綿に関連した俳句の例をまとめました。
綿を含む俳句例
一枚は綿の片寄る干布団/飯島晴子
鴛鴦眠る真綿の如き靄の中/和田祥子
古綿を干して山廬の秋深し/岸風三樓
鼡鳴く方へ真綿を伸ばす母/吉田汀史
暖かや真綿の耳の指ざはり/中川四明
綿を干す寂光院を垣間見ぬ/高浜虚子
亡帥亡夫触れて真綿の冬芒/殿村莵絲子
初天神妻が真綿を買ひにけり/草間時彦
古綿の腰萎え蒲団干さずんば/石塚友二
干布団綿の謀議のふくれゆく/金丸敬子
干綿に蓑虫まろび出でにけり/小澤碧童
真綿むく匂ひや里のはひり口/広瀬惟然
真綿売り雁渡るときふり仰ぐ/宮田正和
肩ぶとん真綿といふもの日本に/及川貞
霜月や洩るる馬穴に真綿つめ/石川桂郎
鳥ねむる真綿のごとき刻ならむ/澁谷道
沸々と繭の煮えゐる真綿ひく/橋爪靖人
何やかや干し新綿も一とむしろ/榊原秋耳
制服にしのばせてやる真綿かな/富岡砧女
太陽にいちばん近い綿干す母/磯貝碧蹄館
俳句例:21句目~
手伝うて七つの子あり真綿のし/鈴木花蓑
指揮棒の真綿ぐるみや桐一葉/波多野爽波
摘み綿は繭より白く干されけり/山本八杉
真綿の背時の歩みもなくなりぬ/加藤楸邨
真綿締め大蛇のごとき暑さかな/高澤良一
母死に給ふどれが真綿か白髪か/小寺正三
牧守の女房が干せる真綿かな/栗原義人堂
ははそはの背にかけ給ふ真綿かな/藤井巴潮
夜にうく真綿のごときつつじかな/大西健司
干し綿にしめりがもどり夕千鳥/廣江八重櫻
真綿ひく祖母に手を貸す菊日和/古賀まり子
真綿被し背にこもるもの姉の声/加藤知世子
黒い流血夜干の綿のよれよれに/八木三日女
子の端星真綿の燃ゆるつめたさに/大矢内生気
真綿懸くる天気枝の柿つぶらなり/金尾梅の門
雲引くかに乙女と真綿引きし日はや/中村草田男