「古茶」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「古茶」について
【表記】古茶
【読み方】こちゃ
【ローマ字読み】kocha
子季語・関連季語・傍題・類語など
・陳茶(ひねちゃ:hinecha)
–
季節による分類
・「こ」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「初夏」に分類される季語
月ごとの分類
古茶を含む俳句例
大ぶくやかへり三嶋の古茶碗/不二
古茶含み白眼以て世に対す/石塚友二
古茶好む農俳人ら来りけり/萩原麦草
倦怠や茶壷に残る古茶の嵩/宇咲冬男
敢て古茶好み文才豊かなり/中村若沙
銀婚はまだまだ若し古茶新茶/山田弘子
晩学や夫としずかに古茶の味/山本多英
濃く淹れて三十年の古茶好み/染谷秀雄
壺の底たゝくや古き茶の名残/正岡子規
古茶の香をわすれに山の時鳥/浜田酒堂
人々と新茶ひとりの今を古茶/皆吉爽雨
嫁が来て葛藤始まる古茶新茶/堀可衛子
俳諧の虚実を見たり古茶新茶/正岡子規
新茶入るゝ袋に古茶の名残哉/正岡子規
友来れば病をかくす古茶の罐/石川桂郎
古茶新茶心のまゝに雨読かな/山口水士英
これよりは己一人の為の古茶/佐々木六戈
古茶新茶折り目正しき村に住み/山田紫水
新茶古茶ときには白湯を独り居は/及川貞
八十八夜古茶の湯加減ていねいに/及川貞
俳句例:21句目~
宿の古茶持参の新茶着きて汲む/皆吉爽雨
古茶淹るゝ妻は妻の座五十年/篠塚しげる
古茶新茶これより先も二人の居/村越化石
しぐるるや古茶に戻れる新茶の香/石川桂郎
ひとり居は刻もゆるやか新茶古茶/井沢正江
古茶の壺身ちかきものゝ一つかな/太田閑子
古茶新茶茶筒すつぽり入れ替ふる/松木/元
古茶をのむ人むつかしき好き嫌ひ/神吉拓郎
古茶を汲み夫婦老ゆるに逆らはず/岡野洞之
新茶古茶几辺にありて病めりけり/奈良鹿郎
新茶青く古茶黒し我れ古茶飲まん/正岡子規
女夫仲いつしか淡し古茶いるる/松本たかし
水のごとき交りもよし古茶新茶/大橋櫻坡子
湯ざましを満たして二つ新茶古茶/亀井糸游
旅の子に残されしごと古茶いるる/岡田和子
筒ふれば古茶さん~と応へけり/赤松ケイ子
話す事逢へば少なく古茶を呑む/甲斐とくえ
古茶たきて香を聞くことも雨読の日/桑田青虎
古茶の木ちるさかりとてあらざりき/飯田蛇笏
生きざまはもう変へられず古茶新茶/田中政子
俳句例:41句目~
新茶とも古茶ともいはず茉莉花茶/後藤比奈夫
すこし残るいよ~古茶となしにけり/小杉余子
夫の機嫌取らなくなりし古茶ふふむ/渡辺恭子
酔ひ醒めの古茶は我家の常として/稲畑廣太郎
田を植ゑし夜はじつくりと古茶をのむ/萩原麦草
古茶の壺いつの世よりと父も知らず/鈴木勇之助
きくとなく愚痴の聞き役古茶をのむ/中溝八重子
侘びを知れ寂びを知れよと古茶の云ふ/相生垣瓜人
夜半ひとりけむりのように古茶を汲む/宇佐美輝子
老いぬれば恬淡がよし古茶新茶/大橋桜坡子「鶴唳」
机ひとつおかば住みよし古茶淹るゝ/『定本石橋秀野句文集』