子
松過ぎの弁当つめてもらひけり/清水基吉
花見弁当いつも円周上駆ける/相原左義長
若草の湿りに弁当つかひけり/奥田千代子
俳句例:61句目~
げんげんに弁当喰ひ居る女かな/正岡子規
虫どもにから弁当をゆづりけり/藤野古白
冬田鴉よ弁当を食ふところなし/皆川白陀
ひとなかに弁当開き孤立せり/冨山としを
弁当の輪ゴムが飛びし春の芝/吉崎不二夫
野良で食ふ日の丸弁当天高し/小池秋々子
キヨスクに弁当あふれ敗戦忌/七田千代子
顔見世や百合根ふつくらお弁当/草間時彦
下萌えや犬に弁当のぞかるる/水鳥ますみ
弁当くふて青きを踏んで遊びけり/正岡子規
梅弁当に梅散る老いの怖れに似て/伊丹公子
荷をかげに弁当たぶる枯野かな/金尾梅の門
弁当を済ませて美童を折りたゝむ/攝津幸彦
やまんばも来てをる弁当始めかな/上野一孝
空仰ぎ弁当使ふ四迷の忌/中西夕紀「さねさし」
大きな弁当をさげて地突女がかたまつてくる/栗林一石路
越瓜やむかしありける野弁当/山口紫甲「新山暦俳句歳時記」