俳句例:201句目~
初夢にさつぱりわやと青畝大人/後藤綾子
初夢を聞かせてくれし電話かな/山田弘子
初ゆめや富士で獏狩したりけり/幸田露伴
初夢を見てゐるらしや号令す/瀧澤伊代次
初夢の亡き母なぜに化粧ひせる/藤田湘子
土佐つぽの卒寿初ゆめすらなくて/及川貞
初夢を言ひあふに死の一語あり/皆吉爽雨
初夢の勃起しばらくつづきをり/本宮哲郎
初夢を追ひてしばらくうす瞼/馬場移公子
またとなき初夢なりし忘れけり/奈良/葉
初夢の山河わづかに濡れゐたり/大木孝子
初夢の大きな顔が虚子に似る/阿波野青畝
初夢はあたたかさのみ覚えゐし/平井照敏
思い出せぬ初夢窓ガラスに指紋/池田澄子
初夢のなかをどんなに走つたやら/飯島晴子
初夢のなかのむかしや竹のいろ/鷲谷七菜子
初夢のさだかならざるぬくみあり/永方裕子
初夢のあひふれし手の覚めて冷ゆ/野澤節子
初夢の師にお辞儀するところまで/黒田杏子
初夢のあさきゆめみし憂ひかな/山田みづえ
俳句例:221句目~
初夢に鬼見しことは告げざりき/ふけとしこ
初夢のただしらじらと覚めてなし/大野林火
初夢に安倍晴明召されけり/獨吟/岡本綺堂
初夢や野のただ中にただよひ覚む/太田鴻村
初夢に大いなる毬を貰ひけり/阿部みどり女
初夢をうかと見過ごししまひけり/古谷原升
初夢をたまはるほどのまどろみぞ/朝倉和江
初夢を獏に食はせるまでもなし/湯沢千代子
初夢を見をれるごとし覚ますまじ/岡本圭岳
初夢の覚むれば娘等のみな遠し/三戸/良子
初夢の壷中ぬけ出てさみしめる/上田日差子
初夢で逢ひしを告げず会ひにけり/稲畑汀子
手応へのなき初夢でありにけり/能村登四郎
初夢を浅ましがりて見てゐたり/相生垣瓜人
初夢の思ひ出せねどよきめざめ/三浦恒礼子
初夢にさだかな君のかなしけれ/大峯あきら
はつゆめの紐のゆるみし玉手箱/北見さとる
地震はたとわが初夢を断てりけり/西本一都
ぬるかりし温泉に初夢期しがたし/亀井糸游
初夢のひとごゑのなか父さがす/鈴木蚊都夫
俳句例:241句目~
初夢にドームがありしあとは忘れ/加倉井秋を
初夢を見てゐていはぬかなしかり/秋山巳之流
初夢もなくて老いゆくばかりなり/永田耕一郎
紅さして初夢のみめかたちかな/長谷川久々子
初夢に古郷を見て涙哉/一茶/寛政六年甲寅
はつゆめのせめては末のよかりけり/久保田万太郎