「冷奴」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「冷奴」について
【表記】冷奴
【読み方】ひややっこ
【ローマ字読み】hiyayakko
子季語・関連季語・傍題・類語など
・冷豆腐(ひやどうふ:hiyadofu)
・水豆腐(みずどうふ:mizudofu)
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季節による分類
・「ひ」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
冷奴を含む俳句例
一献に癒す疲や冷奴/野村喜舟
兄弟の夕餉短し冷奴/加藤楸邨
大山の水が命の冷奴/高澤良一
冷奴隣に灯先んじて/石田波郷
冷奴醤明るく広がりぬ/高澤良一
半丁のこれで充分冷奴/高澤良一
千年を飛び一刹の冷奴/古舘曹人
節約は美徳と習ふ冷奴/高澤良一
冷奴米寿の父の予定表/小高沙羅
雷の四、五頭走る冷奴/坪内稔典
冷奴ほとけの夫と半分こ/堀恭子
忽ちに雑言飛ぶや冷奴/相馬遷子
冷奴寺の扉の少し開き/柿本多映
大山詣水に研がれし冷奴/田中俊尾
雲中の床几となりぬ冷奴/綾部仁喜
堅苦しき挨拶は抜き冷奴/長谷川櫂
長旅を終へて二人の冷奴/松本正弘
衰へは歯より始まる冷奴/高橋悦男
ギヤマンの鉢重代や冷奴/野村喜舟
膳代り盆にしつらふ冷奴/石川桂郎
俳句例:21句目~
一痕の月に旅愁や冷奴/五十嵐播水
冷奴いの一番の客であり/角川春樹
崩さねば何もおこらず冷奴/赤松勝
箱膳にのらざる鉢や冷奴/野村喜舟
癌癒えてよりの歳月冷奴/添野かよ
男も馬鹿女も馬鹿の冷奴/佐藤和夫
父の忌の川風とほる冷奴/館岡沙緻
冷奴青紫蘇の香の一入に/野村喜舟
死も一字生も一字や冷奴/大西一冬
方便の嘘をつきをり冷奴/白井新一
北嵯峨の水美しき冷奴/鈴鹿野風呂
冷奴雨露しのぐ家でよし/渡辺虹雨
文弱の臍ゆるびしや冷奴/小林康治
冷奴まずは柱を冷やしおけ/森田廣
冷奴酒系正しく亨け継げり/穴井太
山寺の正方形の冷奴/北村/光阿弥
冷奴不遇を喞つ膝組んで/小林康治
抗議せし拳やすくふ冷奴/玉城一香
冷奴回りの早き昼の酒/川久保野人
冷奴無病息災とも言へず/水原春郎
俳句例:41句目~
老師此頃酒用ひずよ冷奴/青木月斗
妻は旅に仮のやもめの冷奴/上村占
冷奴布目ばかりの患者食/石川桂郎
御岳をかくす山見て冷奴/大島民郎
山川にとけし独りの冷奴/栗林千津
冷奴柱時計の音ばかり/柳家小三治
いさぎよく割箸裂きて冷奴/根岸善雄
風道の部屋に卓置く冷奴/宍戸富美子
ことさらに寄り添ふ女冷奴/田中冬二
鼻先にすつと出できし冷奴/星野恒彦
参拝の信徒に一施冷豆腐/上田正久日
献立書に冷豆腐や夫を残す旅/及川貞
つゝがなく逼塞身や冷奴/徳永山冬子
にんげんに老いる贅沢冷奴/丘はるか
もてあましけり十月の冷奴/松尾隆信
二人の膳すぐに整ふ冷奴/山根きぬえ
何ごとも半端は嫌ひ冷奴/鈴木真砂女
冷奴に言い寄られては回復期/穴井太
冷奴はや硝子皿のみ残る/徳永山冬子
冷奴われも市井の一作者/深川正一郎
俳句例:61句目~
冷奴一人暮しもやや慣れて/小林敬直
冷奴寡黙に馴れし共白髪/村上真佐子
冷奴水を自慢に出されたり/野村喜舟
冷奴氷截り出すやうにきる/高澤良一
冷奴貴方も齢と云はれをり/高澤良一
冷奴買ふ鍛冶の妻また妊む/宮武寒々
冷奴離れて坐る保身かな/金子かをり
冷奴父には地下水響きます/駒走鷹志
夜逃げした若い父さん冷奴/中烏健二
庭のもの青いちぢくや冷奴/鈴木花蓑
旅終へて普段の暮らし冷奴/岩崎健一
旅遠き子をうつろとす冷奴/桂樟蹊子
日本語がとつても上手冷奴/梅本初子
早すぎる夫の帰宅や冷奴/大場ひろみ
晩酌のくせのつきたる冷奴/松山声子
晩酌の今日もごきげん冷奴/高澤良一
桶に咲きし桔梗は秋や冷奴/渡邊水巴
考へがあつての馬鹿を冷奴/加藤郁乎
独り居の無口身につき冷奴/澤島郁子
神経を抜いて冷奴を喰へり/大石雄鬼
俳句例:81句目~
糊固きものまとふ夜の冷奴/河府雪於
繰りかへす惣菜帖や冷奴/大場白水郎
藍匂ふテーブルクロス冷奴/一条悠子
運といひ命といひ冷奴かな/加藤郁乎
雲の上に遠不二ありぬ冷奴/稲荷島人
冷奴のんどに不二の根雪かな/渡辺恭子
さそくなるを第一としつ冷奴/高田蝶衣
そばに居る妻の眼を借る冷奴/村越化石
下戸われに酒豪の子とは冷奴/伊東白楊
冷奴今日るすの子の茶碗かな/増田龍雨
冷奴掬ひながらに目くばせを/田中冬二
冷奴箸おもむろに何処欠かん/高澤良一
島がみな見えるさびしさ冷奴/永末恵子
冷奴紫蘇の風味をいかしけり/高澤良一
古家や冷奴おごりならねども/飯田蛇笏
地にひびく雨となりけり冷奴/村越化石
昼間見し田のひしひしと冷奴/廣瀬直人
もてなしの客三日目の冷奴/織部れつ子
冷奴食べ余生とはこんなもの/山田達雄
冷奴真白きものに廃りなし/細木芒角星