季語/十一(じゅういち)を使った俳句

俳句例:101句目~

九十一の一をしつかと初硯/富安風生

九階草まれに十一階に咲く/田村了咲

道草して十一月の終りかな/望月百代

十一が鳴く十一の木曾宿場/桑島啓司

十一の十一と鳴く十一と/大野雑草子

武蔵野は十一月の欅かな/松根東洋城

十一の遠のく十も一の音も/皆吉爽雨

十一やふつと疲れて岩の上/細川加賀

十一月花を扱ひ荒れし手よ/大井雅人

約多き十一月となりにけり/斎藤節子

十一月潮のしぶきの橋点る/伊藤京子

十一や山家の早き夕餉の灯/五味すず

十一や煙客李賀が来べき宵/加藤郁乎

十一や片てぶくろの刀鍛冶/柚木紀子

十一月六日を記す雨とのみ/手塚美佐

十一月六日は雨の親しかり/島谷征良

吊革を握る十一月あたたか/山本一歩

十一や那須雲上の宿に著く/皆吉爽雨

十一や雲湧きいづる月の山/乾佐和子

十一人一人になりて秋の暮/正岡子規

俳句例:121句目~

十一騎の十一本の柳青める/阿部完市

十一騎面もふらぬ吹雪かな/正岡子規

山にをり十一月の望の夜の/茨木和生

謙虚なる十一月を愛すなり/遠藤梧逸

姉申す十一の市みえること/阿部完市

山女一跳ねて十一月となる/阿部完市

峠見ゆ十一月のむなしさに/細見綾子

河馬を呼ぶ十一月の甘納豆/坪内稔典

十一月五日つめたき雨と風/黒田杏子

父在さば八十一の夜長かな/宮津昭彦

父母に残りし信州訛十一も/野沢節子

雪籠りして十一面観世音/吉村まさ子

鍋もののうまき十一月来たる/石川桂郎

雑巾の道まつしぐら十一月/赤松ケイ子

鴨汁にごばう削ぐこと十一月/中山純子

初蝉や菩薩の十一面みなうごく/澁谷道

十一面さまや餅花手ちぎりに/古沢太穂

十一面さんに雪掻腰のばす/八木林之介

十一面それぞれ春を待つ観音/有馬朗人

十一面それぞれ虫を聞き給ふ/狹川青史

俳句例:141句目~

十一面の十面が見え桐の花/加藤瑠璃子

十一面ぼさつ一つの柿明り/赤松ケイ子

十一面みな秋風を聞くまぶた/藤田直子

十一面一仏ごとの秋気かな/文挾夫佐恵

十一面観音おはす秋のほとり/伊藤敬子

十一面観音その一面の皐月闇/橋本榮治

あをあをと十一月の蓬かな/山口いさを

かたくなな十一月の空がある/櫂未知子

からまつの十一月の林かな/今井杏太郎

しくしくと十一月の雨が降る/後藤綾子

秋風やみな十一面の草の原/河原枇杷男

つむぎ織る十一月の田螺どの/宮坂静生

ぶつかれば激し十一月の蜂/中戸川朝人

やすんじて牡蠣の十一月迎ふ/石川桂郎

コースター十一月の風を切る/野原湖心

こころ飽くとき十一の二三声/橋本榮治

コート買ふ十一月の旅のため/西村和子

乗馬して十一月となりにけり/阿部完市

亀とゐて十一月のはじまりぬ/斎藤隆顕

北陸や十一と鳴く十一と鳴け/阿部完市

俳句例:161句目~

十一が鳴いて玉巻く谿の葛/波多野爽波

今日よりは十一月の石蕗の花/高木晴子

光まとひて十一月の枯木ども/相馬遷子

十一の声の尾にじみ山雨来る/倉垣和子

化粧して十一月の山へゆく/中尾寿美子

十一月いづくともなき越天楽/瀧澤和治

十一の鳴き交ひ杉の穂はそろふ/太田嗟

十一月ことばより水迅きかな/坂戸淳夫

十一月の櫛目正しき日の光/中村草田男

十一月の船落ちてゐる騙し舟/攝津幸彦

十一月の薄日の影を横切った/高橋信之

十一月をくるぶしのすこやかな/中田剛

十一や忘れられゐし土饅頭/佐々木六戈

十一や樹海へ続く溶岩の道/小川斉東語

十一月古きビートルズが歌ふ/中村明子

十一月壁に射す日の白かつし/高澤良一

十一や牧の昼餉は樹に寄りて/橋本榮治

十一月朔日服を替へて出づ/広瀬河太郎

十一月流れのままに古稀祝ふ/石村善郎

十一月石も素肌をさらすかな/平井照敏

俳句例:181句目~

十一や西湖ここより熔岩の岸/皆吉爽雨

十一月街路樹の色ゆたかなる/作山和子

地に沁みて十一月の光かな/市村究一郎

家族ゐて十一月のはじまりぬ/藺草慶子

山に入る十一月の背負籠かな/白岩三郎

微光かな十一月の蚊の声も/正木ゆう子

松ばかり冴えて十一月といふ/石塚友二

桃の木に十一月の日ざしかな/篠崎圭介

母をれば鳥啼きいづる十一月/折井紀衣

寒卵二、四、六、九、十一個/攝津幸彦

山荘の離室の目覚め十一に/尾亀清四郎

洗濯ばさみ強し鳶くる十一月/中山純子

混みあひて十一月の鬼籍かな/岩月通子

煙草の火十一月がすたすたと/美馬順子

十一面諸相にひゞく秋の雨/水原秋櫻子

純白の富士をたまはる十一月/川崎展宏

花少なき十一月に母死せり/和田耕三郎

迷ひ来て十一月の蝶黄なり/藤原たかを

赤んぼとががんぼ確かな十一時/小町圭

十一月の街淡白に歩きけり/佐々木耕之介