「枯蔓」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「枯蔓」について
【表記】枯蔓
【読み方】かれづる
【ローマ字読み】karezuru
子季語・関連季語・傍題・類語など
・蔓枯るる(つるかるる:tsurukaruru)
・枯かずら(かれかずら:karekazura)
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季節による分類
・「か」で始まる冬の季語
・「冬の植物」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
枯蔓を含む俳句例
枯蔓が伸び縋りえし茜雲/林翔
三月の枯蔓走る水の中/萩原麦草
枯蔓の切尖に触れ水激す/桂信子
枯芝と枯蔓映りゐる鏡/京極杞陽
枯蔓のこんがらがりて春隣/岸田稚
一面に枯蔦からむ仏かな/高浜虚子
三月や枯蔓なかの葛一条/松村蒼石
篁の纏く蔓枯れや歌の橋/石田波郷
枯蔦や石塀の角廻り込み/高澤良一
枯蔓に垣を離るる力なく/小口理市
枯蔦や石の舘の夜の雨/東洋城千句
枯蔦の尖端水にとどかざる/長田等
枯蔓の先の先まで鐘の音/石田勝彦
雪原の月枯蔓に大いなる/西本一都
大霜の枯蔓鳴らす雀かな/臼田亞浪
街裏の捨百度石蔦枯れて/有馬籌子
枯蔓のずるずる引けて土埃/高澤良一
枯蔦に山の残照近づけり/米沢吾亦紅
枯蔦となり一木を捕縛せり/三橋鷹女
枯蔦となりて葛藤顕はるる/田中政子
俳句例:21句目~
枯蔓を引けば離るゝ昼の月/中村汀女
枯蔓の下をゆくとき後手に/田中裕明
枯蔓の螺旋描けるところあり/上村占
枯蔦が這ひ吸盤に類すもの/高澤良一
蔦枯れて額吹く風や洞の門/会津八一
垣ぐるみ払ふ枯蔓群がるを/高澤良一
枯蔓の末路を晒す川っぷち/高澤良一
枯蔓の消え~わたる籬かな/野村泊月
百穴を訪ふ枯蔓を足に引き/青野達江
枯蔦や藍ことに濃き色硝子/久米正雄
枯蔓や山中に水もつれ合ふ/加藤けい
枯蔓を引きて一樹の影崩す/中井啓子
蔦枯るゝ大き巌を縛すまゝ/岸風三樓
枯蔓の尖は左の目にありて/高浜虚子
枯蔦や明治の倉の赤煉瓦/加藤みさ子
枯蔓にぴかぴかの日や天寧寺/大串章
枯蔦や不動に吹雪く瀧の裏/会津八一
城垣の昼を深めて蔦枯れる/大野紫陽
枯蔓の零し損ねし実の二三/高澤良一
枯蔓に巻かれ混迷深める木/高澤良一
俳句例:41句目~
枯蔦の系図を横に拡げけり/高澤良一
枯蔓の幹に食い込む馬鹿力/高澤良一
枯蔓に残つてゐたる種大事/山口青邨
枯蔓の横暴極まりなき立木/高澤良一
蔦枯れて十字架の十現れる/森田智子
枯蔓に雪柔かにひつかゝり/高野素十
枯蔦の垂れ端とざす氷かな/西山泊雲
枯蔓の石にはりつく高札場/中川文彦
枯蔦に日の当るのみ甲子園/岡澤康司
烏瓜の枯蔓引いて手に揉めり/高澤良一
狂院を緊縛しつつ蔦枯れたり/谷野予志
石を抱く力ゆるみて蔦枯るゝ/木村左近
かげろふ崖枯蔓の実の殻亙る/下村槐太
窓の蔦枯れ~に陽も皺みけり/飯田蛇笏
老幹をきりきり捲きし蔓枯れぬ/滝春一
蔦枯れて蔓の呪縛の残りけり/稲畑汀子
ざうざうと山の枯蔓滝なせり/高澤良一
蔦枯れて蔦の爪あと遺りけり/大橋敦子
表札にアラビア文字蔦枯るる/西村和子
ゆるやかに幹を縛め蔦枯るゝ/清崎敏郎
俳句例:61句目~
大寒の枯蔓を火の渡りをり/野見山朱鳥
大方はむかごの蔓の枯果てゝ/高浜虚子
松ケ枝や枯蔓かゝるずた~に/西山泊雲
枯蔓と見し生蔓の引きごたへ/青木重行
枯蔓につもりてかろし春の雪/西山泊雲
枯蔓に山にしみじみ夕日さす/岡田日郎
枯蔓に棲む日月や友も憂し/河原枇杷男
枯蔓に縋り夕日の柄長啼き/小林黒石礁
枯蔓のかげす櫺子の除夜の月/臼田亜浪
枯蔓の乱脈透きて日の差せり/高澤良一
枯蔓の嘗ての一途なべて見ゆ/高澤良一
枯蔓の大空よりぞさがりたる/浜屋刈舎
枯蔓の引かれじとする力かな/富安風生
枯蔓の我に肖てくる夕かな/河原枇杷男
枯蔓の枯れつつ掴むもの哀し/本下夕爾
枯蔓の残る力と引き合へり/片山由美子
枯蔓の空にとぎれてつゞきをり/上野泰
枯蔓の網の中なる落葉かな/加賀谷凡秋
枯蔓をひき森音をさびしくす/山本佳絵
枯蔓をひく後髪引くごとし/稲垣きくの
俳句例:81句目~
枯蔦のあくまでからむ官舎塀/松村蒼石
枯蔦のぐるり取り巻く御用邸/高澤良一
枯蔦の引けど引かせぬ力あり/鳥居すゞ
枯蔦の胃腸病院となりにけり/久米正雄
枯蔦の込み入る意図を詮索す/高澤良一
枯蔦も遠ざかりゆくものを見る/有働亨
枯蔦や絵馬は古りたる神の杉/寺田寅彦
枯蔦を引けば鉄鎖となりにけり/澁谷道
枯蔦片々独逸文字と衒気遠し/香西照雄
枯蔓の這ふてのめりし籬かな/楠目橙黄子
枯蔓にうす日あたりて深雪かな/清原枴童
枯蔓の太きところで切れてなし/中村汀女
がむしやらな姿とどめて枯蔓は/高澤良一
こと切れしごとく枯蔓宙吊りに/高澤良一
枯蔓をもがき抜けたる鶲かな/水原秋櫻子
枯蔦の隙間編物教室の手の類型/伊丹公子
湯の唄をうたひ枯蔦からみあふ/萩原麦草
磐余なるなぞへの太き蔓枯れぬ/下村槐太
枯蔓を焚きたる灰の絡みけり/佐々木六戈
枯蔓の太き輪を目で見あげけり/橋本鶏二