山霧に関連した俳句の例をまとめました。
山霧を含む俳句例
引窓や温泉の山の霧の洞/黄吻
穂黍まだ青きに早も山の霧/原石鼎
山霧の裾の重さよ栃の花/橋本榮治
山の霧降り来て濡らす袋角/岸田稚
山霧は夜も峡浸すほたる籠/有働亨
山霧を払ふ扇の寒かりき/尾崎紅葉
山霧や虫にまじりて雨蛙/飯田蛇笏
山の霧下り来て包む港町/飯田京畔
山霧を行かせ蒼白なり氷河/有働亨
厨房のナイフ曇らす山の霧/桂信子
待宵の四山霧ふかき外厠/西島麦南
虎尾草に黒姫山の霧匂ふ/亀田英子
山霧の梢に透る朝日かな/黒柳召波
山霧に幹の如くに我は濡れ/上野泰
山の霧枯草道の先きを断つ/佐野良太
山の霧池の霧降るゴルフ場/永川絢子
一散の山霧を漕ぐ登山杖/上田日差子
山の霧罩めたる柿の雫かな/飯田蛇笏
五月雨の山霧暗し枯つゝじ/中島月笠
初蝶を見し夜山霧水に浮く/松村蒼石
俳句例:21句目~
山霧か硫気か地獄枯るる中/水原春郎
山霧が國鎖したる薩摩みち/筑紫磐井
山霧や宮を守護なす法螺の音/炭太祇
山霧となり霧山となり明けし/滝青佳
月見草別れてのちの山霧は/臼田亞浪
朴や白恋の山霧しげきかな/河野南畦
森林浴山霧に耳洗はれぬ/市村究一郎
山霧に線香曲り阿闍梨墓/佐藤夫雨子
茜掘山霧ささとにほひ来る/小亀双二
身体は山霧であり金剛であり/佃悦夫
山霧に遭ふ魂を持つゆゑに/手塚美佐
黍畑の山霧粒をなせりけり/山口草堂
電線の二本はさみし山の霧/佐野良太
山霧にしめりて明き燈籠かな/西島麦南
山霧や黄土と匂ひて花あやめ/芝不器男
木の芽山霧右往して左往して/行方克巳
湖霧も山霧も罩むはたごかな/飯田蛇笏
山霧の音となりけり強羅駅/鈴木しげを
山霧に釣船草の航くごとし/米山千代子
山霧の深しと思へば眠りたり/太田鴻村
俳句例:41句目~
山霧に掻き消えし子は霧の子か/大串章
山霧に蛍きりきり吹かれたり/臼田亞浪
火の山の霧ふりかぶり登りゆく/上村占
環山の霧ひしひしと薄紅葉/鈴木しげを
秬しごく音のあらくて山の霧/西村公鳳
山霧のしげきしづくや真柴垣/飯田蛇笏
山霧の流れ施行のもの濡らす/江口竹亭
筒鳥やみるみる晴るゝ山の霧/秋山万里
白塊の山霧が押し寄す山母子/高澤良一
舟解いて山霧にこぐや河下へ/飯田蛇笏
山霧をかすかにダムの花の渦/桂樟蹊子
茸の旬をはりし山の霧の粒/宇佐美魚目
杉の秀に山霧の湧く送り梅雨/島田芳恵
山霧の引きゆく迅さ小鬼百合/星野恒彦
山の霧村に来てをり診察日/小池龍渓子
もみずるに一役買って山の霧/高澤良一
梅雨入りや山霧あほつ杣の顔/前田普羅
三日居りて山霧のみの葛の花/水原秋桜子
山霧にときをり隠し湯の匂ひ/伊藤トキノ
山霧に蜻蛉いつさりし干飯かな/飯田蛇笏
俳句例:61句目~
ふみ迷ひしやみよし野の山霧に/稲畑汀子
山霧のかんがり晴れし枯木かな/飯田蛇笏
仆れ木やかくて朽ちゆく山の霧/林原耒井
山霧や駕篭にうき寐の腹いたし/野澤凡兆
早発ちの炉辺に吹き入る山の霧/木村蕪城
ふらふらと草食べている父は山霧/西川徹郎
山霧にあせたる欄に蚊帳を干す/水原秋桜子
山霧にうたれ亡びし種族かな/長谷川かな女
山霧のつひに障子を濡らしけり/今井杏太郎
起き出でて山霧濃きをたれか言ふ/西村和子
棺にひそかに山霧を詰め運ぶ数人/西川徹郎
あしびきの山の霧降る湖施餓鬼/加倉井秋を
枳殻踏む臭さ山霧さつと来し/飛鳥田れい無公
山霧のわきくるとんぼ群るゝかな/久保田万太郎
湧きしときのかたちのままに山の霧/加倉井秋を