「鹿の子」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「鹿の子」について
【表記】鹿の子
【読み方】かのこ/しかのこ
【ローマ字読み】kanoko
子季語・関連季語・傍題・類語など
・鹿の子斑(かのこまだら:kanokomadara)
・小鹿(こじか:kojika)
・親鹿(おやじか:oyajika)
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季節による分類
・「か」で始まる夏の季語
・「夏の動物」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
鹿の子を含む俳句例
子鹿寄る一刀彫の店構/越智協子
大雹や鹿の子冒し杜犯し/下村槐太
雨粒や子鹿に聡き耳双つ/岡部名保子
校倉の床下に臥て夕鹿の子/下村槐太
苑日々に草深うなる鹿の子かな/草城
草の葉に見すく鹿の子の額かな/白雄
隅田川昼鹿の子のCわたる/阿部完市
鹿の子の目の美しき厳島/平松/青泉
潅仏の日に生れあふ鹿の子かな/芭蕉
山姫や鹿の子白無垢土用干/山口素堂
鹿の子の人慕ひ来てためらへり/青嵐
鹿の子の耳汐騒を捉へけり/佐伯子翠
萩の葉を咥へて寝たる鹿の子哉/一茶
廻廊を鹿の子が駆くる伽藍かな/誓子
八九間鹿の子見送る林かな/加舎白雄
風吹くと鹿の子の瞳ものをいふ/鷹女
雲板の音に駆け来る鹿の子かな/霽月
拝殿の下に生れゐし子鹿かな/杉田久女
風萱に赴き怪む鹿の子かな/阿波野青畝
しなやかに子鹿覚えし横坐り/田中はな
俳句例:21句目~
鹿の子にももの見る眼ふたつづつ/龍太
鹿の子に小旗のやうな耳二つ/石川文子
鹿の子に必ず親の目のありぬ/村木記代
母鹿に爪なめられて子鹿かな/細見綾子
鹿の子の細脚暮れて帰るなり/久下史石
母鹿の目につながれし子鹿立つ/竹内城
鹿の子の蛇口をしやぶる岬かな/日原傳
焼芝の月に遊べる鹿の子かな/島田青峰
煎餅やる袂の下の鹿の子かな/岩木躑躅
生れてすぐ歩く鹿の子や若楓/吉田冬葉
鹿の子の蹄ふみ割り歩くなり/皆吉爽雨
鹿の子の逡巡として人馴れず/酒葉月人
鹿の子は聖の沓をねぶるかな/野村喜舟
大駈りしては鹿の子親に添ふ/皆吉爽雨
管絃祭夜目にも白き子鹿の斑/田村一翠
艸の葉に見すく鹿の子の額哉/加舎白雄
盆花の流れに遅る鹿の子百合/佐野美智
足わろき子を親鹿の先立たす/皆吉爽雨
山のべに人疑はぬ鹿の子かな/野村喜舟
雨にぬれ茶店の前の子鹿かな/村尾梅風
俳句例:41句目~
雨後の森真青に子鹿生れけり/山中三木
参道の夕べ鹿の子も去ぬところ/皆吉爽雨
咲き分けし鹿の子も露の鳳仙花/石塚友二
堪ふべしと母は堪へにき京鹿の子/及川貞
ちぐはぐに両耳うごく子鹿かな/岩崎照子
或は嬰或は鹿の子として生れし/田仲了司
つと立て鹿の子庫裏の方へ行く/寺田寅彦
母鹿のゐて子鹿には近寄れず/船坂ちか子
驚きがきつかけ鹿の子駈け競ふ/香西照雄
親鹿に追ひつきたりし子鹿かな/高濱虚子
子鹿まだ人を信じる瞳をもたず/桑田青虎
風吹きて糞こぼしつる鹿の子かな/森田峠
芽楓の雨をさむがる鹿の子かな/吉田冬葉
僧に蹤き巫女に蹤き鹿の子かな/後藤夜半
鹿の子にも潮の満ちくる能舞台/角川春樹
鹿の子の乳飲みてすぐよろけたり/堀古蝶
鹿の子の口で触れゐる結びくじ/中井啓子
鹿の子の庫裏に群るゝや文殊寺/寺田寅彦
鹿の子の睫毛に浮ける脱毛かな/岩木躑躅
鹿の子の親よりも斑をしるくゐる/森澄雄
俳句例:61句目~
鹿の子の雹におどろく尻ましろ/下村槐太
親鹿にふり向かれ跳ぶ子鹿かな/西村和子
子鹿一号囲むカメラに戸惑へり/緒方みどり
餌を貰ふ親のうしろの鹿の子かな/岩木躑躅
松風におどろき仰ぐ鹿の子かな/大橋櫻坡子
森深く月さしてゐる鹿の子かな/西嶋あさ子
うしろ向いて秋の姿の鹿の子かな/渡邊水巴
灌仏の日に生まれあふ鹿の子かな/松尾芭蕉
走り根になつまづきそ鹿の子くる/岩崎照子
さざなみに馴染む鹿の子浅葱の瞳/佐川広治
鹿の子に奈良のあけぼの深みどり/山本梅史
親と行くたそがれ貌の鹿の子かな/渡邊水巴
鹿の子のこちら向く耳立ちにけり/石田郷子
脚をとる草を見こち見ゆく鹿の子/皆吉爽雨
鹿の子のひとりあるきに草の雨/鷲谷七菜子
鹿の子のふんぐり持ちて頼母しき/村上鬼城
せんべいの紙たべてゐる子鹿かな/長谷川櫂
つくばひに影ゆれてをり鹿の子草/金子寿々
神の瞳とわが瞳あそべる鹿の子かな/原石鼎
鹿の子の惜気なく暮れて了ひけり/中島月笠
俳句例:81句目~
鹿の子の生れて間なき背の斑かな/杉田久女
鹿の子皆好奇心てふ眼のありぬ/稲畑廣太郎
親鹿のあゆめる方へ鹿の子かな/山口波津女
道よぎる鹿の子斑を引き緊めて/南方/惇子
鹿の子のこち見る顔にあふるる眼/皆吉爽雨
人前をつづいてはしる鹿の子かな/下村槐太
鹿の子きて草の匂ひのここにまた/相馬黄枝
奈良へ来て鹿の子と遊ぶ一日かな/高浜年尾
鹿の子よ歯朶踏みはづすことなかれ/原石鼎
鹿の子をり耳立てし影背にながれ/皆吉爽雨
鹿の子百合曇硝子に五つの朱/阿部みどり女
顔よせて鹿の子ほのかにあたたかし/三橋鷹女
京鹿の子咲くと添水のはずみけり/佐野青陽人
鹿の子あり遠まなざしに立ちかしぎ/皆吉爽雨
つぶら眼を飛燕のさそひ鹿の子立つ/皆吉爽雨
ひとりにしあれば鹿の子斑をふるふ/皆吉爽雨
鹿の子の立てば拍手の降るごとく/つじ加代子
みち汐に追はれて戻る鹿の子かな/久保より江
人を見るこころもとなき鹿の子かな/後藤夜半
郁子咲けり鹿の子の雲の往き来見て/吉田鴻司