「初夢」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「初夢」について
【表記】初夢
【読み方】はつゆめ
【ローマ字読み】hatsuyume
子季語・関連季語・傍題・類語など
・初寝覚(はつねざめ:hatsunezame)
・初枕(はつまくら:hatsumakura)
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季節による分類
・「は」で始まる新年の季語
・「新年の生活」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
初夢を含む俳句例
初夢や林の中の桜の木/小澤實
初夢や漬物石を磧より/中田剛
初夢に故郷を見て涙かな/一茶
初枕狐の闇に眼を凝らし/星眠
初夢を占はしむる王者かな/春菫
初夢や額にあつる扇子より/其角
初夢や独占ふて曰く吉/小沼松軒
独り居の夢に尾のあり初枕/百間
初夢や浜名の橋の今のさま/越人
杣の子の初夢に樅太りけり/黛執
初夢の枕の上にひろがりぬ/章子
初夢に扉あく音山の音/永島靖子
初夢の後姿を追ひかけて/星野椿
初夢の覚めぬ姿に東山/鷹羽狩行
初夢や砲火の中に菊澄みし/林翔
初夢や夢一杯の帆かけ舟/龍岡晋
初夢のなかの高嶺の雪煙り/龍太
初夢になにやら力出しきりし/眸
初夢の吉に疑無かりけり/松瀬青々
初夢の白牡丹なる失明感/豊山千蔭
俳句例:21句目~
暁近く見し初夢も別事なし/安住敦
輦台に乗れる初夢大井川/高澤良一
初夢や秘して語らず一人笑む/松宇
力在るものと格闘初夢に/高澤良一
初夢の唯空白を存したり/高浜虚子
初夢の夢の叶はぬ足袋をはく/径子
初夢の滞空時間永きかな/能村研三
初夢の茄子も雀も同じ色/多田睦子
初夢や枕の横の幼な顔/永田耕一郎
初夢の右手右足良く動く/窪田桃花
初夢にお他力様の初仕事/高澤良一
初夢を話しゐる間に忘れけり/立子
初夢を美しとせし嘘少し/嶋田一歩
初夢の夫は軟体動物ぞ/栗原利代子
初夢や鎧兜を身にまとひ/池田秀水
初夢や金も拾はず死にもせず/漱石
初夢の父来てわれを肩車/木田千女
初夢の子等の枕の窪みかな/上野泰
初夢のマンボウ何と畳大/高澤良一
初夢はとまれ味寝の希はしや/瓜人
俳句例:41句目~
獏枕子のよき夢をつゆ知らず/兜子
解かれたる初夢の顔誰々ぞ/石寒太
初夢に河が光つてをりしのみ/秋を
初夢に父に遭ひしが叱られし/良太
うつゝなき妹が笑ひや獏枕/松瀬青々
怒濤音わが初夢を囲みけり/奥坂まや
夫が手の確かめにくる獏枕/大石悦子
もどきの絵一枚敷きて獏枕/矢島久栄
三人の子に初夢の三ツ降り来/上野泰
三途の川渡りそこねし獏枕/鈴木智子
初夢の父にもらひし平手打/前田白露
初夢の初蝶なりし白かりし/県多須良
初夢に塞翁が馬のその毛並/桂樟蹊子
初夢が覚め病人に戻りけり/小林一泉
初夢や赫々として馬の尻/大木あまり
初夢に尾鰭をつけし物語/大久保白村
初夢に座布団ほどの鰈釣れ/岡田立男
初夢に昔のヨイトマケの唄/高澤良一
初夢や船長として舵を取り/池田秀水
初夢に羅のつく十二神といる/渋谷道
俳句例:61句目~
初夢や夫の一喝もらひける/小西久子
初夢や大不可といふ落第点/水原春郎
初夢の母に言葉の戻りをり/緑川啓子
初夢に阿倍晴明召されけり/岡本綺堂
初夢の大河となりて音の無し/神蔵器
初夢のなくて紅とくおよびかな/鷹女
初夢の李白に酒をすすめられ/岬雪夫
初夢や母と渡りし長き橋/小野/鶴子
初夢に鳥叫をききゐたりけり/中田剛
初夢や半きれたる唐にしき/立花北枝
初夢もなく患者食運ばるゝ/萩原麦草
初夢のうきはしとかや渡りゆく/虚子
初夢の腰かけごろに柏の木/増山美島
初夢もなく寝揃ひの吾子ふたり/岳陽
初夢のうつつの夢と重なれり/寿々子
初夢もなき軒雀こぼれけり/石田波郷
初夢の崖縁をただ歩くかな/橋爪鶴麿
初夢の縄一本がポールに沿ひ/中田剛
初夢に見し踊子をつつしめり/森澄雄
初夢や波郷は若く吾老ゆる/杉山岳陽
俳句例:81句目~
初夢の中や一人で歩きをり/長部紅女
初夢の中より外へ出てしまふ/蔦三郎
初夢の盲となりて泣きにけり/不死男
初夢の駱駝ぬけゆく針の穴/小室善弘
初夢の駅の時計の進まざる/藤田湘子
初夢の思ひしことを見ざりける/子規
初夢に見しまぼろしや八達嶺/石寒太
初夢の覚めて電気の紐親し/西村和子
初夢の土鈴に波の音すなり/水野恒彦
初夢に髪膚の湯の香つづかしむ/正江
獨り居の夢に尾もあり初枕/内田百間
初夢のいきなり太き蝶の腹/宇佐見目
初夢のつづく曠野に父のこゑ/石寒太
雨ざんざ降る初夢に遇うは妻/隅治人
鮮明な初夢にして怖きかな/能村研三
初夢に見しふるさとは明治の世/瀧春一
初夢に馬駈る蒙古大草原/樹生まさゆき
初夢のあまたの歌の神に逢ふ/中村若沙
初夢のいつまで若き我ならん/福井圭児
初夢のかたちのままの寝床かな/日原傳