「陽炎」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「陽炎」について
【表記】陽炎
【読み方】かげろう
【ローマ字読み】kagero
子季語・関連季語・傍題・類語など
・陽炎燃ゆる(かげろうもゆる:kageromoyuru)
・糸遊(いとゆう:itoyu)
・遊糸(ゆうし:yushi)
・野馬(やば:yaba)
・陽焔(ようえん:yoen)
・かぎろい(かぎろい:kagiroi)
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季節による分類
・「か」で始まる春の季語
・「春の天文」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
陽炎を含む俳句例
陽炎や日本の土に殯/子規
陽炎や新吉原の昼の体/一茶
陽炎に干鰯や宿はづれ/巴流
陽炎や雫ながらの肴銭/一茶
丈六に陽炎高し石の上/芭蕉
陽炎に敷居を越る朝日哉/一茶
陽炎に何やら猫の寝言哉/一茶
陽炎にぱつかり口を蜊哉/一茶
陽炎やおのが翅を池の水/園女
陽炎や鍬捨てゝ置く畠中/成美
陽炎にくい~猫の鼾かな/一茶
糸遊や埃にしらむ町の松/鼓舌
陽炎や鍋ずみ流す村の川/一茶
陽炎や敷居でつぶす髪虱/一茶
陽炎や折敷の飴の棚晒し/野径
陽炎のづんづと伸る葎哉/一茶
泉殿水かげろふも庇内/高木晴子
あそびの輪ぬけし一人に陽炎へる
陽炎や石の仁王の力瘤/正岡子規
糸遊や曲を操る水の音/浜田酒堂
俳句例:21句目~
陽炎や景清入れし洞の口/炭太祇
陽炎や春の汗干下小袖/松岡青蘿
陽炎やそば屋が前の箸の山/一茶
陽炎や臼の中からま一すじ/一茶
陽炎に躍る鰌や鶴の閑/野村喜舟
陽炎や老眼くもる鏡研/幸田露伴
陽炎にめしを埋る烏哉/小林一茶
陽炎の渚踏み来る肩車/塙三千男
陽炎や筏木かはく岸の上/炭太祇
陽炎や厩の軒の古合羽/寺田寅彦
陽炎や笠の手垢も春のさま/一茶
陽炎や我に無き人我を出る/耕衣
陽炎や寝たい程寝し昼の鐘/一茶
陽炎やわらで足ふく這入口/一茶
陽炎や馬をほしたる小松原/一茶
干網に立つ陽炎の腥き/夏目漱石
陽炎や猫にもたかる歩行神/一茶
陽炎や石の魂猶死なず/子規句集
陽炎や歩行ながらの御法談/一茶
陽炎の中にちらすや麻の種/樗堂
俳句例:41句目~
陽炎や馬糞も銭に成にけり/一茶
陽炎や下は流るる水ながら/平水
陽炎や砂に坐りて蛇籠あむ/篠原
古杜陽炎力無くもえぬ/正岡子規
古草に陽炎をふむ山路かな/大魯
糸遊やいまも筑波に陣中膏/原裕
陽炎の麦ひき延す小昼かな/路通
陽炎や同じ長けなる小松原/塘南
馬の尾に陽炎ちるや昼旅籠/惟然
陽炎や吹よせられて草の隅/怒誰
陽炎や薬の賣る廣小路/井上井月
陽炎や切欠てうるしなのゝ山/一茶
いじめると陽炎になる妹よ/仁平勝
陽炎や列車の中を速歩き/永末恵子
陽炎の手の皺からも立にけり/一茶
陽炎の村の掟を守り棲む/福田蓼汀
枯芝ややや陽炎の一二寸/松尾芭蕉
面影は陽炎ほどの男らよ/中村苑子
陽炎や枯野の時の馬の糞/正岡子規
陽炎や加茂の堤の古へは/野村喜舟
俳句例:61句目~
暁鵯に濤かげろふの堂廂/角川源義
巌のぼる水の陽炎梢まで/西村公鳳
陽炎や庇ふきたる杉の皮/広瀬惟然
彳めば曇る眼鏡や陽炎へり/上村占
かぎろひの丘の筍五六本/細川加賀
一つづつ陽炎あげて落椿/加藤霞村
糸遊やみすやの針の長短/中川四明
陽炎〔や〕道灌どのゝ物見塚/一茶
陽炎や茨の芽赤き藪の中/石井露月
糸遊へ誘はれ給ふ仏かな/沢木欣一
纜を陽炎ふ石に結び去る/近藤一鴻
陽炎や柴胡の糸の薄曇り/松尾芭蕉
澎湃と陽炎わたる沙の上/加藤秋邨
陽炎にさら~雨のかゝりけり/一茶
陽炎につまづく母を遺しけり/耕二
陽炎や塚より外に住むばかり/丈草
陽炎や墓の中まで透析日/朝倉和江
陽炎や此頃できし小石道/正岡子規
種俵大口あけて陽炎へり/前田普羅
かげろふや簣に土をめづる人/蕪村
俳句例:81句目~
陽炎に包まれ証拠不十分/後藤立夫
五感衰へ陽炎となる母か/奥坂まや
中秋や松にとびつく水陽炎/坂本登
陽炎や手に下駄はいて善光寺/一茶
陽炎に瓜十片を遺し征く/高橋馬相
陽炎に生まれぬ兄を思ひ出す/林桂
陽炎や酒にぬれたる舞扇/高井几董
墓石の傍のこどもの陽炎よ/中田剛
陽炎や破れ小靴が藪の中/飯田龍太
陽炎や砂より萌ゆる月見草/秋櫻子
三鬼死す陽炎逃場失ひて/小林康治
陽炎や足もとにつく戻り駕籠/去来
理立の土累々と陽炎へり/斉藤夏風
鴛鴦の胸分けの陽炎の水/瀧井孝作
陽炎のもえて田にちる椿かな/曲翠
陽炎のものみな風の光りかな/暁台
糸遊や弁財天まで船に乗り/森澄雄
陽炎や薄目の亀の子が歩む/中拓夫
陽炎の中に二間の我が庵/高浜虚子
陽炎の中に泳ぐ手一輪車/新井真衣