俳句例:201句目~
落葉松に十一月の来てゐたり/蓬田紀枝子
さくらいろの桜井十一軒さがす/阿部完市
雨の十一月林檎灯あつめ前夜祭/古沢太穂
九十一才の寝正月なりしかな/粟津松彩子
十一月ホンドタヌキの空寝入り/高澤良一
十一時二分わたしの祷り長崎忌/山崎芳子
訪はずまた見舞はず十一月の鵙/野澤節子
十一や山雨止むともなく止みし/坂井多嘉
十一月こんな日和がよろしくて/高澤良一
十一としつかり鳴きし樹海かな/鎌田利彦
喪の十一月河強風に捲かるる鴎/古沢太穂
十一月の洩れ日大柄濤起こる/鳥居おさむ
新しきナイフとフォーク十一月/川崎展宏
咳きながら十一月に入りけり/阿波野青畝
聖樹はや十一月のレストラン/大久保白村
雲助大勢十一月の背景より/長谷川かな女
嫁ぐひとは嫁ぎぬ十一月も去る/中島斌雄
十一面さんに雪道つけてあり/八木林之介
人目も草も十一月はあからさま/清水径子
十一や遥かなれどもまぎれなし/岡田日郎
俳句例:221句目~
猫のぼる十一月のさるすべり/青柳志解樹
十一面観音秋惜しまざる相はなし/安住敦
谷に住む十一月のあたたかし/長谷川素逝
十一月枯れゆくは華咲くごとく/平井照敏
十一月捨てるネクタイ選びをり/森川光郎
十一月寝刻まで茶湯たぎらせよ/斎藤空華
松本楼十一月のカフエテラス/石川星水女
草の家に柿十一のゆたかさよ/芥川龍之介
義理欠くまま十一月のこゑをきく/高澤良一
十一月あつまつて濃くなつて村人/阿部完市
しら帆百上げる十一月末日の仕事/阿部完市
十一文のこはぜをはめて喪に服す/野宮猛夫
十一面観音めぐりて聴くは貌鳥か/堀口星眠
さびしさはしんと晴るる日十一月/百瀬美津
くしゃみして十一月に入りにけり/高澤良一
十一月七日声あげて風屋根を過ぐ/古沢太穂
石蕗の黄に十一月はしづかな月/後藤比奈夫
あたゝかき十一月もすみにけり/中村草田男
十一月の海見ゆリフトゆるやかに/横原律子
十一のイントネーション真似易し/高澤良一
俳句例:241句目~
男の背の刃こぼれやまぬ十一月/岸本マチ子
手術痩せの身に十一月終りけり/上野さち子
十一月しょっぱなの風邪貰ひけり/高澤良一
十一月くしゃみ始めと云ふべかり/高澤良一
少女の素足路地へすつ飛ぶ十一月/能村登四郎
木曾十一宿人出の盆も過ぎにけり/西嶋あさ子
十一月ときめくことも無く過ぎし/丸山しげる
ぎりしやから十一月の水ながれくる/阿部完市
詩の湧きつぐことが詩十一月の薔薇/中村草田男
十一二日の月は入江の水がいつぱい/荻原井泉水
十一月二十三日中京区夢蔵と言うなり/阿部完市
坊さんいそいで十一人を追いこしたり/阿部完市
虚子に問ふ十一月二十五日のこと如何に/川崎展宏
ほとけおどけよる十一月のホットケエキ/攝津幸彦
いもうとの十一年その十一本の木のなかの/阿部完市
十一月三日は必ず空が青くてわたしたち老いらく/荻原井泉水
十一月は青微光なし越前の蟹の雌雄も食はれてしまふ/鈴木春江