俳句例:201句目~
日焼の躬うつれるところ水母かな/佐野良太
からまれる蚕をほぐす日焼の手/大木あまり
くづほるる酒灼け顔の日焼けして/石原八束
すこやかに杣の娘として日焼け/成瀬正とし
日焼して乙女の十五あどけなし/稲垣きくの
日焼少女を食はねばかわきをり/小檜山繁子
その頃の吾子によく似し日焼子よ/西村和子
ただ立つてゐる日焼子の笑顔かな/綾部仁喜
カヌー漕ぐ鼻の日焼けて夫の貌/伊藤いと子
三日会はぬ男の子の日焼刮目す/中戸川朝人
人よしの日焼まさりて老いにけり/石原舟月
保津川の舸子のくらしに日焼して/山田弘子
児の背丈日焼加へてまた伸びて/山根きぬえ
鯉の子に日焼けし旅の面よせぬ/石橋辰之助
四肢投げて微動だもなき日焼かな/山県幸枝
夕ながき湖畔日焼けし父子の顔/石橋辰之助
日焼たる顔あきらめて化粧ひをり/稲畑汀子
夜は街の灯を恋うてありく日焼人/島田青峰
日焼あせ八月の日もとぶごとし/能村登四郎
日焼けしてピカソの生家通りけり/藺草慶子
俳句例:221句目~
日焼けして一人降り佇つ無人駅/米山登美子
日焼田をあはれと見るも日毎かな/高濱虚子
日焼せしままわづらひの肌を脱ぎ/中村汀女
日焼けして目の下乾く三十路かな/谷口桂子
日焼せし旅路のあとのなつかしく/文箭もと女
行儀よく帯しめてゐる日焼かな/久保田万太郎
コイン投ぐ日焼ひるまず肩越しに/稲垣きくの
牟婁の子のしんそこよりの日焼顔/高橋淡路女
アルバイト学生としてよく日焼け/成瀬正とし
また来ようねとまだ日焼けせぬ二人/大屋達治
日焼の子笑ひて居りぬ遠くより/長谷川かな女
喪服著るときこの日焼似合はなく/嶋田摩耶子
町に逢ふ日焼顔にもゼンチョの血/下村ひろし
医者通ひ日焼さそひて癒えそめぬ/古賀まり子
先んじて日焼けてゐるも彼らしく/深川正一郎
日焼少女厚塗りの絵をはづかしがる/桜井博道
遅々として日焼田の穂の出揃はず/都甲/康枝
日焼さむたのしき記憶消ゑずあれ/山口波津女
ホイツトマン日焼の胸を持ちゐしか/香西照雄
忌に逢うて日焼せし子とその妻と/伊藤いと子
俳句例:241句目~
釣堀やみな日焼けたる釣りなじみ/池内たけし
日焼してことば少女期までもどる/上田日差子
日焼してくちびる厚くなりにけり/木村淳一郎
シャワー浴ぶ日焼けて戦知らぬ肩/櫛原希伊子
父母よりも日焼子はいま友恋へり/宍戸富美子
顔よりも腕の日焼けておかあさん/和田耕三郎
日焼けせぬ肌寄るべなし風の椅子/上野さち子
やす持てる日焼子のそば通りけり/鈴木しげを
夜の燈下に日焼けの子等を打見たり/島田青峰
沼のことなんでも知つてゐる日焼/石井とし夫
これみよとばかりの胸の日焼かな/久保田万太郎
病む妻に笑ひを与ふわが鼻日焼の鼻/磯貝碧蹄館
日焼の手のべてわかれを惜みけり/久保田万太郎
眼のなかまで日焼けし吾子を駅に迎ヘ/宮坂静生
燕来る日の何の使か子の日焼け/飛鳥田れい無公
昇降機に来て日焼けの腕を触れ合はす/宮坂静生
塩田鋤く骨まで日焼けてゐるごとく/加藤知世子
スパゲティくるくる食べる日焼の娘/阿部美代子
シヤーベツト潮焼のかひなあらはなる/原田種茅
日焼童子洗ふやうらがへしうらがへし/橋本多佳子
俳句例:261句目~
彼の日焼けざりしこれの七輪を火鉢とし/西本一都
応召者の子で棒切れの銃で潮焼けしてる/清内路二
数珠巻く手首火の意が清し日焼けてぞ/磯貝碧蹄館
淋しいからだれよりもだれよりも日焼け/橋田サカエ
ビーチバレーの日焼けピチピチガールかな/高澤良一