「猪」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「猪」について
【表記】猪
【読み方】いのしし/しし
【ローマ字読み】inoshishi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・瓜坊(うりぼう:uribo)
・手負猪(ておいじし:teoijishi)
・猪道(ししみち:shishimichi)
・猪垣(ししがき:shishigaki_)
・猪罠(ししわな:shishiwana)
・猪穽(ししあな:shishiana)
・猪番(ししばん:shishiban)
・山鯨(やまくじら:yamakujira)
・猪肉(ししにく:shishiniku)
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季節による分類
・「い」で始まる秋の季語
・「秋の動物」を表す季語
・「晩秋」に分類される季語
月ごとの分類
猪を含む俳句例
猪を荷ひ行く野や花薄/白雄
猪や幸田露伴伝三巻/龍岡晋
猪の寝に行かたや明の月/去来
冬瓜の腸刳り檻の猪/山田晧人
猪が嚏し吾も嚏する/津田清子
銃ぐちや猪一茎の草による/石鼎
猪追の寝入か藪の子規/内藤丈草
猪の腸あらふ瀬波かな/飯島晴子
朝露や猪の伏す芝の起上り/去来
猪の露折かけてをみなへし/蕪村
猪の肝食つて舞ふ榊鬼/辻恵美子
猪の注意札立つ旧街道/斉藤葉子
一通り猪の牙の跡の薄かな/之道
猪の血抜の一夜音やまず/小澤實
猪の足跡のぞく猟師かな/原石鼎
猪の静な年や粟ばたけ/内藤丈草
猪の首の強さよ年の暮/野澤凡兆
猪の鼻が藷掘る無月かな/龍岡晋
猪もともに吹るゝ野分かな/芭蕉
猪を飼ひ猪鍋を商へり/川口咲子
俳句例:21句目~
妻帯を淋しと思ふ猪威/辻田克巳
猪に露の事あり最晩年/永田耕衣
銃口や猪一茎の草による/原石鼎
猪村に猪食べて秋爽かに/原コウ子
猪担ぐ一団に会ふ秋葉道/小林静村
猪威し烽の山に響きけり/栗原稜歩
猪の荒肝を抜く風の音/宇多喜代子
猪垣をことに手厚く水の秋/飴山實
猪垣や伊勢神領の尽く処/秋谷鉄朗
疾走の猪乗せて賀状来る/池森昭子
猪の尾の短日となりにけり/龍岡晋
臥猪かと驚く朴の落葉かな/泉鏡花
猪垣の袖重ねたり出入口/舘野翔鶴
猪の跡人工林を素通りに/赤座閑山
初寄席の池田の猪の雪景色/飴山實
初雪や末の玄猪の荒れついで/斗文
猪撃ちの黙殺に遇ふ峠道/高澤良一
前山に夕霧上り猪をどし/小川芋銭
勢子はみな男熊野の猪撃女/中/裕
勾玉の牙に懸蔓猪を舁く/橋本鶏二
俳句例:41句目~
猪の露折りかけてをみなへし/蕪村
肩にせる銃身細き猪猟師/右城暮石
猪の庭ふむ音や木の実ふる/炭太祇
猪鹿と喰ひ春雪に口晒す/石川桂郎
猪食つて山便りせん鎌倉へ/原石鼎
猪の皮干してある桜かな/太田土男
大南瓜猪勇押へし縄目跡/香西照雄
月明の毘沙門坂を猪いそぐ/森慎一
大猪逆さに吊られ店先に/伊藤一子
猪垣のむすびめきれて秋の風/暁台
猪肉の包み大事に故里人/細見綾子
猪垣の母なる山に傾きぬ/斉藤夏風
山國のもの~しさよ猪威し/原石鼎
猪垣の内石垣の上に住む/藤田雅子
門前の家商へる玄猪かな/松藤夏山
猪のぬた場の山も月光裡/飯田龍太
猪垣に余寒はげしや旅の空/炭太祇
銃先に猪出て暗し十三夜/内山亜川
猪垣の一ケ所に向け投光器/林周作
猪買いの老睾丸の行方かな/永田耕衣
俳句例:61句目~
池に猪浸けて三河も奥の宿/高木石子
猪食うて悪食話尽きるなし/島村茂雄
猪食べて北の畳に日が廻る/清水経子
炭竃に手負の猪の倒れけり/野沢凡兆
炭竈に手負の猪の倒れけり/野澤凡兆
玄猪餅抛ればうけぬ牛の口/西山泊雲
玄猪餅牛の口ヘも二つ三つ/西山泊雲
瓜坊の猪突初めの転びけり/竹田恵示
瓜坊の花野の寝床月のぞく/沢木欣一
石の島石積み上げて猪垣に/塚田正子
へな~と猪肉焼けて年忘れ/萩原麦草
空ぐせや尾花が末の猪子雲/加舎白雄
能勢颪農夫等わかつ猪の肉/羽田岳水
腹裂きし猪を吊せば霙くる/茂里正治
わか水やおよそ玉川猪のかしら/白雄
猪から雨かかりけり苗代田/萩原麦草
藷の付く頃を猪よく知れり/高澤良一
襟巻や猪首うづめて大和尚/村上鬼城
赤猪子の怨嗟の紅に蓮咲く/大橋敦子
逡巡として瓜坊の足どりや/鈴木栄子
俳句例:81句目~
過疎村の乏しき畑に猪の害/河野美奇
猪の四つ脚吊りの無月かな/後藤綾子
人の来て言ねばしらぬ猪子哉/炭太祇
人生を発明し得ず猪を食ぶ/永田耕衣
仕留めたる猪を担ぐに栗の棒/下田稔
猪垣は粗にして低く長きもの/米谷孝
猪の砂を身にぬる枯野かな/高田蝶衣
凍豆腐月の猪垣遠巻きに/大竹きみ江
出没の珈琲を猪と思いけり/永田耕衣
猪の篠根掘喰ふかれ野かな/加舎白雄
猪の肉いたみて届く十二月/石川桂郎
利口者猪にまたやられけり/高澤良一
猪もまたわが随身や山暮し/福井圭兒
猪をかつぐ一団通るなり/瀧澤伊代次
猪を吊り煌と祭の知知夫彦/古舘曹人
猪を撃ち損ねし非難一身に/目黒一栄
魁けて猪に垣結ふ宇陀の神/岩間英一
猪吊す庭木に棒を架け渡し/右城暮石
大寒や釘付けに干す猪の皮/木内彰志
実茨や猪の通りし跡ありて/菊山九園