俳句例:101句目～
邯鄲や胸元の闇濡れはじむ/ほんだゆき
邯鄲や貧しさ語り継がれ来し/稲畑汀子
むらさめに邯鄲のなく山の草/飯田蛇笏
邯鄲や酔余の昼寝泛くごとし/山口草堂
刻過ぎゆく邯鄲のこゑ止めば/橋本榮治
口に指立てて邯鄲吾子と聞く/石川桂郎
邯鄲や顔もわからずすれ違ふ/岡田日郎
夕日草にあり邯鄲の鳴き始む/高木晴子
邯鄲や高原はものの翳ひそむ/山口草堂
邯鄲をきく爪先に身を乗せし/岡田和子
邯鄲を手捕りしあとの風淋し/堀口星眠
邯鄲を捕りし双手の露まみれ/根岸善雄
邯鄲を聞くそばがらの枕かな/川崎展宏
邯鄲を聞く一行のばらばらに/森田公司
月の出の邯鄲の闇うすれつつ/大野林火
邯鄲を遠き音色と思ひ聴く/工藤いはほ
欠席の返事邯鄲を聞く会へ/田川飛旅子
風が消す邯鄲のこゑ人の夢/渡邊千枝子
邯鄲や櫛の歯立ての夜を徹す/加藤知世子
邯鄲や永久の眠りにつくもよし/高畑信子
俳句例:121句目～
邯鄲の闇もて富士を塗りつぶす/宮下翠舟
萱の根に沁む邯鄲のきかれたり/村越化石
牛売りし夜は邯鄲が胸に棲む/加藤安希子
邯鄲の息つくときのしゞまかな/斎藤千萩
火にちかく邯鄲の鳴く秋ぐもり/飯田蛇笏
邯鄲や目瞑れば四囲はや黄土/金箱戈止夫
邯鄲やゆめにも未だ帰還せず/北見さとる
月消ぬる邯鄲それのごとく鳴く/山口青邨
嬰児だいて邯鄲きかな花圃の中/飯田蛇笏
はるけきを待つ邯鄲の鳴くを待つ/齋藤玄
雲の上の塔に邯鄲飼ひたしや/大木あまり
風が打つ戸に邯鄲のつつがなし/目迫秩父
邯鄲はいまとらはれの夜の騎士/堀口星眠
邯鄲や荷葉のみどりなかなかに/伊丹丈蘭
邯鄲や萩わけゆきて谷見えず/殿村莵絲子
邯鄲や人はそれぞれ霧に消え/古賀まり子
聴かれしや水巴がこゑを邯鄲を/渡辺恭子
邯鄲の声のしろがね風落つる/関根黄鶴亭
邯鄲の人見も知らず鳴きにけり/後藤夜半
邯鄲の粗末なる蟲の鳴きにけり/後藤夜半
俳句例:141句目～
邯鄲の鳴き細りつつすきとほり/西村和子
邯鄲の流離流離と鳴きにけり/永田耕一郎
邯鄲や我れのみ踏まぬ草の露/大谷碧雲居
邯鄲のこゑのしろがね綴りけり/根岸善雄
邯鄲のこゑあり風のあはひより/岩渕晃三
邯鄲を聴きにひきずる下駄の音/高澤良一
足しびれて邯鄲の昼寐夢さめぬ/子規句集
邯鄲の筥鳴りひびきをりにけり/鈴木貞雄
邯鄲を飼ふわが庭のいづこかに/相馬遷子
邯鄲死すバレリーナの死の如く/鈴木貞雄
邯鄲の夢路追ひ来て鳴きつづく/水原秋櫻子
こときれてなほ邯鄲のうすみどり/富安風生
邯鄲の声真似せよと云はれても/山中みね子
邯鄲を飼へば火攻めのごとく鳴く/堀口星眠
身じろげるとき邯鄲に鳴かれけり/高澤良一
邯鄲のそれと聞きゐるさはりかな/高澤良一
邯鄲を聞きとめてをる遠目かな/千代田葛彦
邯鄲にくもれるまなこ拭きにけり/赤尾兜子
鳴きやめぬ邯鄲となる側に居る/石井とし夫
邯鄲をきくべき部屋は灯を入れず/稲垣きくの
俳句例:161句目～
羽化終へし邯鄲おのれのぬけがらを喰らひ尽くして顔あげざりき/久我田鶴子
