看取に関連した俳句の例をまとめました。
看取を含む俳句例
白靴の汚れ通ひの看取妻/鈴木子
看取る者同志の話秋団扇/辻井のぶ
春着着る心も少し看取妻/稲畑汀子
春著着る心も少し看取妻/稲畑汀子
露の息戻るを信じつつ看取る/安原葉
九十の母を看取りし茶立虫/中島ふき
人の末看取る縁や後の月/今泉三重子
初桜長き看取りを幸とせむ/中島京子
汗のもの山と洗うて看取妻/山田不染
寒紅に疲れを隠し看取妻/飯田波津恵
明易し看取女おのが髪を梳く/森田峠
鳥帰る看取り二十日の仏かな/溝口昭二
母看取る夜は冬芽と呼吸して/小林みさ
そばに居ることが看取りよ明易し/汀子
障子閉め切り終焉の母看取る/渡辺二郎
長き夜を看取るも旅の縁なる/山田弘子
長き夜の街の灯見つゝ看取妻/稲畑汀子
看取る掌の熱さ嫌はれ明易し/嶋田麻紀
看取る身の命あまさず枯木星/青山久女
蒼穹に花桐うする看取りの窓/渡部一陽
俳句例:21句目~
花の雨看取りの椅子を窓に寄す/高山檀
花の訃をききゐて吾も看取妻/稲畑汀子
日々通ふ看取の道も恵方かな/橋本榮治
更衣まだし給はず看取る母/冨田みのる
老妻を看取る朝寒そゞろ寒/鈴木洋々子
看取居の膝にやせゆく毛糸玉/鈴木文子
この人を看取ると決めし春の雪/石山一子
冬隣癒ゆるめどなき姉看取る/阿部美恵子
囀や病むも看取るも眠りゐて/藤井寿江子
夜濯の音を落して看取りかな/畠山えつ子
寒暁の椅子寝の父に看取らるる/朝倉和江
明日知れぬ命を看取る松の内/増田すみ子
水無月の夜の明るさや父看取る/大石悦子
湯気立てることも忘れず看取妻/鈴木蘆洲
看取より解かれし冬を淋しめり/稲畑汀子
看取らるる重き月日や夏も過ぎ/伊東宏晃
看取りゐて桃の節句を忘れゐし/川口咲子
看取る日の目鼻が欲しき紙雛/蓬田紀枝子
鍵かけていづる看取りや竜の玉/帰山綾子
看取りより解かれし冬を淋しめり/稲畑汀子
俳句例:41句目~
看取りより解かれし蚊帳の別れかな/手塚金
看取りにも平穏の日々小鳥来る/田中あかね
看取り寒し笑ひは胸にきてとまる/石原八束
看取り抜け来て花人になりきれず/小倉通子
看取り来て夜更けの濯ぎ妻のもの/大友龍子
看取る夜の風に乗り来る盆の唄/下地/慧子
看取る夜や埋火のごと母と寝て/磯崎ゆきこ
看取る手を休めて聞けり祭り笛/中島美都里
百日紅日に日に散るを看取るごと/高澤良一
看取りにも終る日のあり秋夕焼/今井千鶴子
白鳥帰る長き看取りの窓辺かな/亀掛川永子
病む児より看取りの母の夏やせて/飯田弘子
笑みかへすのみの看取りや春寒く/西村和子
手負ひ鳥看取りし後の涼なるか/鳥居おさむ
菩薩と夜叉こもごも看取り明易し/木村ふく
銀河幾夜母の看取りに明け暮れし/宮坂静生
夕顔に看取り明りのおよびをり/藤井寿江子
スエタ著て妻を看取れる老教授/神前あや子
ひそやかに夜食をとりて看取妻/副島いみ子
鳥帰る終の看取りとなりし日に/佐々木経子
俳句例:61句目~
看取る手と看取らるる手や春さそふ/中島京子
看取る者看取られる者ちちろ鳴く/阿部美恵子
母の日も母さえ呼べぬ子を看取る/高橋富久江
木の実降る音にも覚めて母看取る/勝山/耕南
手袋を脱ぐより看取りごころなる/柴田慧美子
看取りの灯暗くせしとき露けしや/石井とし夫
シャボン玉吹いて看取りを忘れをる/山口幸子
雪解川ふたつ越えゆき看取るかな/谷口亜岐夫
日々看取るいのちうれしく日記買ふ/植村やよひ
うすばかげろふ昼は看取りの者もたぬ/寺田京子