季語/鰯雲(いわしぐも)を使った俳句

「鰯雲」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「鰯雲」について

【表記】鰯雲

【読み方】いわしぐも

【ローマ字読み】iwashigumo

子季語・関連季語・傍題・類語など

・鱗雲(うろこぐも:urokogumo)

季節による分類

・「い」で始まる秋の季語

・「秋の天文」を表す季語

・「三秋」に分類される季語

月ごとの分類

8月の季語

9月の季語

10月の季語

鰯雲を含む俳句例

松山に鱗重ねし鱗雲/裕

杉山に鱗重ねし鱗雲/原裕

朴葉味噌焦げたる匂鱗雲/旭

山川に洗ふ仏具や鰯雲/舟月

百畳の寺千畳の鰯雲/吉内健

秋風は鯨がちらす鰯雲/一雪

海国に光をさめし鰯雲/原裕

鰯雲鯛も鮑も籠りけり/北枝

鰯雲小学校を一周す/三村凪彦

熔岩原を一網打尽鰯雲/滝佳杖

木にある薬の香鰯雲/木村蕪城

筆名のほかは別の世鰯雲/龍太

密教の山中鰯雲密に/近藤一鴻

飛行雲時経て鱗雲と化す/誓子

鰯雲化野の墓隙間なし/艸眉子

神域を海まで拡げ鰯雲/長田等

花売に神嘗祭の鰯雲/石原舟月

廃山の町や全き鰯雲/大橋敦子

湖の空ある限り鰯雲/戸田静子

朝刊は秋田新報鰯雲/中岡毅雄

俳句例:21句目~

鰯雲立塞ぎけんふねの道/嘯山

ささ波の淡海音なし鰯雲/草堂

鰯雲療養祭と呼ぶ祭/村越化石

鰯雲生涯いつも一人旅/安原葉

鰯雲少年独り球を蹴り/浦濤聲

対馬とは只断崖の鱗雲/久米正雄

母の聲背後に若し鰯雲/相馬遷子

水が押す水の勢ひ鰯雲/今瀬剛一

疲れしと思ふ心に鰯雲/高濱年尾

三高の錆びし鉄門鰯雲/老川敏彦

電線の無き電柱と鰯雲/京極杞陽

島の崖一つ紅さす鰯雲/久米正雄

稲を干す村の夜空の鱗雲/中拓夫

都さす貨車が連なり鰯雲/桂信子

親は親子は子の山羊に鰯雲/森閑

荊冠に透く広島の鰯雲/奈良文夫

花芒払ふは海の鱗雲/芥川龍之介

大阪の隅にて仰ぐ鰯雲/品川鈴子

仲秋や夕日の岡の鱗雲/村上鬼城

伊勢近し尾花がうへの鰯雲/巴人

俳句例:41句目~

鰯雲天に愛語を聴くごとし/吐天

天覆ふ鰯雲あり放心す/山口誓子

色鉛筆一本買ひに鰯雲/松山足羽

鶏売の来て山中に鰯雲/村越化石

函館も故郷の一つ鰯雲/西本一都

分身の眼鏡磨けば鰯雲/河津玲子

切岸の巍々と迫りて鰯雲/林紀子

鱗雲時には鱗落したり/塩川雄三

夫に似し姿遠退き鰯雲/三宅鈴子

鰯雲后の御輦葉山出し/飯田蛇笏

猿島の猿が囃せり鱗雲/富田潮児

鰯雲青年われに歩を合はせ/林翔

鰯雲一子を託し転勤す/近藤一鴻

鰯雲老いを知らざる天の艶/林翔

窓拭が来てペンを擱く鰯雲/蓼汀

良寛の声高からむ鱗雲/岩月通子

樺太の岬は蒼ざめ鰯雲/久米正雄

教室は教師の砦いわし雲/樋笠文

自転車の妻に驚く鰯雲/斉藤夏風

鰯雲石棺におく石の蓋/今瀬剛一

俳句例:61句目~

鰯雲わが青春の万華鏡/鷹羽狩行

鰯雲この一族の大移動/茨木和生

鰯雲畑打つ女顔見せず/加藤耕子

鰯雲終着駅は起点なる/西村和子

高架駅僧犬と居り鰯雲/宮武寒々

縄で括る蛸壺の首鰯雲/西村公鳳

鰯雲桶屋は桶の中にゐる/龍岡晋

なほ上に鰯雲ある空路かな/年尾

鰯雲松の下枝に海見ゆる/上村占

鰯雲幾山川の夢の跡/新谷ひろし

鰯雲山海関に着きにけり/日原傳

死顔は人の輪の中鰯雲/古舘曹人

風透る森に声かけ鱗雲/大井雅人

人烟にしばらくは朱の鱗雲/紀音夫

鯖雲の鱗数へて観覧車/大塚とめ子

鯖雲や乾ききつたる岩の群/有働亨

鯖雲や地の淋しさの一風車/有働亨

働かぬ日の足だるき鰯雲/菖蒲あや

鯖雲や大神風のこと語る/河野静雲

制服のひとり揃わぬ鰯雲/二村典子

俳句例:81句目~

北山に地干しの丸太鰯雲/西村公鳳

双塔の水煙結ぶうろこ雲/狹川青史

鯖雲や放牛数へては忘れ/高橋美都

鯖雲や薬代にて追はれをり/有働亨

鰯雲いが栗の束手に荒き/渡邊水巴

鰯雲けふの日附の友の文/木村蕪城

鰯雲ずれ大空の誤植なす/都筑智子

鰯雲はたらく人を地に撒ける/耕二

いわし雲人はどこでも土平す/三鬼

鰯雲ゐざりつゝ色定りし/大沢繁女

喉元まで釦きつちり鰯雲/奥坂まや

鰯雲一対一は逃れ得ず/河野多希女

鰯雲不老不死薬並べおり/山田北夫

鰯雲二人で佇てば別れめく/岡本眸

鰯雲人に告ぐべきことならず/楸邨

いわし雲城の石垣猫下り来/森澄雄

鰯雲人を死なせてしまひけり/完市

地を離れ贅肉の無き鰯雲/櫂未知子

鰯雲個々一切事地上にあり/草田男

いわし雲大謀網へ進みたり/下田稔