「春雨」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「春雨」について
【表記】春雨
【読み方】はるさめ
【ローマ字読み】harusame
子季語・関連季語・傍題・類語など
・春雨(春の雨:はるのあめ)
・harunoame(:春雨傘)
・はるさめがさ(harusamegasa:)
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季節による分類
・「は」で始まる春の季語
・「春の天文」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
春雨を含む俳句例
梟も面癖直せ春の雨/一茶
片方は雪の降也春の雨/一茶
藪尻の賽銭箱や春の雨/一茶
春雨や鴬這入る石灯籠/杉風
春雨に大欠する美人哉/一茶
幸に柳も寝るや春の雨/吾仲
春雨の檜にまじる翌檜/龍太
春雨や魚追迯す浦の犬/一茶
膳先に雀なく也春の雨/一茶
鳩の恋烏の恋や春の雨/一茶
春雨や簑の下なる恋衣/几董
春雨や枕くづるゝ謡ひ本/支考
春雨やいざよふ月の海半/蕪村
春の雨烏の足に泡のつく/素檗
春雨や音滋き中今我あり/虚子
春雨や桐の芽作る伐木口/本好
春雨や障子を破る猫の顔/十丈
草山のくり~はれし春雨/一茶
穴蔵の中で物いふ春の雨/一茶
物かげに雉の光や春の雨/涼袋
俳句例:21句目~
春雨や藪に吹るゝ捨手紙/一茶
春雨や窓から直ぎる芝肴/一茶
傘さして箱根越也春の雨/一茶
春雨や塩屋塩屋の煙出し/鬼城
椽広く簷の春雨簾なす/久米正雄
春の雨昼間線のなき旅籠/上村占
春雨や明けがた近き子守唄/犀星
千本に肴屋多し春の雨/西山泊雲
春雨や投扇興の鈴の音/羅蘇山人
裁売の来ぬを恨みや春の雨/几菫
うたゝねに使三度や春の雨/几菫
春雨や少し濁りし筧水/高野素十
蓴生ふ池のみかさや春の雨/蕪村
春雨や切口にほふ楢櫟/向山隆峰
女恋う自嘲悔恨春雨急/土師清二
春雨や小磯の小貝ぬゝほど/蕪村
敷石に遺す春雨の軌あと/有働亨
聴法の暗き戻や春の雨/会津八一
春雨の中におぼろの清水哉/蕪村
築山に傘現れし春の雨/野村泊月
俳句例:41句目~
滝口に燈を呼ぶ聲や春の雨/蕪村
春雨の晴口見ゆれ澪標/増田龍雨
物弱き草の座どりや春の雨/荊口
琴作る桐の香や春の雨/夏目漱石
枯草の中に賑ふ春の雨/室生犀星
春雨に木辻泊りの夕哉/松瀬青々
春の雨瓦の布目ぬらし去る/綾子
旅人に遺る壁画や春の雨/有働亨
春雨や籬の上の京の町/野村泊月
春雨の積木豪華な家作り/上野泰
病院を出る老人や春の雨/岸田稚
春雨の花の上降り細さかな/篠原
一ッ舟に馬も乗けり春の雨/一茶
春雨の衣桁に重し恋衣/高浜虚子
春雨や京は町並琴の声/藤野古白
春雨に重き簑笠北陸線/沢木欣一
此庭の二重籬や春の雨/野村泊月
春雨や鏡に向ふ昼旅籠/井上井月
敷砂に蜆の殻や春の雨/野村泊月
やぶ入や親なき里の春の雨/李由
俳句例:61句目~
春雨や窓も一人に一ッづゝ/一茶
海はれて春雨けぶる林かな/白雄
傘さして引舟通春の雨/子規句集
柴漬の沈みもやらで春の雨/蕪村
万葉の恋の碑春の雨/吉田喜美子
庵崎や古きゆふべを春の雨/一茶
春雨や菜飯を好む女達/井上井月
春の雨段丘海に向ひたり/横光利一
不精さや掻き起されし春の雨/芭蕉
きのふ寝しさが山見へて春雨/一茶
ほうろくをかぶつて行や春雨/一茶
春雨や土の笑ひも野に余り/千代尼
タンカーも鳥も寝姿春の雨/渋谷道
春雨や大利根上る川蒸汽/川端龍子
春雨や庭より運ぶ赤き膳/田中冬二
春雨や心のまゝのひじ枕/井上井月
春の雨女の足が目の前を/右城暮石
春雨や心得顔の太郎冠者/子規句集
春雨や昼食堂の蓄音機/楠目橙黄子
手習本春雨けむる山里と/田中冬二
俳句例:81句目~
もえしさる草何々ぞ春の雨/千代尼
春雨や森の草木のけぶりたつ/蝶夢
春の雨会津木綿の匂ふ町/大津希水
春雨を思ひ出にして別哉/井上井月
春の雨三味線かゝる柱哉/松瀬青々
春雨や檻に寝ねたる大狸/正岡子規
春雨や浜名の蓋の雲林院/立花北枝
春雨や磯の纜いくまたぎ/西山泊雲
つくばひや灯の数尽す春の雨/忍月
春霖の闇へ大きく道曲る/栗田直美
日のあしを洗ふて伸せ春の雨/斗文
春雨や猶袖ぬらす山家集/中村史邦
春雨にぬれて岩が根瀞に入る/篠原
春雨に似気なき雷の響哉/高井几董
掌をかへして春の雨となる/日原傳
春雨や田蓑のしまの鯲売/中村史邦
春雨や畑に人の匂ひして/矢吹一幸
遊船の春雨雫いちどきに/高木晴子
春雨や白々けぶる堰の水/西山泊雲
しん~としんらん松の春の雨/一茶