「初刷」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「初刷」について
【表記】初刷
【読み方】はつずり
【ローマ字読み】hatsuzuri
子季語・関連季語・傍題・類語など
・刷初(すりぞめ:surizome)
–
季節による分類
・「は」で始まる新年の季語
・「新年の生活」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
初刷を含む俳句例
初刷の紙の湿りや籬風/国見敏子
わが町の航空写真初刷に/高澤良一
初刷の郵便受に余りけり/阿片瓢郎
初刷の掌篇なれど宇宙譚/大島民郎
初刷の色鮮かに薩摩鶏/山元/秀女
初刷の極彩版は妻子占む/高澤良一
初刷を少年担ぐ腰入れて/広瀬一朗
初刷の匂と届く些々の幸/広本俊枝
初刷の海溢れたる机かな/関口比良男
世相変らざる初刷の第一面/野村慧二
初刷や動き出したる輪転機/武石佐海
初刷に出たりな古き傀儡師/尾崎紅葉
初刷やとどろと廻る輪転機/桜木俊晃
初刷の荷籠新たに郵便夫/岡本佐和子
輪転機止みぬ初刷了りけむ/梶田福女
窓に富士膝に初刷手に眼鏡/高澤良一
初刷の一書しづかに日の机/山田弘子
橇で着く初刷折るや雪の上/久米正雄
鉄瓶の湯気ゆらぐ影初刷に/永井龍男
ゆきずりに初刷香だつ始発駅/宮武寒々
俳句例:21句目~
初刷に世を見る眼鏡拭ひけり/酒井美幸
初刷に厨のものは湯気立つる/中村汀女
初刷に波郷詠なき哀しさよ/下村ひろし
初刷の二日おくれし山ごもり/清水文亭
初刷をたたんで渡す膝の上/甲田鐘一路
滑つこき初刷を取り落しけり/高澤良一
草の戸に挿す初刷や旭も斜め/久米正雄
初刷のまぬがれがたき誤植かな/轡田進
初刷の包みベルトに戴り始め/佐藤蜻蛉
初刷の折り目正しくはや翳り/永井龍男
初刷の散乱の果まどろみぬ/岡本まち子
初刷の天気図精緻極めたる/片山由美子
初刷の華やがせども寧からず/石田波郷
初刷の選外佳作のうまさかな/木山捷平
初刷やユタに一つの日報紙/左右木韋城
初刷や富士を二つに折りたたみ/石原透
初刷りの少し湿りて配らるる/飛鳥雅子
初刷を発利と車中に響かせて/高澤良一
初刷に立ち迫るかな富士の絵は/中村汀女
初刷のにほふ紙面に師の随想/斎藤みゆき
俳句例:41句目~
初刷の軽さ由々しき世を籠めて/永井龍男
初刷りの大小の穴切り抜きす/大森扶起子
初刷の真赤な日の出佳かりけり/野澤節子
初刷の匂ひのなかに師の句あり/朝倉和江
初刷をひろげて部屋を領したる/井沢正江
初刷を持ちて炬燵に入りにけり/吉屋信子
初刷の多色グラビア白は富士/上田五千石
初刷を買ふあたらしき財布かな/三橋鷹女
厚く重き初刷をすぐ読み終へぬ/相馬遷子
手の空く妻今初刷をまとめ読み/高澤良一
初刷やくさぐさわかつ奥と店/長谷川春草
初刷のめでたき重さありにけり/鈴木栄子
初刷の吾名はつきり読まれけり/椎橋清翠
寝床にて初刷バリと鳴らし読む/高澤良一
初刷の眼にしみにほひ鼻にしむ/畠中じゆん
手がけたる初刷なれば眼を凝らし/伊東宏晃
初刷に発車のベルの火のごとし/岩淵喜代子
初刷のばさと置かれて日浴びたる/岡田貞峰
初刷のはやとぢてあるホテルかな/山口波津女
初刷の危機てふ文字をみのがさず/小林白山子
俳句例:61句目~
初刷の刷りあやまりし表紙かな/久保田万太郎
初刷の雄々しき文字のかがやける/殿村莵絲子
大砲が巨きな口あけて俺に向いてゐる初刷/栗林一石路