俳句例:101句目~
のんですぐ背骨つらぬく寒の水/角川春樹
ひたひたと担ひこぼしぬ寒の水/西島麦南
ひとり居や映るものなき寒の水/前田普羅
棒のごと寒九の水を呑みくだす/大石悦子
ほとけらの多くて寒の水足らず/関戸靖子
寒の水ありありと身体髪膚かな/山田みづえ
寒の水牛まばたかず飲むことよ/星野麦丘人
汲み上げし大地のぬくみ寒の水/成嶋いはほ
呆けまじと一気に呑みし寒の水/明才地禮子
水噛んで飲めてふ噛むや寒の水/橘川まもる
死後の値の保険に決まるもどり寒/水下寿代
寒の水菩薩にそそぎあましたり/柴田白葉女
寒の水飲めばこのまゝ癒ゆるかと/藤崎久を
人気なき御手洗寒の水こぼす/五十嵐波津子
寒の水汲み込む甕のゆらぎ見ゆ/殿村莵絲子
めでたさや一荷買ひたる寒の水/大場白水郎
寒の水飲みてつらぬくもののあり/皆吉爽雨
寒の水適格者証出す手は賭博めく/岩田昌寿
寒の水手入れて思ひきりひらく/新谷ひろし
寒の水のまず逝きしがあはれかな/石橋秀野
俳句例:121句目~
氷柱折つて寒九の水を汲みゆけり/茂里正治
筆おろす寒九の水になじませて/武藤あい子
ポンプ押しゆるゝふぐりや寒水汲む/川口重美
老の盲目かつとあきては寒水くむ/加藤知世子
寒の水責めて漉きたる因幡和紙/美柑みつはる
見知らぬ土地低きところを寒の水/鈴木六林男
見てさへや惣身にひゞく寒の水/一茶/文化三年丙寅