「歌留多」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「歌留多」について
【表記】歌留多
【読み方】かるた
【ローマ字読み】karuta
子季語・関連季語・傍題・類語など
・歌がるた(うたがるた:utagaruta)
・花がるた(はながるた:hanagaruta)
・いろはがるた(いろはがるた:irohagaruta)
・トランプ(とらんぷ:torampu)
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季節による分類
・「か」で始まる新年の季語
・「新年の生活」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
歌留多を含む俳句例
歌留多読む息づき若き兄の妻/占
日本の仮名美しき歌留多かな/比奈夫
歌留多会老一徹に狙ふ札/下村ひろし
罎詰の梨は冷たき歌留多会/久米正雄
業平と小町の並ぶ歌がるた/下村梅子
学校に畳の間ある歌留多かな/森田峠
歌留多の釈迦坊主揃ひや涅槃講/九石
欝々と歌留多の裏の曇る夜や/久米正雄
歌留多とる忘れたはずの恋心/片山暁子
茸狩や鼻のさきなる歌がるた/榎本其角
歌留多会青き畳の匂ひけり/山口波津女
恋歌の老によろしき歌留多かな/森澄雄
招かれて隣に更けし歌留多哉/夏目漱石
たはやすく恋歌揃へ歌留多とり/辻桃子
掌が飛んで来るなり歌留多取/高澤良一
撥ねとばす一枚恋の歌がるた/加古宗也
虚子歌留多ひろげ作りし人偲ぶ/安原葉
歌がるた眼鏡ばかりや西の組/羅蘇山人
祖母のもの遠き昔の歌がるた/高木晴子
歌留多とる皆美しく負けまじく/高浜虚子
俳句例:21句目~
歌留多会散らばる仮名と戦へり/小西宏子
水を得たのやうに歌留多とる/高岡すみ子
歌留多撥ね白粉の香にほはせっ/正林白牛
とられたくなし歌留多眼にて押へ/不二子
歌留多屋の後家を引出す四分の熱/仁平勝
歌留多取る昔の速さ手に戻り/明石春潮子
一枚の歌留多の砂に埋れんと/波多野爽波
歌留多会廊下の冷えてゐたりけり/岡本眸
歌留多とる声や門前過ぐるとき/岸風三樓
歌留多歌老いて肯ふ恋あまた/殿村菟絲子
恋歌はその声をして歌留多読む/森田公司
花歌留多むかし男は啖呵きり/石田阿畏子
恋の札撫切りにとる歌留多かな/能村研三
雪晴や歌留多の袖をひるがへし/岩田由美
城山を雪ふりかくす歌がるた/大橋櫻坡子
沖休み立て膝海女の歌留多かな/下谷行人
傘寿の師音吐朗々歌留多読む/富樫八千枝
歌がるた一枚失せて年を経ぬ/大橋櫻坡子
座設けや歌留多の蓋の浮きあがり/森田峠
掌に歌留多の硬さ歌留多切る/後藤比奈夫
俳句例:41句目~
胼の手も交りて歌留多賑はへり/杉田久女
炉塞ぎの伊呂波歌留多は遠くなり/宮崎重作
恋は子のものとなりにし歌がるた/矢島久栄
病女たちはげしく歌留多奪ひあふ/萩原麦草
うばはれし紺の裏おく歌留多かな/皆吉爽雨
うんすん歌留多一枚足りぬ蔵の中/宮部鱒太
お手つきに恋の歌留多を繰り返す/稲畑汀子
亡き母の羽織を借りし歌留多かな/岩田由美
二三回とりてなじめり歌がるた/山口波津女
初釜の座を改めて歌留多とる/宇野/氷露子
読み札のいちまいを欠く歌がるた/伊藤白潮
塩田のとある一戸によむ歌留多/佐野まもる
婢の手にとられたる歌留多かな/山口波津女
歌留多すむ今宵の月のありどころ/永田青嵐
歌留多とる哀れみぢかき女帝の世/駒木逸歩
歌がるた覚えて恋の苦を知らず/上田五子石
法師出て嫌はるゝなり歌がるた/阿波野青畝
月の暈かかる歌留多の夜に入りぬ/山田弘子
若き日の母われ知れり歌がるた/山口波津女
歌留多読む明治の祖母の節まはし/下山宏子
俳句例:61句目~
おはこまで人に取られて歌留多の夜/清水忠彦
刀自の読む咳まじりなり歌留多とる/皆吉爽雨
歌留多取りみかども恋も跳ねとばす/柏原眠雨
むべ山の札よごれゐる歌留多かな/高橋淡路女
負歌留多さみしう笑みて立ちにけり/河野静雲
ひらかなの散らかつてゐる歌留多会/後藤立夫
そのはしに婢もとれる歌留多かな/五十嵐播水
歌留多の絵小町は老いずありにけり/後藤夜半
歌留多読む声のありけり谷戸の月/松本たかし
そのかみの恋のはじめの歌留多かな/細川加賀
歌留多の灯一途に老いし母のため/山田みづえ
しのぶ恋こがるる恋や歌留多よむ/杉山喜代子
歌留多とるいつよりかみな年下に/渡邊千枝子
熊笹にあかりのおよぶ歌留多かな/正木ゆう子
歌留多ちらばり今さら蔵書とぼしさよ/草田男
妻病みて父子の歌留多の倦み易し/奥野曼荼羅
片恋の歌留多に負けてしまひけり/鈴木真砂女
歌留多読む恋はをみなのいのちにて/野見山朱鳥
こころにもあらでながらへ歌留多読む/上田五千石