「地虫穴を出づ」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「地虫穴を出づ」について
【表記】地虫穴を出づ
【読み方】じむしあなをいづ
【ローマ字読み】jimushianaoizu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・地虫出づ(じむしいづ:jimushiizu)
・地虫穴を出る(じむしあなをでる:jimushianaoderu)
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季節による分類
・「し」で始まる春の季語
・「春の動物」を表す季語
・「仲春」に分類される季語
月ごとの分類
地虫穴を出づを含む俳句例
蟻穴を出づ吉原大門趾/里見梢
鳩よりも雀賢し地虫出づ/高木晴子
空港の全面鋪装地虫出づ/塩川雄三
蟻穴を出る縄文の住居跡/田村恵子
蟻穴を出でて動物園を馳す/大串章
啓蟄の蟻が早引く地虫かな/高浜虚子
焼土も蟻穴を出て走るなり/加藤楸邨
地虫出て靴の踵の急に減り/池田秀水
枯枝影動かずにあり地虫出づ/上野泰
地虫穴出るといふ日の街歩く/澤ゑい
地虫貌出す古代の微笑漂わせ/三谷昭
金策に妻出づ地虫穴を出づ/清水基吉
遠ざかる光年の果地虫の夜/三橋敏雄
菊園の晴れ厨房に地虫鳴く/松村蒼石
着る物のほとほと疲れ地虫出づ/林翔
下闇や地虫ながらの蝉の声/服部嵐雪
百姓の一言返事地虫出づ/米沢吾亦紅
二百三高地虫の音啻ならず/藤浦昭代
忙しき人の筆まめ地虫出づ/橋本榮治
蟻穴を出て地歩くや東大寺/松瀬青々
俳句例:21句目~
掘り出せし地虫刻々色変る/右城暮石
太陽に黒点地虫穴を出づ/岡本まち子
地虫出づ仏心仏語湧かしむる/吉田未灰
地虫出づ天地明るくなる程に/高木晴子
地虫出づ嬰の手足の深くびれ/白井爽風
地虫出づ日の山の音海の音/大峯あきら
麗日にあくまで深き地虫の穴/内藤吐天
蟻穴を出づ教会にアベマリア/山敷惠三
蟻穴を出て関節を鳴らしけり/赤塚五行
蟻穴を出でては居ぬか垣の内/高澤良一
地虫出て天日これに近づきぬ/下村非文
地虫出て釈迦の横臥や行者越/古館曹人
地虫啼く外は野分の月夜なり/臼田亜浪
地虫鳴く声を能面じつと聞く/品川鈴子
地虫鳴く外は野分の月夜かな/臼田亞浪
地虫出て自分が見えぬ日のありぬ/東都
塊に地虫はまろぶことありて/高浜年尾
停電の夜にて地虫なきいでつ/山口誓子
兄弟や地虫の穴にうづくまり/西山泊雲
帝陵に上らん地虫出でにけり/中瀬喜陽
俳句例:41句目~
半日の休暇をとれば地虫出づ/黒田杏子
呆けても腹の虫鳴く地虫鳴く/後藤綾子
床土のなれ遅き日の地虫羽虫/喜谷六花
愛鷹は雲の溜り場地虫出づ/菊池日呂志
地虫鳴く高千穂野ゆく夕月に/白川朝帆
地に月日空に月日や地虫出づ/橋本鶏二
日の暮の青天井に地虫なく/百合山羽公
日輪をゑがきし空や地虫出づ/橋本鶏二
昨日出し地虫も共に悲しめり/池田秀水
東山はればれとあり地虫出づ/日野草城
楽鳴らす壁画百仏地虫出づ/岡部六弥太
槐に地虫はまろぶことありて/高濱年尾
混濁の世に罷り出づ地虫かな/中野拓也
渓音も朝は朗らか地虫出づ/今井千鶴子
父葬りたる土よりも地虫出づ/橋本一水
百仏に穴を出あそぶ地虫かな/河野静雲
雨の玉土にころがり地虫出づ/橋本鶏二
綿々と阿漕つぶやく鳴く地虫/羽部洞然
老け急ぐ勿れ地虫も穴を出づ/小林康治
苗床の地虫を箆ではねにけり/高浜虚子
俳句例:61句目~
豚声の水に揃ふと地虫出づ/大木あまり
這ひ出でて分別臭き地虫かな/行方克巳
遺したくなき物の数地虫出づ/宮地英子
鮮しき蟻穴いくつも見て戻る/桜井博道
面こすり地虫出でけり大柳生/渡辺恭子
パレツトにのぞく親指地虫出づ/岡田貞峰
長き髭ささげて穴の地虫いづ/百合山羽公
峯づくる夜雲明るく地虫鳴く/金尾梅の門
杖先のおちいるところ地虫出づ/井沢正江
地虫出づるとも押入の母の闇/小檜山繁子
地虫出て金輪際をわすれけり/阿波野青畝
蟻穴をおほひし牡丹落花かな/成瀬正とし
地虫出て神を畏るゝこともなし/下村非文
地虫出づ穴に日射のあまねかり/高浜年尾
己が影を慕うて這へる地虫かな/村上鬼城
蟻穴を出でたるめくら走りかな/細川加賀
王冠を掃き転ばすや地虫出づ/佐野まもる
之を哭し之を笑ふや地虫出づ/相生垣瓜人
蟻穴を出でて二匹となりにけり/坊城俊樹
夜の酒のはなやぐ隙を地虫鳴く/小林康治
俳句例:81句目~
火の山の怒りをよそに地虫出づ/坂村とき
地虫出て来て三界はよきところ/後藤立夫
蟻穴を二ひきの蟻の出でんとす/京極杞陽
地に月日そらに月日や地虫出づ/橋本鶏二
竿竹屋来るたび特売地虫出づ/椙本千代子
地虫いづわが一生も末見えて/百合山羽公
地虫いづ同類の愛こまやかに/百合山羽公
抽斗に名刺がたまり地虫出づ/加倉井秋を
捨てられぬ合鍵ひとつ地虫出づ/橋本榮治
地虫こそ自我の孤独の声放つ/殿村菟絲子
芝焼くやどこかで地虫鳴く声す/河野南畦
姓の子等農を守りぬく地虫出づ/遠藤梧逸
蒸籠積む贋へつつひや地虫出づ/石川桂郎
地虫なく農家と同じ夕餉どき/百合山羽公
旧村居地虫なく頃ゆきて見む/百合山羽公
地虫釣り上げて午笛の鳴り終る/内藤吐天
地虫の窓覗く巨大な影となり/八木三日女
地虫なくさみだれ水の虚空にて/百合山羽公
夏立ちて地虫漏れなく日暮なり/百合山羽公
地虫鳴くつぐべき声をたしかめつ/中村汀女