「鏡餅」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「鏡餅」について
【表記】鏡餅
【読み方】かがみもち
【ローマ字読み】kagamimochi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・御鏡(おかがみ:okagami)
・餅鏡(もちいかがみ:mochiikagami)
・具足餅(ぐそくもち:gusokumochi)
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季節による分類
・「か」で始まる新年の季語
・「新年の生活」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
鏡餅を含む俳句例
青黴の春色ふかし鏡餅/有風
小舟して島の祠へ鏡餅/泊月
湖のほとりの玉や鏡餅/才麿
澱みなく一日終る鏡餅/直人
一枚は大鏡餅餅莚/鈴木花蓑
鏡餅母在して猶父恋し/暁台
美しの宮は姫神鏡餅/石崎晋象
空港の管制塔に鏡餅/塩川雄三
老妻の今年も割りぬ鏡餅/碧童
宿泊簿記す傍ら鏡餅/高澤良一
鏡餅供ふ漁船の命綱/右城暮石
一と筵大小鏡餅並ぶ/滝沢鶯衣
火種なき父の間夜の鏡餅/雅人
一臼は船霊さまの鏡餅/山信夫
舟に据ゑ海へ供へし鏡餅/誓子
鏡餅鉄槌で割る勤め母/楠節子
庭の松一朶は這へり鏡餅/青邨
診療の机狭めし鏡餅/山下公三
鏡餅暗闇を牛通りけり/桂信子
鏡餅岩にのせあり貴船道/播水
俳句例:21句目~
襖絵の一瀑緊る鏡餅/関森勝夫
神託をうべなふ鏡餅の罅/静塔
紙漉の舟の上なる鏡餅/市川三三
玄関の一隅に書架鏡餅/関森勝夫
蛇神の祠はみ出し鏡餅/藤原孝子
軍神の古びるままに鏡餅/仁平勝
思ひ出づる赤人にまで鏡餅/言水
鏡餅余生思ひのほか永し/松木実
掛軸に静の一文字鏡餅/中村嘉風
鏡餅寒気憑きては離れては/龍太
鏡餅本尊諸仏諸菩薩に/山口笙堂
東京に渇き始めた鏡餅/櫂未知子
板の間の猫の爪あと鏡餅/中拓夫
橙の据りがよくて鏡餅/高浜虚子
鏡餅童女丸めて童女の丸/楠節子
今昔のわれにも移り鏡餅/森澄雄
鏡餅荒山風に任せあり/石田波郷
風年や笑み割れそむる鏡餅/鬼城
漉槽の四隅四隅に鏡餅/金丸鉄蕉
白少し透きし三日の鏡餅/森澄雄
俳句例:41句目~
神灯の色に染りて鏡餅/浅野京子
存在に罅が奔つて鏡餅/山本一双
種籾の俵の上の鏡餅/蒲原ひろし
寝所の埃蒙むらん鏡餅/滝井孝作
一茶の像ちひさしこれに鏡餅/蕪城
さし覗きたる方丈に鏡餅/岩田由美
鏡餅ひらくや潮の満ちきたり/林徹
つぎつぎに子等家を去り鏡餅/楸邨
風雨つき担ぐ寄進の鏡餅/新家豊子
海鳴りが罅を殖して鏡餅/池谷市江
ひわれけり天神様の鏡餅/寺野竹湍
鏡餅弁天池の石となれ/阿波野青畝
神占のごと罅はしる鏡餅/津田清子
雪明りして井戸神の鏡餅/赤石明子
鏡餅厠の坐りごこちかな/高澤良一
鉱山に生れし誇り鏡餅/深見けん二
鏡餅うしろの正面畏けれ/三橋敏雄
鏡餅小さな鼾立てにけり/栗林千津
伊セ海老の橙かじる鏡餅/河野静雲
伊予柑のよきを選びぬ鏡餅/三幹竹
俳句例:61句目~
傍観す女手に鏡餅割るを/西東三鬼
大ぶりの鏡餅来る宅急便/斉藤葉子
定年や大きく割れて鏡餅/池田秀水
門弟の名札そろふや鏡餅/吉右衛門
裁台に針娘等よりの鏡餅/溝越春甫
鏡餅不景気の年重ねけり/高澤良一
鏡餅置き処なし本の山/田川飛旅子
鏡餅割る手力を妻に見せ/野中春艸
鏡餅置いて正方形の部屋/黛まどか
文机や柚子を代りの鏡餅/石川桂郎
鏡餅前山の風しづまれり/菅原鬨也
鏡餅疎外のひびを拡げたる/有働亨
一村を鼓でよぶや具足餅/中村史邦
みづからの力に割れて鏡餅/伊藤通明
わが闇の何処に据ゑむ鏡餅/飯島晴子
三方の前やうしろや鏡餅/後藤比奈夫
二タ灘の音重なれり鏡餅/栗栖恵通子
仮住みの書棚に飾る鏡餅/小俣由とり
師に献ず鏡餅とて母が撫す/田子水鴨
店さきの駄菓子の中の鏡餅/奈良鹿郎
俳句例:81句目~
悔ばかり本の谷間に鏡餅/田川飛旅子
正月を出して見せうぞ鏡餅/向井去来
水甕の底にまづ置く鏡餅/下村かよ子
鏡餅ことし奮発したりけり/高澤良一
鏡餅しばらく紺の潮目あり/友岡子郷
鏡餅のあたりを寒く父母の家/林朋子
いと小さき歳神さまの鏡餅/戸塚茅亭
鏡餅ゆるがぬままや水の中/赤尾兜子
鏡餅わけても西の遥かかな/飯田龍太
罅にびくともせぬ鏡餅多子家系/狩行
鏡餅天日かつと照らしゐる/飯田龍太
褒貶をひねり上げたり鏡餅/永田耕衣
鏡餅据ゑても暗き納戸神/下村ひろし
鏡餅海図の端をおさへけり/福永耕二
長病の母さびしさや鏡餅/五十嵐播水
鏡餅霰まじりの音となリ/深見けん二
露坐仏の大悲の御手の鏡餅/森桂樹楼
赤子泣く家の大きな鏡餅/鷲谷七菜子
たま~に来る患者や鏡餅/五十嵐播水
具足餅由々しき影を構へたり/畑耕一