「春の星」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「春の星」について
【表記】春の星
【読み方】はるのほし
【ローマ字読み】harunohoshi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・春星(しゅんせい:shunsei)
・星朧(ほしおぼろ:hoshioboro)
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季節による分類
・「は」で始まる春の季語
・「春の天文」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
春の星を含む俳句例
柔肌に微光微音の春の星/原裕
獣らはみな北枕春の星/三好さら
裏街や天狼ももう春の星/原田喬
家々の託言睦言春の星/佐藤春夫
尖塔を囲む足場や春の星/日原傳
春の星松の闇より舳出づ/福田蓼汀
習慣で家へ帰りぬ春の星/池田澄子
傾けし古海図の中春の星/対馬康子
先生の星と語りし春の夜/菅原裕子
火の山の太き煙に春の星/高野素十
轟然と滝落つ春の星の中/岡田日郎
大粒の春の星なり風の上/矢島渚男
天上を闇の底とし春の星/藤浦昭代
一つはなれて黄金の春の星/原田喬
春の夜の星見えて来し旅心/稲畑汀子
春の星あるひは低く濤に濡れ/林蓬生
春の星とてみあげれば星寒し/辻桃子
春の星まてば雲間にけはふ星/原石鼎
春の星むかし西施がふくみ玉/中勘助
駈け降りて登る岬や春の星/五島高資
俳句例:21句目~
春の星古代に発ちし光かも/石河義介
春の星歩めば鈴の鳴る女/長谷川秋子
春の星母の家より吾が家路/高木晴子
午前三時の猫の感情春の星/岡あきら
浴身の熱がくもらす春の星/今瀬剛一
海上に一夜かぎりの春の星/和知喜八
海彦に応えてうるむ春の星/池田秀水
一夜泊つ燈台春の星のもと/下村槐太
海盤車禍の波に泪す春の星/石塚友二
科学する子供と観たる春の星/源一朝
綺羅星の中にわが星春の星/富安風生
美しき詩の想得たり春の星/羅蘇山人
道広し行手あなたに春の星/高木晴子
坂下りる前方はみな春の星/中西舗土
巡拝や島の窓辺の春の星/つじ加代子
閨を出でて限に春の星涼し/会津八一
旅さびし汐満つ音と春の星/中村汀女
のぼりゆく舷梯春の星すぐに/河野南畦
かの曲の耳にのこりて春の星/福田蓼汀
ぐつたりと鯛焼ぬくし春の星/西東三鬼
俳句例:41句目~
耳垢がほろほろと燃え春の星/坪内稔典
盛り場の裏くらがりに春の星/福田蓼汀
どの春の星にて妻子われを待つ/秋澤猛
春の星戦乱の世は過ぎにけり/飯田蛇笏
ひかるものは礁の海月春の星/加藤楸邨
春の星とどかぬものに憧れて/清水春生
吾に母来る日や春の星あまた/高橋笛美
月雲にかくれて居れば春の星/高木晴子
繋留のボート逃げ出す春の星/清水緑子
焼け跡や大方いでし春の星/榎本冬一郎
春の星かくて山家の匂ひそむ/中島月笠
枝々にうるみ初めたる春の星/高澤良一
ひよつとして不仕合せかも春の星/湯川雅
わが児みな大器と信じ春の星/村中千穂子
三田といへば慶応義塾春の星/深川正一郎
三田といへば慶應義塾春の星/深川正一郎
またゝけばまたゝき返す春の星/中村芳子
故友みな目を開きをり春の星/秋元不死男
春の星息吸ふために立ちどまる/今瀬剛一
海荒れて春の星ともなかりけり/相馬遷子
俳句例:61句目~
火に水をかぶせてふやす春の星/今瀬剛一
春の星ひとつふたつと銭湯へ/染谷はる子
父の忌の数ふるほどの春の星/百合山羽公
生きてゐるわれらに遠く春の星/稲畑汀子
晩年は湯ざめに似るか春の星/永井東門居
春の星さちうすき日の麺麭を焼く/三谷昭
草の家に祝ぎごとのあり春の星/福田蓼汀
つくねんと木馬よ春の星ともり/木下夕爾
あかつきの道目醒めよと秋の星/飯田龍太
遥かといふ言葉が好きよ春の星/高木晴子
ポケツトにレモンが一つ春の星/成瀬桜桃子
春の星死にそびれたるごとく燃ゆ/仙田洋子
春の星を落して夜半のかざしかな/夏目漱石
春の星またたきあひて近よらず/成瀬櫻桃子
春の星触れむばかりに屋根の獅子/新田祐久
春の星ひとつ潤めばみなうるむ/柴田白葉女
春の星とぼしけれどもさみしからず/高橋笛美
口ずさむ「また会ふ日まで」春の星/原田青児
美濃に勁く飛騨にやさしく春の星/加倉井秋を
プラネタリウム観て来て仰ぐ春の星/内藤吐天
俳句例:81句目~
過去の悲しみ一隅に在り春の星/阿部みどり女
すぎし日のかなしみ春の星に棒ぐ/阿部みどり女
背のショール廊に落として春の星/長谷川かな女
猫をたよりにするは隠せり春の星/長谷川かな女
粟島と佐渡のあわいになだれたる天ノ河とう春の星おぼろ/田井安曇