雑踏/雑沓に関連した俳句の例をまとめました。
雑踏/雑沓を含む俳句例
雑踏の更に雑踏初戎/新子禎自
盆僧の羅硬し雑踏裡/殿村莵絲子
雑踏へ花売車押し入れよ/香西照雄
雑踏におのれを暗く暦売/鷹羽狩行
中国の雑踏に買ふ栗小粒/犬伏幸枝
雑踏の三社祭が動きゐし/稲畑汀子
雑踏に托鉢の鐘白露かな/松浦都也
桜餅買ひ雑沓に流されぬ/宮坂静生
懐手して雑踏を逆らへる/浜田和子
白日傘すぐ雑踏に紛れけり/中里孝
祭馬ひいて天満の雑沓に/土山紫牛
雑踏と別に空あり揚花火/稲畑汀子
雑踏を一直線にパナマ帽/山田一男
雑踏に人影交錯して冬へ/谷口えい子
雑沓を出て碧空の寒さかな/中島月笠
歳晩の雑踏故人まぎれぬる/山口青邨
水仙の香の雑踏の中にあり/石田郷子
雑沓を見て傘役の日向ぼこ/西本一都
雑沓の中に草市立つらしき/高浜虚子
雑踏の中の孤独や春愁い/井上かつ枝
俳句例:21句目~
赤い羽根つけ再びの雑踏に/小島左京
氷塊を挽く雑沓の中に立ち/右城暮石
雑沓や街の柳は枯れたれど/高浜虚子
雑沓に時たま売れてゆく暦/牧野愛子
春の雑踏少年龍を思い立ち/和田悟朗
雑踏が祇園祭となりにけり/稲畑汀子
蒸鮓の浪速の湯気を雑踏に/藤村克明
雑踏を抜け敗戦の日の画廊/門みのる
雑踏や佞武多を惜む人々に/佐藤静良
雑踏や街の柳は枯れたれど/高浜虚子
桃売の夜の雑踏ににほふなり/辻桃子
雑踏を出て来し胸に赤い羽根/長田等
雑踏を夫にかばはれ初戎/上野美代子
雪ながら初金毘羅の雑沓に/池田光枝
野いばらは聖母の龕や雑沓に/小池文子
雑沓の吉兆にふれ傘にふれ/田畑美穂女
雑沓の名残り猶あり夕月夜/中口飛朗子
骨董もならべ雑踏初金毘羅/小川濤美子
雑踏に捨てし愁ひや柳散る/鈴木真砂女
雑踏に童女の手套踏まれづめ/品川鈴子
俳句例:41句目~
雑踏のお閻魔さまへ汗かきに/山口青邨
雑踏のなかにあがる手黄落期/千葉皓史
雑踏のみるとみらいの松の内/小山耕吟
雑踏も潮のにほへり一の酉/蓮尾あきら
夕暮を負い雑踏のひとりたり/鳴戸奈菜
棕梠の日の雑踏に喉乾きけり/柏原眠雨
雑踏や桐の一葉に敲かれし/鈴木六林男
日記買ひ夜の雑沓に紛れけり/星野高士
父の日の余りし刻を雑沓へ/友永佳津朗
竪機の音かと雑踏を抜ける風/伊丹公子
羽子板市の雑踏にゐて首寒し/永方裕子
雑踏を抜け寺町へ蕪村の忌/大山清治郎
雑踏を足で見ているはつなつ/金城けい
雑踏を顔の流るる羽子板市/片山由美子
追儺会のこの雑踏に鬼もゐる/塩川雄三
雪祭去り雑沓を持ち去りし/嶋田摩耶子
転勤雑沓駅の硝子は耳で埋まる/寺田京子
雑踏をゆく牡蠣提げし右手冷え/佐野美智
母の日の来る雑踏裡塩を買ふ/殿村莵絲子
ポインセチア雑踏の踏む力かな/瞳/一如
俳句例:61句目~
雑踏に紛れきれざる寒さかな/片山由美子
雑踏を見てゐる屋根の師走猫/猿橋統流子
ゆく年の娼婦雑沓にまぎれぬる/岸風三楼
雑踏の渦くぐり抜け日記買ふ/佐藤美恵子
うつつや冥き無言の雑踏地蔵盆/成田千空
雑踏へ鵙の鋭声がきらきら降る/坂戸淳夫
古書街の雑踏というわすれもの/高橋比呂子
足袋脱ぐや汝が肩埋めしかの雑踏/香西照雄
船頭帽子かぶつて冬夜の雑踏へ来た/大橋裸木
雨の雑踏雨衣より垂れ労働者の手/鈴木六林男
香奠懐ろにして冬夜の雑踏を抜ける/大橋裸木
雑踏やラムネの泡と空の色/永方裕子「麗日」
羽根折れ天使みた教会バザーの雑踏で/伊丹公子
梅雨の雑踏よりチェーホフ祭に加はる/伊藤敬子
駅雑沓どこかで栗のはなさける/『定本石橋秀野句文集』
八月の雑踏に来てわが耳へもっとも近き死者を呼び出す/田島邦彦