「裸」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「裸」について
【表記】裸
【読み方】はだか
【ローマ字読み】hadaka
子季語・関連季語・傍題・類語など
・素裸(すはだか:suhadaka)
・丸裸(まるはだか:maruhadaka)
・赤裸(あかはだか:akahadaka)
・真裸(まっぱだか:mappadaka)
・裸身(らしん:rashin)
・裸子(はだかご:hadakago)
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季節による分類
・「は」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
裸を含む俳句例
屹立の裸の山や赤光忌/林徹
簗番に裸電燈ぶらさがる/青波
芦煽つ風ゆ生れて裸太郎/林翔
真裸の百日紅が東大寺/原田喬
裸子よ汝も翳もつ肩の骨/林翔
暑けれど裸身は見ず船祭/来山
裸にはまだ衣更着の嵐哉/芭蕉
氾濫を感ずる裸女かな/松瀬青々
行水の裸に麦の夕日影/飯田蛇笏
子は裸父はててれで早苗舟/利牛
花木槿裸童のかざし哉/松尾芭蕉
漆かく裸男のあつさ哉/正岡子規
燈籠の火で飯をくふ裸かな/一茶
威し銃裸の山が谺返す/津田清子
蜩や裸肌近温泉窓辺/松根東洋城
肥後の子は裸跣に天が下/上村占
薫風や裸の上に松の影/子規句集
魂送る裸蝋燭風を曳き/西本一都
岩山に裸の櫟光りあふ/佐藤鬼房
馬裸人も裸や潮を浴び/長谷川櫂
俳句例:21句目~
川狩や頬被して真裸/新免一五坊
平日や百姓半裸で鯛洗う/山口伸
わが裸草木虫幽くあり/藤田湘子
灯籠の火で飯をくふ裸かな/一茶
遠里や茶の花の上の裸土蔵/一茶
桟橋に裸子水中翼船来る/杉本寛
ダンサーの裸の上の裘/高浜虚子
真裸の厚胸持てり飛舟/藤後左右
裸身に麻の匂ひやすまひ取/許六
百尺の裸岩より夏の海/高浜虚子
裸身に蚊屋の布目の月夜かな/日
裸身に神うつりませ夏神樂/蕪村
裸身に夜半の鐘や辻相撲/炭太祇
早鞆を今落す船舸子裸/高濱年尾
乳乞ひも交る裸の日野踊/鴨/水
裸寝の覚めて出歩く終戦日/林徹
昼の湯に裸の長し盆の雨/辻桃子
仏法を裸にしたる産湯かな/許六
雨降るに裸の柿の尉鶲/石塚友二
源平の祠の裸蟋蟀よ/佐々木六戈
俳句例:41句目~
八階の裸に赭く製鉄所/和知喜八
茶の花に裸の桐の高さかな/篠原
吹く風に細き裸の狐花/西東三鬼
腰蓑を著けし裸や夜水番/橋本鶏二
崖上の耕馬に海の裸の日/友岡子郷
川風や裸身寒う千鳥啼く/幸田露伴
老体に近づく裸にも産毛/高澤良一
青竹に裸か灯吊す夜の簗/棚山波朗
紫苑へと走る裸足の男たち/徳弘純
彫刻の森林浴の聖者/裸婦/倉本岬
素裸に電極五箇所心電図/高澤良一
回覧板持ち裸子の抱かれくる/篠原
楼門は傾ぎ遊び場裸の子/沢木欣一
槍投の裸像の空を若葉風/福本天心
鏡屋の前の鈴懸裸となる/内藤吐天
酒倉に裸参りの支度かな/田村了咲
郷に入り郷に従ふ裸かな/本宮鬼首
犇きて裸子が押す車椅子/小林康治
胸板に莨火うつる裸かな/橋本鶏二
道元を考へてゐる裸かな/伊藤白潮
俳句例:61句目~
うつしみの裸に焚ける門火哉/篠原
夏山に対ふ裸身に湯手拭/遠藤梧逸
チワン族の裸寄り来る竹筏/石寒太
蝋番の修羅の真裸堂押祭/勝又水仙
豆抜きし裸の畝と雲の畝/宮津昭彦
診察のそばかす裸裏返す/高澤良一
教職に倦む日曜の裸かな/那須淳男
裸身の色艶もなし紅の花/村上鬼城
蚊屋釣や夜学を好む真ッ裸/炭太祇
片言の裸子とをり巴里祭/堀口星眠
一群の裸子光り来たりけり/不破博
天心へ裸偽りなかりけり/渡辺恭子
父母のこと憶ひゐる裸かな/乾燕子
菖蒲湯に裸一貫の男見よ/尾崎紅葉
水光にけた~笑ふ裸かな/飯田蛇笏
水無月はいつか来にけん裸嶋/幽山
草賊大敗とかくる裸かな/尾崎迷堂
夕立の沖には裸船頭かな/藤野古白
昼門を鎖す残暑の裸かな/正岡子規
晩年の全景ならむ裸の木/倉橋羊村
俳句例:81句目~
熱鉄を摶てる裸や月を前/松村蒼石
鯊釣の子供の裸小さくて/岸本尚毅
高原の裸身青垣山よ見よ/山口誓子
裸子にかすかな熱の竈口/飯田龍太
少年の裸かがやく蛇苺/町田しげき
裸婦像の仰ぐ大樹に恋鴉/大島民郎
焼芋屋裸参りの後につき/佐藤淑子
刀匠の裸足でありく花杏/西本一都
朝の裸泉のごとし青年立つ/島津亮
裸の子顔一杯に笑ひをり/上野章子
混浴の飄と上がれる赤裸/高澤良一
博多人形裸になれず朧月/大石雄鬼
尼寺を裸に稲を刈り終る/右城暮石
裸にて焔と化すや曼珠沙華/中勘助
渓底の声々裸より発す/赤松けい子
村の子は丈夫で裸赤のまま/上村占
田が始り厨に裸足朝の妻/大熊輝一
浦安の子は裸なり蘆の花/高浜虚子
玉すだれ裸叩いてゐる男/高澤良一
行水や黍畑から裸にて/岡本癖三酔