「春火鉢」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「春火鉢」について
【表記】春火鉢
【読み方】はるひばち
【ローマ字読み】haruhibachi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・春火桶(はるひおけ:haruhioke)
–
季節による分類
・「は」で始まる春の季語
・「春の生活」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
春火鉢を含む俳句例
姉妹思ひ同じく春火鉢/中村汀女
観心寺篠つく雨の春火鉢/山本洋子
坐りたる所に遠く春火桶/星野立子
追悼のよき人数の春火桶/大橋敦子
癌といふ病の前の春火桶/石川桂郎
春火鉢隔てて心通はしむ/石塚友二
御僧と先師を偲ぶ春火桶/山田弘子
露伴云ふ牢屋格子や春火鉢/加藤郁乎
月上げてこの家の対の春火桶/上村占
人の死の小さき活字春火鉢/中村汀女
柱あり春の火桶を離れ倚る/有馬籌子
わが心探る眼知りつ春火桶/吉屋信子
春火桶置いて昇殿控への間/吉田槻水
水桶の蕗のみどりや春火鉢/角川春樹
鎮魂の笙あたたむる春火桶/宮下翠舟
春火鉢夜も鳴りいる日本海/八木玉恵
毛氈の上に置かれて春火鉢/岩本栄子
旅にして歩危舟遊の春火桶/高濱年尾
旅疲れついうと~と春火桶/高濱年尾
昔二十軒店仲見世の春火桶/石川桂郎
俳句例:21句目~
春火桶伽藍の夕日見てゐたり/山田弘子
春火桶妻失格のなみだ煮ゆ/山田みづえ
われら永く悪友たりき春火鉢/高柳重信
春火桶引越やつれ鬚に埋め/石田あき子
炭をつぐ音のかそけき春火桶/後藤夜半
蘆花旧廬灰しろたへに春火桶/飯田蛇笏
春火鉢ひとつへだてて死者生者/井上雪
襖絵のうすれうすれし春火桶/山本洋子
春火鉢宇治の瀬音を座にたゝへ/菅裸馬
遠ざけて引寄せもする春火桶/高浜虚子
春火鉢首の手入れを怠りし/鳥居美智子
酔ふとなくはずむ咄や春火桶/西島麥南
若き妓の身の上ばなし春火鉢/前山松花
鉄斎を背の春火桶おちつけず/石川桂郎
左手を春の火桶にあづけ読む/星野立子
占ひて来し手をかざす春火桶/野崎静子
牡丹翁春の火鉢を泡いてをり/岸本尚毅
あればあるやうに囲みて春火鉢/橋本岱石
にごりえの表紙の熱き春火鉢/磯貝碧蹄館
唐子の絵踊りだしたる春火鉢/工藤眞智子
俳句例:41句目~
春火桶話なけれどなつかしく/小原菁々子
春火桶諳んずる句は前田普羅/星野麦丘人
雨降れば三保も寒しや春火桶/大橋越央子
春火鉢熱かりければ手をはなす/後藤夜半
春火鉢そなたは女将吾は比丘尼/高岡智照
おほいなる春の火桶に凭れけり/西島麥南
人数には足らねど春の火桶あり/高濱年尾
月斗はんの字は佳かりしと春火桶/角光雄
母の手のしわに触れたり春火桶/北村留蔵
火が灰をかづきゆく朱の春火桶/下村槐太
大いなる春の火桶にもたれけり/西島麦南
平らかにくづれて火あり春火桶/皆吉爽雨
春火桶かたみにふるゝ心かな/文箭もと女
灰冷えし春の火桶にもどりけり/西島麦南
この部屋に春の火桶のあれば寄る/上村占
帰国せし汝がためにとも春火桶/稲畑汀子
春火鉢うすあかりしてほむらあり/石原舟月
春火鉢へとパと開きたる掌かな/成瀬正とし
親捨てて子に捨てらるる春火鉢/松田ひろむ
いぶる炭とりのけ春の火桶かな/鈴木真砂女
俳句例:61句目~
手をあてし春の火桶に蒔絵あり/池内たけし
かざす手の病めば白さよ春火桶/野田きみ代
火のいろの和める春の火桶かな/高橋淡路女
寄れば又そのことに泣き春火桶/室町ひろ子
脇息といふじやまなもの春火桶/久保田万太郎
春火桶初七日の手をかざしけり/久保田万太郎
春火桶二輪の薔薇に似たる火を/長谷川かな女
わりなしや春の火桶の火をせゝり/大橋桜坡子
春火鉢かじかみし手をかざしけり/久保田万太郎
おなつ宗ておさだまだまず春火桶/久保田万太郎
春火桶たがひにうそをつきにけり/久保田万太郎
春火桶薬刻むと襖越し/『定本石橋秀野句文集』
春火桶伐折羅画像を師と見つゝ/『定本石橋秀野句文集』