「蝸牛」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「蝸牛」について
【表記】蝸牛
【読み方】かたつむり
【ローマ字読み】katatsumuri
子季語・関連季語・傍題・類語など
・かたつむり(かたつむり:katatsumuri_)
・かたつぶり(かたつぶり:katatsuburi)
・ででむし(ででむし:dedemushi)
・でんでん虫(でんでんむし:dendemmushi)
・まいまい(まいまい:maimai_)
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季節による分類
・「か」で始まる夏の季語
・「夏の動物」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
蝸牛を含む俳句例
一筆に神書きし渦蝸牛/上野泰
蝸牛程の私の運動量/高澤良一
争はで行き来ふ年ぞ蝸牛/文梁
怠らぬあゆみ恐ろし蝸牛/太祇
俳諧道五十三次蝸牛/加藤郁乎
秋風やたま~土に蝸牛/原月舟
草庵の三幹竹や蝸牛/岩木躑躅
蝸牛や蛙の後の雨つゞき/山肆
詩仙堂雨の扉の蝸牛/田中王城
蝸牛雨の郵便局が混み/宮津昭彦
蝸牛道へ擲ち庭手入/吉良比呂武
竿の上滑り易くて蝸牛/高澤良一
蝸牛生涯かけて飲む薬/斎藤道子
文鎮の如く芭蕉に蝸牛/京極杞陽
持ありく家はいづくへ蝸牛/蝶夢
蝸牛水の玉には水の膜/小宅容義
蝸牛に読むは竹取物語/松藤夏山
影高き松にのぞむや蝸牛/炭太祇
蝸牛喪の暦日は過ぎ易し/安住敦
点滴にうたれてこもる蝸牛/蕪村
俳句例:21句目~
芭蕉葉の裏に表に蝸牛/京極杞陽
蝸牛君が方へともゝすしり/雁宕
蝸牛わが薄情の四十面/古舘曹人
先生の鞄より出る蝸牛/光成敏子
夏山や桶に大きな蝸牛/岸本尚毅
箸にうつす桑の中より蝸牛/霞夫
蘭の香や角ふりもどす蝸牛/桃隣
戸袋の節穴ほどの蝸牛/田中美沙
一生の重き罪負ふ蝸牛/富安風生
月明の岩より湧きし蝸牛/田中冬子
朝鮮は蝸牛程の大きさよ/子規句集
木に草に雨明るしや蝸牛/長谷川櫂
来し跡のつくが浅まし蝸牛/炭太祇
枯蝸牛白きひかりのなかの眉/原裕
梅雨寒や屏風を渡る蝸牛/庄司瓦全
殻負へる蝸牛より倖せに/高澤良一
蝸牛や墳にはやての松林/古舘曹人
波の辺に眦つよき蝸牛/宇多喜代子
蝸牛や無学不粋の大地主/福田蓼汀
一日の旅路しるきや蝸牛/正岡子規
俳句例:41句目~
蝸牛や畳を這へる風雅者/野村喜舟
蝸牛や蜆の水をもつてこい/龍岡晋
蝸牛や青山半蔵幽居の間/西本一都
蝸牛妙な明るさ遺しけり/高澤良一
蝸牛寄り易き木ぞ月桂樹/高澤良一
蝸牛幹より剥がす朝餐後/横山房子
角立てゝ立聴き顔や蝸牛/羅蘇山人
仰向きに人運ばるる蝸牛/岸本尚毅
蝸牛渦のぐるぐる颱風裡/高澤良一
蓑虫の角やゆづりし蝸牛/山口素堂
傘にたゝみこみけり蝸牛/横井也有
蝸牛渦の終りに點をうつ/山口誓子
蝸牛版木は蔵に眠りゐて/本居三太
蝸牛玉と変りて冬眠す/百合山羽公
光陰は竹の一節蝸牛/阿部みどり女
蝸牛皆動きをり文書かん/香西照雄
蝸牛の皆動きをり雨の垣/高濱年尾
蝸牛の渦より宇宙膨張説/高澤良一
蝸牛睦む証の殻ふたつ/百合山羽公
蝸牛聖パウロの絵硝子に/細川加賀
俳句例:61句目~
蝸牛の住はてし宿やうつせ貝/蕪村
蝸牛這はせ宿題終りたり/松沢久子
葉より落つ夏満月の蝸牛/目迫秩父
凩となりぬ蝸牛の空せ貝/榎本其角
力まずに過す余生や蝸牛/八谷きく
蝸牛鳴くか雨夜は竹の奥/藤野古白
集金人涼む鳥居に蝸牛/田川飛旅子
蝸牛に石過ちし障子かな/島田青峰
雨漏るや燭して壁に蝸牛/会津八一
喪失の途中にありぬ蝸牛/和田悟朗
でで虫に深淵なせる油壷/高澤良一
落柿舎の時をとどめて蝸牛/長田等
禅林に降り残さるゝ蝸牛/高澤良一
こもり居て雨うたがふや蝸牛/蕪村
でで虫の腸さむき月夜かな/原石鼎
夕月や遠出しすぎし蝸牛/中村明子
夕焼けは神話のほとり蝸牛/橋口等
鬼灯の根に汚れ出る蝸牛/右城暮石
でで虫や水で洗ひし戸の狂/上村占
牧に降る雨は明るし蝸牛/嶋田一歩
俳句例:81句目~
存念は雅馴に遅筆の蝸牛/石原八束
なほ容とどむ朽木に蝸牛/高澤良一
家建てて晩年が来て蝸牛/辻田克巳
寒に入る蝸牛らも石の類/鷹羽狩行
巡礼の遠のくやうに蝸牛/高澤良一
廟裏に生れみ仏の蝸牛/つじ加代子
誘惑の雨でで虫の殻叩く/前川/実
若竹や砂に落ちたる蝸牛/野村泊月
折あしと角おさめけむ蝸牛/炭太祇
摺鉢やこつりと落し蝸牛/小峰大羽
撒水の庭に出てきし蝸牛/高木冨美
日暮から桐の木のぼる蝸牛/原田喬
明るさに海ある記憶蝸牛/木村蕪城
昏れんとし幹の途中の蝸牛/桂信子
蝸牛の角がなければ長閑哉/寺田寅彦
元興寺の鉦鳴つてゐる蝸牛/河合照子
いつの間に近くにをりし蝸牛/岸田稚
いつまでも硝子の裏の蝸牛/森賀まり
水逝くとてのひらにのる蝸牛/桂信子
いまの世にあはぬ男や蝸牛/田中裕明