物忘れに関連した俳句の例をまとめました。
物忘れを含む俳句例
独行て物忘れせむ花の下/旧国
八朔や旅は寝がちの物忘れ/暁台
もの忘れするたび仰ぐ春の山/黛執
物忘れ多き頭をのせ籠枕/高澤良一
人忘れもの忘れして稲光/赤尾恵以
白玉やかたみに笑ふ物忘れ/手島靖一
物忘れ多くなりけり綿の花/我妻文雄
埋火の灰となりゆく物忘れ/水島/稔
庭に出て物忘れせし雁渡し/藤瀬光子
物忘れしてゐる顔へ春の蝿/馬場白州
初雪や夜着をぬけ出て物忘れ/多代女
もの忘れはげし弟切草咲けば/水田光雄
もの忘れひどくなりたる鯰かな/穴井太
夫婦して物忘れしてしじみ汁/浦野榮一
富士山を仰ぐ白帆の物忘れ/徳永希代子
小鳥来て何やら楽しもの忘れ/星野立子
山笑ふあつけらかんと物忘れ/杉山青風
我宿に物わすれ來て照射かな/蕪村遺稿
物忘れひどき蝿取りリボンかな/志麻茜
袂なる頭巾さがすや物わすれ/黒柳召波
俳句例:21句目~
降るうちや蝉のなかねば物わすれ/子珊
物忘れなど朝顔になくて咲く/松倉ゆずる
炉埃やこのごろとみに物忘れ/石田雨圃子
物忘れひどくなりたる年を守る/村上三良
もの忘れせし手つめたし春の月/松村蒼石
もの忘れしたらん貌や落し角/高橋淡路女
茗荷汁ひらきなほりし物忘れ/村田佳寧子
物忘れするやうな月の夜寒かな/中島月笠
物忘れ増えしと思ふ枇杷喰べて/水津さかえ
もの忘れわらひあひたり春落葉/柴田白葉女
纏ふもの忘れ行く麗ら鶏の中/安斎櫻カイ子
もの忘れしさうに霧の立ちこめて/小田三千代
茅の輪くぐる四捨五入せし物忘れ/田畑はつ枝
もの忘れわらふほかなき薄暑かな/久保田万太郎
杜若是非なき母の物忘れ/戸村勇夫「藍合同句集」