「初芝居」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「初芝居」について
【表記】初芝居
【読み方】はつしばい
【ローマ字読み】hatsushibai
子季語・関連季語・傍題・類語など
・初春狂言(はつはるきょうげん:hatsuharukyogen)
・初曽我(はつそが:hatsusoga)
・春芝居(はるしばい:harushibai)
・二の替(にのかわり:ninokawari)
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季節による分類
・「は」で始まる新年の季語
・「新年の行事」を表す季語
・「新年」に分類される季語
月ごとの分類
初芝居を含む俳句例
初芝居苦節何十年の貌/高澤良一
満開の紙の桜の初芝居/佐野典子
南北の又棺桶や二の替/野村喜舟
太棹を三本揃へ初芝居/草間時彦
行燈に油を注ぐ春芝居/猪股洋子
暮方の空が大好き初芝居/中村和子
幕の内頼むも手順初芝居/鈴木栄子
箸にかゝるその白も二の替/原月舟
初芝居御用提灯揺れて幕/大島民郎
初曽我や敵を前に長科白/大堀柊花
近道にして街竝や二の替/古舘曹人
初芝居梅沢某の股旅もの/高澤良一
河岸に汐さしてくる初芝居/福島勲
緞帳の富士端麗に初芝居/伊東宏晃
山幕にうつる焚火や二の替/増田龍雨
かのせりふ待ちなる初芝居/横山昭作
二の替古き外題の好もしき/高浜虚子
上町に住める役者や初芝居/高浜虚子
国許の母が来てゐて二の替/富安風生
黒衣著て孫の後見初芝居/中村吉之丞
俳句例:21句目~
初芝居三吉賽を振りにけり/増田龍雨
隠居名の白猿襲ぎぬ二の替/野村喜舟
初芝居団十郎の烏帽子かな/子規句集
子役の声隅まで透る初芝居/安斉君子
初芝居工藤祐経好きになり/谷川邦廣
花は恋をまいた種也初芝居/井原西鶴
歌舞伎座へ妻に従ふ初芝居/中谷静雄
初芝居香水強き人の居て/富樫美津子
木偶にいま魂入りて初芝居/品川鈴子
初芝居木挽町なる地名無く/今泉貞鳳
道すがら半衿を買ふ初芝居/並松玉哉
幕間の帯も浮き立つ初芝居/今泉貞鳳
客席に役者もをりて初芝居/都筑智子
初芝居意休の咳も芸のうち/江口千樹
招待の旅程に組まる二の替/新島艶女
薄幸ゆゑ女うつくし初芝居/三木妙子
初芝居板東太郎を前にして/高澤良一
初芝居須磨子に積る紙の雪/古橋千江子
初芝居鼓に合はすなづな打ち/大谷純子
吉田屋も繭玉垂れぬ初芝居/水原秋櫻子
俳句例:41句目~
団十郎なきあとの初芝居かな/富崎梨郷
帰りゆく但馬は遠し初芝居/五十嵐播水
幕あきて舞台の寒気初芝居/依田由基人
座の紋の梅も匂ふや初芝居/水原秋櫻子
我住みし明治の世なり初芝居/高浜虚子
掛け声の闇より飛んで初芝居/寺岡捷子
初芝居出を待つ清め塩撒かれ/片岡我当
暗転といふしじまあり初芝居/中/享子
海老蔵に雪降らせけり初芝居/野口里井
病人のある気がかりや初芝居/高浜虚子
花道や足ゆびしつかと初芝居/三浦斗牛
逢へば泣く明治の恋や初芝居/中島順子
初曽我や柔と剛とを守り継ぎ/阿部朝子
二の替世は心中のはやりかな/野村喜舟
亡き母のひいきをひいき二の替/中火臣
日の本のその荒事や初芝居/東洋城千句
手拭の紙屋治兵衛も二の替/後藤比奈夫
初芝居坂田金平と名乗り出づ/岡本綺堂
春にまけて優長逝きぬ二の替/飯田蛇笏
初芝居我当一と役つゝましく/高浜年尾
俳句例:61句目~
初芝居浪速の恋をうつくしく/岩崎照子
花につらしつりがね三重初芝居/立花北枝
初芝居見に行くといふ妓も侍り/高浜年尾
初芝居母もわすれし江戸言葉/小沢満佐子
初芝居はね曽根崎の灯に濡るる/山田弘子
初芝居この世の外に遊びけり/今井つる女
初曽我や幕いつぱいのあばれ熨斗/龍岡晋
幌の中に見る小鏡や初芝居/阿部みどり女
初曽我や灯にひるがへる蝶千鳥/吉田冬葉
さそはれし妻を遺りけり二の替/正岡子規
妻あらば誘ひしをこの初芝居/能村登四郎
姉妹三人連れだつことも二の替/大橋敦子
幌に降る雪明るけれ二の替/阿部みどり女
思ひ切り泣くことにして二の替/島野汐陽
牡丹雪小やみもなくて初芝居/水原秋櫻子
琴責めの琴よこたへぬ初芝居/水原秋櫻子
年々歳々花相似たり初芝居/久保田万太郎
紙の雪髷に落ち来ぬ初芝居/阿部みどり女
初芝居馬うなづいて見せにけり/細川加賀
初芝居見て来て曠著いまだ脱がず/子規句集
俳句例:81句目~
初芝居見て来て晴著いまだ脱がず/正岡子規
初芝居おきく播磨に切られけり/稲垣きくの
歳々年々人同じからず初芝居/久保田万太郎
あの役者この役者なし初芝居/久保田万太郎
よく泣いて足りし心や春芝居/阿部みどり女
柝の入りてひきしまる灯や初芝居/水原秋櫻子
茶屋へゆくわたりの雪や初芝居/久保田万太郎
桝席は「いろはにほへと」初芝居/奥村すみれ
アヴエマリア鐘鳴りいづる初芝居/水原秋櫻子
播磨屋の句かゝげ歌舞伎初芝居/翁長日ねもす
こめかみに柝のひびきけり初芝居/片山由美子
炭の香のなみださそふや二の替/久保田万太郎
せりあげのなりものゝいま初芝居/久保田万太郎