俳句例:101句目～
秋遍路大師の像に来て憩ふ/佐藤信子
お遍路の誰もが持てる不倖せ/森白象
子遍路の鈴走りゆく沈下橋/菊池妙子
秋遍路ざわめき来たり招き猫/辻桃子
框にも抽斗ありて遍路宿/今井つる女
お遍路の饌米袋より木/千々和恵美子
横風が来て倒しけり遍路杖/伊藤白潮
お遍路は時計回りに霊山寺/高澤良一
秋燕や船の中より遍路鈴/松園真沙子
お遍路や位牌洩瓶も荷の中に/辻桃子
秋の暮花摘んで遍路足早な/渡辺水巴
櫻の根に心許して遍路眠る/津田清子
屋島寺へ今し一人の秋遍路/酒井黙禅
山の湯に精進落ちの秋遍路/福瀬伯彩
山萌ゆる女遍路を一人容れ/沢木欣一
桜の根に心許して遍路眠る/津田清子
山間に靄立ちのぼり白遍路/吉野義子
この山の水美しと夕遍路/神尾久美子
年寄りの足の確かや夕遍路/高野素十
年玉を宿のわらべに老遍路/壺井久子
俳句例:121句目～
歩くこと即ち遍路心とも/高田風人子
石手寺の一番鶏や秋遍路/久重サヨ子
椿一輪描きし遍路便りかな/岩切青桃
短日の影濃き阿波の遍路墓/草乃波奈
御手洗をかこむ遍路の白脚絆/森田峠
御燈や遍路宛て文見当らね/石川桂郎
黒潮の下の径ゆく遍路かな/中島月笠
一団の来て白うせり遍路宿/川原つう
伸び来り更に伸びゆく遍路道/森田峠
装束の下にTシャツ秋遍路/斎藤宣子
遍路殿と室戸別れや花木槿/橋本夢道
日輪の生みしさざ波夏遍路/平松良子
遍路らに枝たれてゐる大桜/羽部洞然
街道を出でてお遍路一列に/白山晴好
手を休め遍路を通す溝浚/白澤よし子
元朝の掃き清められ遍路道/武知陸子
遍路笠羊歯にかむせて滝をがむ/清子
遍路鈴遠く近くに讃岐富士/武田禅次
遍路婆八十三の赤ゆもじ/鈴鹿野風呂
遍路みな悲しみ負へり桐の花/有働亨
俳句例:141句目～
八月も果ての没日の遍路道/飯田龍太
白き道流れてをりぬ冬遍路/齋藤愼爾
衆にして孤なりける白遍路/杉本雷造
遍路にも昼はさびしき榛の花/森澄雄
冬遍路耐へし帰山の生き仏/門屋大樹
白梅も紅梅も雨遍路かな/佐々木六戈
荷の中に絵筆携へ秋遍路/好崎二三子
白い道流れてをりぬ冬遍路/斎藤愼爾
下船なる島に遍路の列揃ふ/牛田美鈴
晩年の母の小振りの遍路鈴/品川鈴子
遍路病む枕頭金剛杖一本/岡部六弥太
現世の新聞を読む遍路終へ/品川鈴子
白峯や今からのぼる夕遍路/奥村霞人
荒鋤きの土美しや秋遍路/神尾久美子
野遊びと世は異ならず白遍路/森澄雄
同行の一人欠けたる秋遍路/関森勝夫
まだ白き手甲に杖の女遍路/橋詰壽則
歯を欠きしことも法難夏遍路/塩崎緑
一人の欠けし極月遍路かな/黒田杏子
遍路杖倒れてひびく稲の花/鈴木鷹夫
俳句例:161句目～
木瓜紅く明るく遍路みち古ぶ/朔多恭
班雪眩しと遍路鈴鳴らす/藤田ひろむ
われらにも一菜の膳遍路宿/高濱年尾
船室に鈴つつしむよ秋遍路/綾部仁喜
銘水を汲みに並びし秋遍路/山田晴彦
本堂の裏にぐつたり秋遍路/佐藤旅史
父淋し秋の遍路に母発たせ/三上水静
土筆出て遊び遍路と申すべし/森澄雄
潮騒や女人ばかりの秋遍路/河本好恵
蜥蜴出る道曼陀羅の遍路道/萩原麦草
堂ぬちの昼の闇より秋遍路/大森紅蔦
白く湧き白く動きつ遍路行/斎藤梅子
堂守を頼りに病める秋遍路/細川憲也
遍路一列生徒一列すれ違ふ/酒井康正
門前に杖を洗へる遍路かな/野村泊月
青饅やこの世を遍路通りゐる/森澄雄
塩田のゆふぐれとなる遍路かな/誓子
遍路笠沖は黒潮流れをり/益本三知子
胸中も白をよそほひ秋遍路/平綿涼風
満願の草鞋はき替へ秋遍路/枡田昭児
俳句例:181句目～
杖さへも重しと老の夏遍路/藤坂/梓
足摺の海を見てゐる秋遍路/真鍋/貞
夏霧らふ剣山さし老遍路/平間真木子
足悪き娘を伴ひて秋遍路/平山/愛子
胸中の昃りやすき遍路笠/柴田白葉女
反核の小旗背負ひて冬遍路/袋瀬淑仍
満願の杖のあふるる遍路寺/吉川/茂
結願の遍路冥加を賛へ合ふ/辻本斐山
結願の遍路と共の湯舟かな/早川典江
紙切れのやうに岬を秋遍路/吉田丁冬
憂国の面差し隠す遍路笠/池田琴線女
紅の櫛ふところに阿波遍路/有馬朗人
讃岐富士遠く近くに遍路鈴/武田禅次
大師千百年忌なる遍路衆/鈴鹿野風呂
船ゆれて手の鈴鳴れり秋遍路/別府一柚
船を待つ女人ばかりの夏遍路/安藤明子
船を待つ遍路の中を通りけり/鈴木鷹夫
草ずれの音をつなぎて秋遍路/北川英子
うつし世の端を一列秋遍路/井形千代子
草餅に河波の遍路の道なかば/山本洋子
