俳句例:101句目~
春の風邪癒えて爪染む一事あり/鈴木真砂女
才なき日雇二日あまりを春の風邪/岩田昌寿
春の風邪誰も見舞つてくれぬなり/鈴木花蓑
春の風邪休耕の憂さかさなりしや/大熊輝一
春の風邪逢へば治ってしまふのに/葉狩淳子
春の風邪心地に崩れ坐しにけり/成瀬正とし
春風邪の情なしに似て黙りゐる/柴田白葉女
水族館の群見すぎて春の風邪/鍵和田ゆう子
春の風邪寝るほどもなく見舞はれて/上村占
知つてゐて通すわがまゝ春の風邪/吉田小幸
留守番を今日も引き受け春の風邪/影澤陽子
春の風邪ひいて物ごししとやかに/高濱年尾
疑ふ眸なすはよしなき春の風邪/稲垣きくの
春の風邪粧ひてこころ引き立たす/柴田奈美
いちにちをもたれてすごす春の風邪/塩見恵介
どんよりとまんばうのゐる春の風邪/奧坂まや
よくもなくわるくもなくて春の風邪/下田実花
アザレアの花に熱なし春の風邪/長谷川かな女
デートには行く気でをりぬ春の風邪/三村純也
いたはられさみしくなりぬ春の風邪/菖蒲あや
俳句例:121句目~
手伝ひの勝手わからず春の風邪/阿部みどり女
春の風邪素顔みせたくなきひと来/稲垣きくの
春の風邪みんな嫁ぎてしまいけり/熊谷美智子
春の風邪をんなの寝嵩あはれまる/稲垣きくの
うたかたの記を読み返す春の風邪/山内/年日子
水みればふしぶしにあり春の風邪/阿部みどり女
物の香のしそめて癒えぬ春の風邪/阿部みどり女
春の風邪無理から髪を結ひにけり/久保田万太郎
菓子ぶりの小さなおはぎ春の風邪/鍵和田ゆう子
春の風邪襖障子の隣人/『定本石橋秀野句文集』
春の風邪執念き脊子に喰ひ好み/『定本石橋秀野句文集』
春の風邪母子の夜のもの筋かひに/『定本石橋秀野句文集』