「帰省」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「帰省」について
【表記】帰省
【読み方】きせい
【ローマ字読み】kisei
子季語・関連季語・傍題・類語など
・帰省子(きせいし:kiseishi)
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季節による分類
・「き」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
帰省を含む俳句例
帰省子の学問古りぬ草の家/原裕
帰省子に朝一臼の蓬餅/松村蒼石
万歳の三河の国へ帰省かな/風生
帰省子の言葉少なし柏餅/岡和子
大杉の真下を通る帰省かな/黛執
帰省子に年々ちさき母のあり/篠原
母恋の長子長身帰省せり/脇本星浪
夕焼の麓の村の帰省かな/田中冬二
凍光や帰省す尿を大胆に/飯田龍太
帰省子を眠らせ山河拂騰す/平吹束子
揺籃の八丈富士に帰省かな/松藤夏山
帰省便り玄海灘に友釣ると/高澤良一
月見草萎れし門に帰省せり/前田普羅
朝庭に立ちて帰省の裸白し/谷野予志
萬歳の三河の國へ帰省かな/富安風生
帰省子に鉄の翅擦る源五郎/高井北杜
黴臭き納戸今なき帰省かな/佐藤綺峰
帰省して杭一本の重さ負ひ/栗林千津
帰省して父の代りの往診に/中村聖鳥
帰省子のひと日凭るる太柱/清水節子
俳句例:21句目~
帰省子のみやこ恋しき麒麟草/森澄雄
帰省子の去にて再び妻無口/角南旦山
帰省子に一抹の霧夜明の藪/山口冬男
帰省子に北窓よりの風青し/相馬遷子
帰省子の抛りだしたる手足かな/黛執
帰省子の湯殿にて足洗ふ音/辻田克巳
帰省せし顔新米の湯気の中/井沢正江
帰省子の胸幅広し農継がず/宮田/勝
帰省子の車がひろふ畑の母/白岩三郎
帰省子の電話の相手母は知る/森田峠
帰省子の鞄に入れる針と糸/松田吉憲
帰省子の駅にぬきんで弓袋/本多静江
帰省子へ声ひた押しに夕蛙/羽部洞然
帰省子に父深井戸の西瓜揚ぐ/有動亨
帰省子や父に替りて渡舟守/大森積翠
前山は月下の古墳帰省せり/鈴木豊子
帰省二日古き自転車ひきいだす/那須泰
ぐんぐんと山が濃くなる帰省かな/黛執
露草の当麻路ゆけば帰省めく/亀井糸游
門前に家鴨を追ふは帰省子か/田中冬二
俳句例:41句目~
釣人に声掛けてゆく帰省かな/黛まどか
諸共に帰省すれども相逢はず/高濱虚子
虚子記念文字館に帰省かな/稲畑廣太郎
干網の香の夕風に帰省待つ/田守としを
たま棚に帰省の机ならべけり/会津八一
つれだてる老母の小さき帰省かな/篠原
帰省行員より埋め休暇予定表/鈴木栄子
萩の雨なゝめに白き帰省かな/岸風三楼
なれそめは帰省列車の手弁当/細谷定行
帰省子と書物往来ありにけり/下村槐太
帰省子に浦島草の色濃きも/今井千鶴子
帰省子にその夜の故園花幽き/飯田蛇笏
茄子畑に夕風渡る帰省かな/鈴木真砂女
わが土産われも食ひて帰省の夜/大串章
帰省子の次男の奴が赤ふどし/岩木躑躅
自転車で駅まで運ぶ帰省の荷/高澤良一
祭幟帰省の頬打ちかつ撫でて/香西照雄
帰省子の子連れとなりし大鞄/影島智子
畔火進む帰省の電車遅ければ/香西照雄
仏壇の水替へてゐる帰省の子/長野啓女
俳句例:61句目~
帰省子の声も立居も嵩たかき/小川節子
帰省子の声の加はる太鼓打/岡部名保子
父母の闇をおそるる帰省かな/橋本榮治
埠頭いま帰省の錨しぶきあぐ/矢野聖峰
帰省子に山羊前脚を柵に掛け/池上樵人
帰省子に岐阜提灯を吊る老母/松藤夏山
島の灯の中に母の家帰省かな/武田孝子
母語り帰省のわれを眠らせず/白幡千草
帰省してまづ水をくむ松の花/田中冬二
母の手の葱の匂へる帰省かな/坂本謙二
帰省子に月夜の富嶽雲おびず/西島麦南
帰省して青田をめぐる藁帽子/寺田寅彦
母と泣きし帰省も遠き昔かな/河野静雲
母あはれ帰省子迎ふ髪たばね/岸風三楼
花つけて畦みな眠き帰省かな/飯田龍太
帰省子に杉山にほふ胡瓜もみ/野澤節子
星かげの七夕ちかき帰省かな/石原舟月
帰省せぬ子の灯か一つ寮の窓/亀井糸游
帰省せぬ寮生ひとり門を掃く/亀井糸游
帰省せり蝿取リボン吊る家に/高澤良一
俳句例:81句目~
帰省子に村の不良といふが優し/大串章
帰省の子畑の母に手をひろげ/室谷匡洋
新婚のやぼ用のある帰省かな/橋本榮治
新しき橋を渡りて帰省かな/遠藤若狭男
帰省子のまづ一杯の水を干す/田原央子
帰省子の心は先に著いてをり/板東福舎
首なげて帰省子弱る日中かな/飯田蛇笏
鬼やんま帰省の土産かすめ飛ぶ/大串章
どこまでも海星を踏んで帰省かな/辻桃子
はじめてのごと大山河帰省子に/皆吉爽雨
はればれと冬木枝ふる帰省かな/西島麥南
ひとつ家に今も井戸鳴り帰省道/亀井糸游
ドア開いて何時も突然帰省の子/高橋笛美
何よりも母に逢ひたく帰省かな/木水存女
凭りかかる柱のありし帰省かな/阿部静雄
夕顔に怒濤とどろく帰省かな/鈴木真砂女
太箸や帰省子の名もしつかりと/竹内光江
帰省して葬ひに三度来し清水/中塚一碧樓
帰省するを忘れずに歩く町夜毎/高濱年尾
帰省の子みな立ち去りし七草や/相馬遷子