「鯉幟」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「鯉幟」について
【表記】鯉幟
【読み方】こいのぼり
【ローマ字読み】koinobori
子季語・関連季語・傍題・類語など
・五月鯉(さつきごい:satsukigoi)
・吹流し(ふきながし:fukinagashi)
・吹貫(ふきぬけ:fukinuke)
・矢車(やぐるま:yaguruma)
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季節による分類
・「こ」で始まる夏の季語
・「夏の行事」を表す季語
・「初夏」に分類される季語
月ごとの分類
鯉幟を含む俳句例
鯉幟数枚の田に風遊ぶ/原裕
下町や省線電車鯉幟/京極杞陽
鯉幟古び気安く泳ぎをり/柏禎
鯉幟黒き片目をして廻る/篠原
煙突の林の中の鯉幟/野村泊月
堤より低き家並の鯉幟/三好達治
鯉幟わが青春に戦あり/伊東宏晃
鯉幟沖を黒潮とほりゐる/中拓夫
鯉幟胸にては折れまた直る/篠原
川上のさらに川上鯉幟/辻田克巳
畳まれて眼の金環や鯉幟/有働亨
金田の水の町にて鯉幟/山口誓子
鯉幟翻るたび眼が光る/笠野千居
鯉幟槐の幹に大あほち/西山泊雲
鯉幟揚げる老人と月山/金子皆子
鯉幟弁当持つて歩きたし/藤田湘子
鯉のぼり兎に影を落しけり/大串章
鯉幟岳麓の田植始まれり/渡邊水巴
鯉幟子を制しつつ母紅潮/香西照雄
鯉幟夕ベたれけり木槿垣/飯田蛇笏
俳句例:21句目~
煙あげて塩屋は低し鯉幟/杉田久女
一太郎二太郎三太郎鯉幟/川村紫陽
万の眼を集めて千の鯉幟/寺田順子
みちのくは小家小家の鯉幟/原石鼎
不況風吐かせて畳む鯉幟/佐藤晴生
鯉幟創刊号のゲラ上がる/吉原文音
風吹けば来るや隣の鯉幟/高浜虚子
前山の翠へんぽん鯉幟/小原菁々子
力ある風出てきたり鯉幟/矢島渚男
鯉幟サイロに立てて牧広し/柊愁生
鯉のぼり布の音立て裏日本/秋沢猛
移民史の三代となり鯉幟/田口梅子
鯉幟跳ねて全身麻酔覚む/品川鈴子
家格見せ忍野の里の鯉幟/森田公司
寄らで過ぐ港々の鯉のぼり/森田峠
鯉幟麦の疾風に逆立ちて/鈴木花蓑
夕月やあぎと連ねて鯉幟/三橋鷹女
韮山や昔の町の鯉幟/長谷川零餘子
大学の中に人住み鯉幟/富田閑牛子
愛しあふごとく無風の鯉幟/矢島恵
俳句例:41句目~
鯉幟牛の分厚き泥乾く/殿村莵絲子
大空の波にのりけり鯉幟/樋口明子
喉首をぐるりの皺や鯉幟/如月真菜
頬に雨渡れぬ島の鯉のぼり/渋谷道
風といふ早瀬にいどむ鯉幟/上村占
落人の里高々と鯉のぼり/渡辺恭子
鯉幟より輝きて城ひとつ/成瀬正俊
鯉幟の尾のふれる音屋根通る/篠原
桐箱にひたたたまれて鯉幟/辻桃子
鯉幟飜るべき良夜なり/相生垣瓜人
鯉幟影は離れて田に泳ぐ/渡会昌広
鯉幟ちさき干物風が丸め/香西照雄
鯉幟をり~うつる苗代かな/野村泊月
その眼幾重なすらむ鯉幟/相生垣瓜人
だるい足組めば遠くに鯉幟/菖蒲あや
のけぞつて白き腹見す鯉幟/柴田奈美
鯉幟一気に空のものとなる/西岡正保
鯉幟仔馬に影を蹴られけり/藤野/力
鯉幟大垂りに垂れ昼餉せり/永井龍男
鯉幟大本営発表に風澄みて/渡邊水巴
俳句例:61句目~
鯉幟影は花菜を滅多打ち/田川飛旅子
鯉幟捩れて腹が尾を呑み込み/中田剛
初孫のいやいやしてる鯉幟/大村恭子
古稀翁にへんぽん赤き鯉幟/山口青邨
鯉幟立ちて菜園みづ~し/水原秋櫻子
抱きし子に鯉幟の柱を抱かしむ/篠原
鯉幟雨に力を抜かれけり/市川ふじ子
鯉幟風を胎むよ墓辺の家/田川飛旅子
塵芥に空瓶光る鯉のぼり/百合山羽公
川風に壁塗る庭の鯉のぼり/平間彌生
揚揚塔けさ鯉のぼり泳がせて/樋笠文
新しき夫婦夜景の鯉のぼり/中山純子
旅の身は電柱に倚り鯉幟/中村草田男
日本の空の長さや鯉のぼり/落合水尾
未熟児に誕生日来て鯉幟/大塚とめ子
水使う上に子の空鯉のぼり/和知喜八
泳ぎつく高さがありて鯉幟/豊田淳応
産衣干す家の大きな鯉幟/嶋田摩耶子
真上なる鯉幟まづ誘ひけり/中村汀女
社家町や樗の花に鯉のぼり/飯田蛇笏
俳句例:81句目~
聖塔の高さに迫る鯉のぼり/朝倉和江
自己主張して泳ぎだす鯉幟/金堂豊子
花嫁歩む天にふくらむ鯉幟/谷野予志
都塵濃し緑恋しと鯉幟/竹下しづの女
釈迦岳の襞かげ濃かり鯉幟/高島筍雄
風景にならうと泳ぐ鯉幟/関口比良男
風紋に鯉幟立ちこどもの日/西本一都
鯉のぼり一生の山背負ひけり/大串章
鯉のぼり目玉大きく降さるる/上村占
鯉幟きそふ緑のありてよし/後藤夜半
鯉幟たたむに腹に風のこりゐし/篠原
くらくらと下りてくるなり鯉幟/辻桃子
鯉幟村に居残る子になれよ/有馬いさお
吾子とわれ故山に立つる鯉幟/相馬遷子
よその子を交へず遊ぶ鯉幟/猪俣千代子
一村の干しものあふれ鯉幟/松田ひろむ
不足なく育てし不安鯉のぼり/毛塚静枝
俚び風吹くと脈打つ鯉のぼり/佐川広治
吾子あらば金の鯉幟を立てん/後藤綾子
呱々の声聞ゆる山家鯉のぼり/薮脇晴美