「花茣蓙」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「花茣蓙」について
【表記】花茣蓙
【読み方】はなござ
【ローマ字読み】hanagoza
子季語・関連季語・傍題・類語など
・絵茣蓙(えござ:egoza)
・絵筵(えむしろ:emushiro)
・綾筵(あやむしろ:ayamushiro)
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季節による分類
・「は」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
花茣蓙を含む俳句例
花茣蓙を横抱きにして盆の町/綾子
老人の身持の話花茣蓙に/後藤夜半
花茣蓙の匂ひの中の誕生日/原田青児
花茣蓙を美しく敷く庵かな/山口青邨
花茣蓙の記憶の端に母坐る/白澤良子
花茣蓙や五十の膝を母の前/細川加賀
花茣蓙に息もらしたる魔法瓶/辻桃子
花茣蓙やごろりと雨の日曜日/湯川雅
花茣蓙に敬称略の人を待つ/加藤春子
花茣蓙に吾子抱かす母髪白く/有働亨
花茣蓙の二枚の人数川下り/清崎敏郎
花茣蓙は古れど思ひ出深き荘/星野椿
花茣蓙に病と遊ぶ思ひあり/村越化石
花茣蓙に痩身老いて恙なし/吉澤卯一
花茣蓙の走りひろがる匂ひかな/朱鳥
花茣蓙の上に置かれて通知表/小島健
花茣蓙に帰帆の船の光さす/大岳水一路
一枚の花茣蓙にかくわが老後/富安風生
雨蛙聞く花茣蓙に手をついて/松村蒼石
広げ売る花茣蓙川の光る辻/町田しげき
俳句例:21句目~
花茣蓙の藍ふかければ母沈む/中尾杏子
新しき花茣蓙匂ひ立つ夜なり/河野美奇
旅人として花茣蓙の端に座す/福永耕二
花茣蓙を鉄砲担ぎする日かな/高野万里
花茣蓙の色香の色に溺れけり/大石悦子
海嘯や花茣蓙に寝て日が余る/坪内稔典
船酔の眼に花茣蓙の花が燃ゆ/福永耕二
花茣蓙に子の友溢れ玩具溢れ/奈良文夫
花茣蓙に母の逗留はじまりし/関夫久子
花茣蓙を敷くは九谷や陶器市/大島民郎
花茣蓙や寝ねし重さに妻の胴/草間時彦
花茣蓙や奈落へ落ちし夢に覚め/檜紀代
花茣蓙に異郷の夢は見ずなりぬ/樋笠文
花茣蓙に山の風呼ぶ土産茶屋/飯田弘子
竪琴のごとく糸張り絵茣蓙織る/田村了咲
冷しうどん去年の花茣蓙青々と/渡邊水巴
山城の画人来りぬ花茣蓙に/長谷川かな女
愁ひつゝ坐る花茣蓙はなやかに/日野草城
捲けば掌に細き花茣蓙母は亡し/山中不艸
花茣蓙といふさむしろに漂へり/鈴木栄子
俳句例:41句目~
花茣蓙といふ一人部屋巻き納む/都筑智子
花茣蓙に坐れば母とあるごとし/八染藍子
花茣蓙に夢の短くきれにけり/鷲谷七菜子
花茣蓙に子等の落書消えぬまま/藤原照子
花茣蓙に寝て底知れぬ昼にあり/小澤克己
花茣蓙に寝て西鶴の忌なりけり/池田秀水
花茣蓙に穂田の蝗の来て青し/水原秋櫻子
花茣蓙に背骨のあたる日曜日/岩淵喜代子
花茣蓙に佛のごとく冷えしかな/牧野麦刃
花茣蓙に飾り気のなく暮しをり/辻本斐山
花茣蓙に餘す手足よ手術経て/石田あき子
花茣蓙の仮寝たのしむ帰国の子/和田祥子
花茣蓙の夢の短くきれにけり/鷲谷七菜子
花茣蓙の大きすぎたる社宅かな/小川竜雄
花茣蓙の寝窪に花のふたつみつ/福永耕二
花茣蓙の糸のほつれは許されて/後藤夜半
花茣蓙に見し夢にして継ぎ難し/齋藤愼爾
花茣蓙の花の暮色を座して待つ/福永耕二
花茣蓙の部屋に一夜の客となる/宮本とよ
花茣蓙を甥と分ちてビール酌む/遠藤梧逸
俳句例:61句目~
花茣蓙を外れし寝息をつづけをり/森澄雄
芳ばしき花茣蓙に寝て無名かな/出口善子
籠揚げて舟の花茣蓙ぬらしけり/大島民郎
また雨が降る花茣蓙の香なりけり/細川加賀
花茣蓙に母の眼鏡が置いてある/加倉井秋を
花茣蓙にまどろみて亡き人に逢ふ/桑野秀子
花茣蓙に寝て押花の出来るまで/村松ひろし
花茣蓙のふくるる風に座りけり/山下率賓子
花茣蓙の音のしづかになつてきし/岡本高明
花茣蓙に子よりも早く眠りけり/黒坂紫陽子
花茣蓙とともにどこかへ消えし夫/八染藍子
月の出の花茣蓙を捲く別れかな/豊長みのる
花茣蓙に沈みもあらず立ちたまふ/依光陽子
花茣蓙や三年敷きける花褪せて/水原秋櫻子
花茣蓙に一と日の疲れ乗せてをり/稲畑汀子
バンガロー絵茣蓙一枚敷けるのみ/桑田詠子
神前に固く巻きたる絵茣蓙かな/吉本伊智朗
花茣蓙や縮みきつたる祖母を置き/依光陽子
花茣蓙の藍はひとりの海に似て/つじ加代子
絵茣蓙古り人生もほぼ古りにけり/後藤夜半
俳句例:81句目~
花茣蓙を小舟のごとくひろげたる/狩野優子
花茣蓙を敷き口寄せのいたこかな/棚山波朗
花茣蓙やこの母祖母にすることなく/鈴木栄子
母のこゑ花茣蓙に捲きこみしまま/小檜山繁子
花茣蓙に母亡きのちのながきかな/渡邊千枝子
花茣蓙をよろこばれたるうれしさよ/富安風生
花茣蓙にひとのはかなくなりにけり/田中裕明
花茣蓙やひとり去りゆけば夕日去る/吉田鴻司
相見てののちの絵茣蓙の古りにけり/後藤夜半
花茣蓙の花のかたよる目覚めかな/片山由美子
絵茣蓙敷きあり見るにつけ思ふなり/高木晴子
花茣蓙に座つてゐて瘠せたぢやないか/大橋裸木
花茣蓙に脱いだるものを隠しけり/長谷川かな女
逢へば別るる人花茣蓙に招じけり/長谷川かな女
寝惜めば花茣蓙にかげる月ありし/長谷川零餘子
花茣蓙にわがぬくもりをうつしけり/阿部みどり女
花茣蓙にやまひおもりてゐると知らず/久保田万太郎