季語/胼(ひび)を使った俳句

「胼」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「胼」について

【表記】胼

【読み方】ひび

【ローマ字読み】hibi

子季語・関連季語・傍題・類語など

・胼薬(ひびぐすり:hibigusuri)

季節による分類

・「ひ」で始まる冬の季語

・「冬の生活」を表す季語

・「晩冬」に分類される季語

月ごとの分類

1月の季語

胼を含む俳句例

煙あげて皸薬貝の中/今村野蒜

左手の法則に塗る胼薬/日原傳

勤行に腕の胼やうす衣/炭太祇

金火箸焼きし父亡し胼薬/森淑子

胼皹以下に百効百草湯/大石悦子

皸をかくして母の夜伽かな/一茶

出代や貝殻捨つる胼薬/水野柿園

皸へ筑波土産のがま膏/岡野寛人

抽斗の古き匂ひや胼薬/小杉余子

胼の手を銀婚式の膝の上/伏見一路

胼の手を皹の足を己かな/尾崎迷堂

軽石をあてゝ痛しや胼踵/粟津福子

范叔の涙たるゝや胼の頬/尾崎紅葉

婢になくてはならぬ胼薬/細江大寒

爪つんでやる子の胼早い/喜谷六花

下男下女胼皹を話し居る/岡村三鼠

皹の胼の薬も問はれけり/谷口雲崖

年越や鏡の前の胼ぐすり/皆川白陀

皸や棕櫚縄太う車井戸/東洋城千句

胼の妻人を疑ふこと知らず/渡部桜

俳句例:21句目~

絹糸をあつかふ故に胼手入/中西蘖

おのれ然も僻地教師か胼薬/木村蕪城

銭掴み胼の手最終レース終る/杉本寛

陶匠の胼塗りつぶす陶の土/品川鈴子

雪の山遥かに胼を佗ぶ日南/島田青峰

面影もおぼろに母の胼ぐすり/荒木梢

太郎冠者皸しるき手ぞ大き/三宅句生

皸の小さき手もて歌を抱き/石原八束

胼の妻銀婚式のことをいふ/橋本鶏二

胼の手に梁塵秘抄薄かりき/丸山南石

ピアニスト黄金の手に胼薬/小島左京

暗がりに胼薬塗る母を見し/鷹羽狩行

朝市の胼の手に編む布草履/中田勘一

胼の手や暖められつうき涙/野村喜舟

正月や胼いたましき采女達/高井几董

古胼やひとり琴ひく松のひま/及川貞

胼も癒ゆ滞空ながき谿の鳶/友岡子郷

胼妻にお講の鉦や誘ひ打つ/皆川白陀

胼薬おとして熱き炉灰かな/西島麦南

胼薬しみ入る農書開きけり/清水武を

俳句例:41句目~

胼薬つめし小磯の小貝かな/田中蛇湖

退学の用紙を胼の手に渡す/羽部洞然

妻の手に託すたつきよ胼薬/小林康治

箒編む枠木の下の胼ぐすり/西本一都

妻の胼偸む夕刊ひろげては/皆川白陀

匙落ちし音皸にひびきけり/百合山羽公

さも貞淑さうに両手に胼出来ぬ/岡本眸

綿雲のぽつかり浮かぶ胼薬/佐々木六戈

晩婚の妻子の胼をいたみけり/西島麦南

胼痒し鉛筆をもて掻くことも/木村蕪城

正月や胼の手洗ふねもごろに/杉田久女

皸のなき手を見せて陶土練る/稲畑汀子

皸に糸のくい入る夜機かな/村松かず枝

皸といふいたさうな言葉かな/富安風生

胼の手を比べどの子が又三郎/小室善弘

髪ひとすぢからまる貝の胼薬/横山万兆

肩をもむ妻の胼の手頬にふれ/八木絵馬

胼の手に祝賀の指輪贈らるゝ/塩田育代

閨の内手鍋の胼をかくしけり/尾崎紅葉

鉄火鉢胼なき我手伸べがえし/原田種茅

俳句例:61句目~

胼かなし親なき後のこと思ふ/高濱年尾

胼割れの指に孤独の血が滲む/三橋鷹女

胼の手と美しき手と同期生/北野里波亭

胼の手に暦売るより外なきか/神山杏雨

妻の胼我が胼子等は育ちつゝ/西山胡鬼

買ひためて信濃の子等へ胼薬/加藤楸邨

帰郷女工ら胼の手叩き合唱す/羽部洞然

胼の手を真わたに恥る女かな/高井几董

我が掌の子の胼の手ざらざら/喜谷六花

胼の手にとりたる筆と思ひ読む/高濱年尾

胼の手にさやる他人の白無垢ぞ/久米正雄

胼の手の己れいたはる指輪買ふ/相馬沙緻

針寒うして燈下に胼を吸ふ音す/尾崎紅葉

みとる夫学問の手を胼にして/柴田白葉女

胼の手も交りて歌留多賑はへり/杉田久女

胼の手に水買ふ銭をわたしけり/石原舟月

皸のところにばかり物あたる/藤原風驚子

飯もりの樽ひろふ子の胼を泣く/羅蘇山人

そとかくす皸の手を見のがさじ/臼田亜浪

薪割れば血を吹く胼や冬の梅/金尾梅の門

俳句例:81句目~

塾帰り小さき胼の手さすりやる/玉澤淑子

夜はひそと胼をいたはり勤め妻/皆川白陀

大き手の母の手死して胼癒ゆる/黒木夜雨

皸のてのひら見せて嗤はるゝ/久保田十水

皸の娘のほてる手に触はられぬ/飯田蛇笏

胼の手を病人に詫び足さする/鈴木早通甲

皸の手入れがすめば寝るばかり/児玉葭生

年寄のうなじの胼のいたはしや/河野静雲

皸の脈打ちてぞ夜をさいなめる/藤田光子

手の胼の自慢をし合ふ丁稚かな/羅蘇山人

胼しるき修道女の指聖書くる/大木かず子

胼ぐすり素顔にもどる珠の刻/白澤よし子

胼の頬を相寄せたりし母子かな/高浜虚子

胼の頬泣きぬるゝ子の親はわれ/西島麦南

あかがりをいざ灸せばや苅干火/広瀬惟然

胼の手に落つる涙をぢつと見る/高濱年尾

胼薬うぐひす色をしてをりぬ/長棟光山子

胼の手に託すや遺書を信濃路へ/加藤秋邨

胼薬つけてすぐ暗い方へゆく/加倉井秋を

胼の手の其の洗ふ俎板といづれ/尾崎紅葉