「昼寝」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「昼寝」について
【表記】昼寝
【読み方】ひるね
【ローマ字読み】hirune
子季語・関連季語・傍題・類語など
・午睡(ごすい:gosui)
・昼寝覚(ひるねざめ:hirunezame)
・昼寝起(ひるねおき:hiruneoki)
・昼寝人(ひるねびと:hirunebito)
・三尺寝(さんじゃくね:sanjakune)
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季節による分類
・「ひ」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
昼寝を含む俳句例
腸の水の山彦昼寝覚/高澤良一
山寺や昼寝の鼾時鳥/正岡子規
半身は簾の内や昼寝人/辻桃子
皆人の昼寝の種や秋の月/貞徳
皆人の昼寝の種や夏の月/貞徳
窓形に昼寝の台や簟/松尾芭蕉
魂の昼寝の身去る忍び足/上野泰
湖に篠つく雨や昼寝覚/長谷川櫂
歌垣の山ふところや昼寝覚/原裕
金守昼寝も池の水音なか/原好郎
梟の昼寝の夢や夏木立/正岡子規
梟の置物模糊と昼寝覚/高澤良一
今迄は罪もあたらぬ昼寝哉/一茶
山門に旅商人の昼寝哉/正岡子規
たが為ぞ朝起昼寝夕涼/榎本其角
人を見て又々むりに昼寝哉/一茶
霊山や昼寝の鼾雲起る/正岡子規
昼寝組雑談組や山の荘/山本晃裕
雷をさそふ昼寝の鼾哉/正岡子規
霊山や昼寐の鼾雲起る/子規句集
俳句例:21句目~
神護景雲元年写経生昼寝/小澤實
声の主一体誰や昼寝覚/高澤良一
手鞠唄耳に残りて昼寝覚/柴田奈美
講習の袴をぬぎて昼寝哉/正岡子規
昼寝猫袋の如く落ちてをり/上野泰
上人の昼寝さまさじ糸桜/野村泊月
昏昏として長昼寝秋風裡/川端茅舎
洗濯機の反転忙し昼寝妻/田部黙蛙
皆ひとの昼寝のたねや秋の月/貞徳
鬚白き竹の翁の昼寝かな/細川加賀
馬方は鞍に昼寝や馬歩む/正岡子規
菜食の母の昼寝に雲白し/鈴木鷹夫
ひるがほに昼寝せうもの床の山/翁
褌を滝にひたして昼寝哉/正岡子規
鵜づかひの昼寝の床や蠅の声/史邦
大欠伸谿に放ちて昼寝覚/福井圭児
風吹て枕はつれし昼寝哉/正岡子規
人並に昼寝したふりする子哉/一茶
一切を抛擲し去り大昼寝/高浜虚子
魂棚の見えて淋しき昼寝かな/鬼城
俳句例:41句目~
地球儀の一点の島昼寝覚/梅園芳郎
雷をさそふ昼寐の鼾かな/子規句集
麦藁を枕に瓜の昼寐かな/赤木格堂
顔痺れ昼寝終りぬ風の中/斎藤空華
行年を鴎の朝寝昼寝かな/渋川玄耳
あたりから昼寝の客や夏の亭/桃隣
田植あと昼寝の蹠やはらかし/楸邨
昼顔に昼寝夕顔に夕寝す/正岡子規
赤ん坊の昼寝妨げ駄目爺/石塚友二
本堂や昼寝無用と貼札す/尾崎紅葉
勿体なや昼寝して聞く田植唄/一茶
午前中三面六臂午後昼寝/伊藤瓔子
昼寝して顔のかなしき青瓢/森澄雄
古里の風は昔のまま昼寝/杉橋仙蕉
渋紙に渋引く人や昼寝起/正岡子規
号外や昼寝の夢を驚かす/正岡子規
吾子昼寝なかば握りし指敏く/篠原
累代の母恋しやな昼寝覚/三橋敏雄
命綱軒に吊して海女昼寝/西岡安夫
紙たたむ音擦過せり昼寝覚/有働亨
俳句例:61句目~
土工等の昼寝の刻を蝶雀/右城暮石
鉄橋下岩散乱す昼寝覚め/飯田龍太
海よりも陸荒々し昼寝覚/宮坂静生
傘張の傘に隠るゝ昼寝哉/正岡子規
船つけて昼寝にはまた薫る風/素丸
白麹冬を昼寝の母怖ろし/成田千空
朝寝昼寝夏の夜長し五月雨/調盞子
蹼を育てていたる昼寝覚/久保純夫
天草を枕砂ふり女の昼寝/羽部洞然
昼寝覚針刺に針光りをり/館岡沙緻
昼寝覚流れ変りて雲白く/長谷川櫂
松籟に夢や通へる僧昼寝/松藤夏山
昼寝覚崖の上径人往かず/林原耒井
昼寝覚家内暗き吾が四十/菖蒲あや
魂を天に預けて大昼寝/高橋加津夫
昼寝覚凹凸おなじ顔洗う/西東三鬼
人歩む二階の音や昼寝覚/西山泊雲
冬晴れや朝かと思ふ昼寝ざめ/草城
昼寝覚め魂息を吹きかへし/上野泰
帆立貝沖へ帆走る昼寝かな/龍岡晋
俳句例:81句目~
干瓢の乾く風ある長昼寝/上野波翠
干麻に汗の笠抛げ縁昼寝/西本一都
別院の三百畳に昼寝かな/宮本旅川
盗人の昼寝の上や揚雲雀/正岡子規
悠久の印度大陸にて昼寝/藤戸秀庸
昼寝妻顔存分に眠つたり/草間時彦
昼寝して雲散霧消時の枷/高澤良一
大昼寝湖の底抜けんとす/眞鍋呉夫
すぐ覚めし昼寝の夢に鯉の髭/森澄雄
昼寝して我は当家の山頭火/高澤良一
たまたまの昼寝も襷かけながら/篠原
昼寝して童の頃の夢を見て/京極杞陽
昼寝して腕むっちり如来肌/高澤良一
昼寝して臍に雲おく清水越/正岡子規
魂を宙にとどめし昼寝かな/成瀬正俊
熊の皮に昼寝の和尚松の花/河野静雲
混血幼児みな昼寝して照紅葉/及川貞
魂のもどりし気配昼寝人/中田みづほ
昼寝する姿さながら一汐木/高澤良一
深閑と雲湧くところ秋昼寝/長谷川櫂