「初旅」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「初旅」について
【表記】初旅
【読み方】はつたび
【ローマ字読み】hatsutabi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・旅始(たびはじめ:tabihajime)
・旅行始(りょこうはじめ:ryokohajime)
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季節による分類
・「は」で始まる新年の季語
・「新年の生活」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
初旅を含む俳句例
初旅や島の昼餉の鯛茶漬/轡田進
初旅の鞄に加へ朱印帳/澤島郁子
旅人や鞍に梅さす初駅/安井小洒
初旅や月のみの空柔かく/呂啓愉
初旅や山を従へ船にあり/上村占
雪国の雪見ん心初旅に/宮田帰郷
還暦の初旅花の村に着く/下田稔
初旅の亀山の月曇る春/飯田蛇笏
初旅や銀の器に洋酒入れ/小島健
初旅の膳に両眼立てて蟹/亀井糸游
恒例の初旅年金取り崩し/高澤良一
初旅や存分に見し鶴の舞/大橋敦子
初旅や寒き若狭へ志ざし/野村喜舟
初旅の一舟かかる淡路島/羽柴鏡女
初旅や嵐の好きな一家族/遠山郁好
初旅や雪に灯の入る遠野郷/小島健
初旅の桟橋なれば大揺れに/辻桃子
初旅を慰め顔の野菊かな/正岡子規
初旅の鞄一個のレモン秘む/井上雪
初旅の肝に力の入る離陸/水上陽三
俳句例:21句目~
初旅や全き富士を天に置き/壺井久子
初旅や駄足のような尿重ね/金子兜太
初旅や近づくものに男山/佐野青陽人
初旅の吾に亀裂の干潟あり/榎本愛子
初旅の大山を負ふ駅つづく/皆吉爽雨
初旅に買ひし藺草の色紙掛/山田弘子
初旅の始動エンジン快調に/佐藤信子
蛸薬師にて初旅の夜が来ぬ/藤田湘子
初旅の宿は妻籠に定めけり/磯野充伯
初旅のぞつと裏富士抜衣紋/川崎展宏
初旅の駅毎に雪深くなり/石井とみ子
心臓の直しが利きて旅始め/高澤良一
初旅の靄にしづめる葡萄郷/山口青邨
初旅の一歩すなはち磯椿/岡本まち子
初旅のいつか添ひゐる浮寝鳥/吉田鴻司
初旅の友来る富士の裾野より/沢木欣一
初旅にすぐ艶歌師の恋の唄/殿村菟絲子
初旅に仰ぐシャガール抱擁図/村上光子
初旅に恋ふ山のあり湖のあり/山田弘子
曉闇を押しゆくごとく初旅へ/奈良文夫
俳句例:41句目~
荒海見んと一途な夫が初旅へ/槫沼清子
初旅の破魔矢挿す荷を枕上み/茂里正治
初旅のまづ万歳の三河かな/百合山羽公
雑木山にこぶし點々子の初旅/細見綾子
初旅の眼裏すでに雪降れり/古賀まり子
初旅の列車といふも一輛車/松倉ゆずる
磁石の蓋閉ぢて山旅始かな/上田五千石
初旅や赤ベコ首を振る車窓/町田しげき
初旅の熊野雷鳴もて明くる/山口超心鬼
初旅はシェークスピアの眠る国/星野椿
初旅や木瓜もうれしき物の数/正岡子規
初旅や山川つねにわが師なり/吉井莫生
初旅の靴の紐締む詩碑の前/山口超心鬼
初旅やまだ着こなせぬ母の衣/中嶋秀子
初旅や彼方よりただ新大気/中村草田男
初旅の雪の近江に雪あらず/百合山羽公
初旅の終る街の灯近づき来/梅田実三郎
初旅や住み憂きといふ能登の旅/瀧春一
地図好きの方と初旅して三河/高澤良一
初旅にして大いなる富士を見し/小林牧羊
俳句例:61句目~
初旅のつくづく木々なり烏なり/池田澄子
初旅の伊豆湯ヶ島にあくがるる/矢島渚男
初旅の富士の白無垢たぐひなし/西田浩洋
初旅や死出のごとくに片付けて/徳淵富枝
妻子つれし初旅法隆寺に暮れぬ/川口川郎
富士を見しこと初旅の余恵とす/辻田克己
初旅や母を看とりの汽車に乗る/藤間蘭汀
初旅や明るき雪の山つづき/阿部みどり女
初旅や午後の紅茶は東京で/佐土井智津子
何の生簀かんの生簀と知多初旅/高澤良一
初旅や小松がもとの菜の青さ/稲垣きくの
初旅の富士海に見し山に見し/石川星水女
初旅の橋をいくつも渡りしこと/伊藤通明
初旅を子に奢らるるめでたさよ/関口祥子
初旅の富士より伊吹たのもしき/西村和子
さきざきに富士を眩しむ旅始め/高澤良一
初旅の晴れ晴れしさよ焼津富士/大谷句仏
初旅に雪の富士見え言ふことなし/岩崎照子
初旅のしかも世に出る門出かな/鈴木洋々子
初旅のテレフォンカードまだ無傷/中尾杏子
俳句例:81句目~
初旅のしばしば富士に逢ひにけり/田村木国