「亀鳴く」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「亀鳴く」について
【表記】亀鳴く
【読み方】かめなく
【ローマ字読み】kamenaku
子季語・関連季語・傍題・類語など
・亀の看経(かめのかんきん:kamenokankin)
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季節による分類
・「か」で始まる春の季語
・「春の動物」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
亀鳴くを含む俳句例
亀鳴くや事と違ひし志/安住敦
生涯に肩書一つ亀鳴けり/小林康治
亀鳴くと貧乏徳利洗いけり/向井秀
亀鳴くや泣く子に机龍之介/仁平勝
亀鳴くや逆さ詣での裏吉野/赤松子
亀鳴くや母を愛する齢にて/岸田稚
亀鳴くや船霊様の紅紙衣/岡本庚子
陰膳の飯と一菜亀鳴けり/長谷川双
亀鳴くと亀石重き瞼上ぐ/都筑智子
眠れざる夜は桂郎の亀鳴けり/神蔵器
月暗く亀鳴くと云ふ宮居哉/中川四明
年輪か単なる皺か亀鳴けり/宮崎すみ
四阿に若き異人や亀鳴けり/本間正松
再生紙裏も使えと亀鳴けり/高澤良一
亀鳴くや離島に提げて薬函/古舘曹人
人生のうしろの方で亀鳴けり/山崎聰
隠国の亀岩の亀鳴くことも/津根元潮
亀鳴くやひと塊の霊芝あり/吉井幸子
亀鳴けり医術日進月歩の世/高澤良一
亀鳴くや昼を居眠る一言主/佐野美智
俳句例:21句目~
亀鳴くや一百姓のホ句作る/浜川穂仙
亀鳴くや豊かな国の嫁不足/飯島正人
亀鳴くや箱に腰掛け吹矢売/北野民夫
亀鳴くや齢の数より嘘の数/石田小坡
亀鳴くや神楽に集ふ湯治客/古舘曹人
亀鳴くとすれば夕ベの鐘のあと/黛執
亀鳴くや源兵衛堀の河童ども/龍岡晋
耳聡きことも一芸亀鳴けり/松本幹雄
亀鳴くや夢は淋しき池の縁/内田百間
亀鳴くや山彦淡く消えかかる/赤尾兜子
この術例三百ほどと亀鳴けり/高澤良一
その中の齢嵩入った亀鳴けり/高澤良一
亀鳴けり甍の獅子は唸りもし/坊城俊樹
亀鳴くや物音絶えし坊泊り/藤田つとむ
亀鳴くや男は無口なるべしと/田中裕明
亀鳴くや皆愚かなる村のもの/高濱虚子
亀石といふ亀鳴いて飛鳥の夜/菊地一雄
亀鳴くや選句は常に正座して/青木重行
亀鳴けり寺の柱で背を掻けば/茨木和生
亀鳴いて声とはならぬ夕間暮/堀口星眠
俳句例:41句目~
六義園の元禄の亀鳴けりけり/鈴木栄子
亀鳴いて竹敷く床は寒からむ/石川桂郎
句の誤植推量せよと亀鳴けり/高澤良一
失言の汗が目に沁む亀鳴く夜/澤田緑生
亀鳴きて貴君は酒に吃りけり/内田百間
山の辺の文殊菩薩や亀鳴けり/角川春樹
亀鳴くごとき呼吸音咽喉にあり/森澄雄
東京に亀鳴くといふ日向かな/田中裕明
石庭を出て亀鳴くと思ひけり/細田恵子
角砂糖中にコーヒー亀鳴いて/石川桂郎
赤坂や雲低く行けば亀鳴ける/内田百間
針金を切れば亀鳴く月夜かな/青木啓泰
亀鳴くと夕べ象牙の塔を鎖す/佐伯哲草
亀鳴くに間ある古池巡りけり/高澤良一
亀鳴くはきこえて鑑真和上かな/森澄雄
亀鳴くは己の拙を泣くごとし/石原八束
亀鳴くは己の拙を泣くごとし/石原八束
亀鳴くや人体にある尾の名残/辻美奈子
亀鳴くや南都ゆかりの廃寺趾/山本洋子
亀鳴くや喉かばふ食限らるる/石川桂郎
俳句例:61句目~
亀鳴くや土手に赤松暮れ残り/内田百間
亀鳴くや妻にとらるる言葉尻/橋本榮治
亀鳴くや職退きし夜の酒酌めば/池田秀水
老いの身の地獄耳かも亀鳴けり/村山慶子
亀鳴くは己れの拙を泣くごとし/石原八束
ヒトゲノム解読せよと亀鳴けり/高澤良一
ベビーカー押さぬ一生亀鳴くや/鈴木栄子
亀鳴いてからだの冷ゆる齢かな/岩田由美
亀鳴いてをり句談義のまっ盛り/平松志ま
亀鳴いて心の流転とめどなし/鈴木真砂女
亀鳴くやこゝろのうちの善と悪/山本蓬郎
亀鳴かす程でなくともこの俳味/高澤良一
八方睨みの亀鳴きつらむ耳の底/渡辺恭子
亀鳴くに似て林中へさそふもの/大島民郎
亀鳴くと首をもたげて亀の聞く/中原道夫
引力といふものありて亀鳴ける/奥坂まや
亀鳴きて亭主は酒にどもりけり/内田百間
独りとはたまたま独り亀鳴くや/手塚美佐
亀鳴くと背に一幹の重みかな/小島千架子
亀鳴くや元素記号を不意に書き/嶋田麻紀
俳句例:81句目~
真実はうつくしからず亀鳴けり/坂本謙二
亀鳴くや行きしことなき本籍地/小川軽舟
亀鳴くと春は水より動きけり/小松崎爽青
亀鳴くや子に艱難を与ふべきか/村山古郷
亀鳴くや柱ラムプの照返し/久保田万太郎
亀鳴くや阿波に巳之助傀儡小屋/古舘曹人
亀鳴くや太古の海のまむらさき/二村典子
亀鳴くや古りて朽ちゆく亀城館/成瀬正俊
立志とは違ふ自分史亀鳴けり/小田実希次
亀鳴くや機窓を閉ぢて夜を作る/須川洋子
亀鳴くや折り目うすれし合戦図/山本洋子
迂闊にも亀鳴くころをいつも病む/森澄雄
金婚や余勢をかつて亀鳴かさう/吉田貞子
亀鳴くや抓みて遠きわが眉間/河原枇杷男
たまさかは悪女もよけれ亀鳴ける/福田安子
わが思ひままならぬ亀鳴きにけり/池田秀水
亀鳴いて闇やはらかき夕べかな/湯沢千代子
亀鳴くといふ貌をして母老いぬ/小檜山繁子
亀鳴くといへばすずろに聞かれけり/岸田稚
恍惚と亀鳴くアウシュビッツかな/仙田洋子