俳句例:101句目~
八十歳吉書の朱筆入るるかな/岡部しのぶ
書初の火鳥のむくろへなへなと/栗生純夫
書初めといふもあはれや原稿紙/吉屋信子
山荘客を見すして大臣の試筆哉/尾崎紅葉
書初やあたらしき墨匂ひだす/新谷ひろし
書初や寸餘の墨をたふとみて/下村ひろし
命毛ながし末子に与ふ吉書の筆/北野民夫
渇筆を絶え絶えと継ぐ吉書かな/大石悦子
画仙紙の天地はかりて試筆かな/富田潮児
色紙や色好みの家に筆はじめ/遊女-利生
いのち毛のよくきいてゐる筆始/小室善弘
粋と書き酔と書きたる吉書かな/星野紗一
いのち毛は白眉の如し筆はじめ/荒井正隆
蜑が子の吉書の文字も千代の春/松藤夏山
試筆する二日の友に来りけり/五十嵐播水
酔筆と人は見るらむ吉書かな/相生垣瓜人
筆始めこめかみ酔ひてきたりけり/小林康治
胸張つて書初へ身を臥せにける/中村草田男
師に侍して吉書の墨をすりにけり/杉田久女
書初やをさなおぼえの万葉歌/竹下しづの女
俳句例:121句目~
母と一字母とあそびて筆はじめ/町田しげき
痩金体気どりの被奴も試筆すや/高山れおな
一字なほにじみひろごる試筆かな/皆吉爽雨
二紙三紙いよゝ書き劣る試筆かな/志田素琴
クレヨンをもてをさならが筆始め/石塚友二
たまきはるいのちのいの字筆始/上田五千石
吉書ながら世の消息のせはしなき/服部嵐雪
書初めのうゐのおくやまけふこえて/高野素十
書初めや先づ彼の人に文書かな/野見山ひふみ
書初めの子と起き出でゝ書かざりき/杉山岳陽
筆はじめ去年よりの修羅走りだす/小檜山繁子
落字して老いの吉書のめでたけれ/池上浩山人
いはねども色に吉書の花桜/常春/元禄百人一句
書賃のみかんみい~吉書哉/一茶/文政二年己卯
松の字/松のごとく竹の字/竹のごとく書初する/荻原井泉水