「八十八夜」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「八十八夜」について
【表記】八十八夜
【読み方】はちじゅうはちや
【ローマ字読み】hachijuhachiya
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「は」で始まる春の季語
・「春の時候」を表す季語
・「晩春」に分類される季語
月ごとの分類
八十八夜を含む俳句例
白杖に八十八夜の杉雫/村越化石
額熱く八十八夜妻過す/清水基吉
筆一本洗ひ八十八夜かな/関戸靖子
病室に八十八夜冷ありし/松本圭二
干潟饐え八十八夜雨粗し/小林康治
霜害を恐れ八十八夜待つ/高濱虚子
音立てて八十八夜の山の水/桂信子
北国の春も八十八夜過ぐ/橋本春霞
一本の杖も八十八夜にて/高橋富里
犬猫に八十八夜の道濡れて/岸田稚
風の穴壁に八十八夜また/古舘曹人
八十八夜八方に水ひびき/廣瀬町子
八十八夜女を仮りの峠とす/鈴木明
半農の教師に八十八夜霜/福田蓼汀
八十八夜水田の上の大桜/岡本高明
楠の冷八十八夜足袋をはく/森澄雄
廃屋の島に八十八夜来る/田村恵子
子が使ふ八十八夜の文机/関戸靖子
紺屋町八十八夜の水流す/朝倉和江
聾盲の母の八十八夜来し/萩原麦草
俳句例:21句目~
種買うて母の八十八夜かな/山本輝明
夕虹のくきと八十八夜かな/石塚友二
八十八夜茶汲人形も襷せよ/高橋睦郎
息深く吸ひて八十八夜寒/片山由美子
にぎやかに八十八夜赤芽樫/古舘曹人
ほころびし白衣八十八夜なり/井上雪
もの刻む音の八十八夜かな/藤岡筑邨
八十八夜過ぎ山国の白豆腐/児玉南草
わが宿の八十八夜産湯焚く/木村蕪城
目覚めゐて八十八夜の北枕/手塚美佐
白骨を分けて八十八夜かな/横山笑子
磧湯の八十八夜星くらし/水原秋櫻子
八十八夜東京は灯を荒使い/宇咲冬男
抱き眠る八十八夜の火縄銃/久保純夫
山の風うまし八十八夜過ぐ/皆川白陀
病中のとある日八十八夜かな/斎藤玄
甘露煮の諸子や八十八夜寒/筒井恭子
灯して八十八夜夫と在り/石田あき子
桑の実の青き八十八夜かな/上田花勢
望郷の目覚む八十八夜かな/村越化石
俳句例:41句目~
味噌蔵の真闇八十八夜来る/西川織子
月下なるものに八十八夜かな/岸田稚
昼寝して天下八十八夜かな/大屋達治
山近くありて八十八夜かな/加藤真吾
箒の柄つめたき八十八夜かな/吉田明
水田辺の八十八夜星ゆたか/相馬遷子
水くもる八十八夜の榧の下/岡本高明
花何ぞ八十八夜の茶山過ぐ/角川源義
雨粒の甘き八十八夜かな/石田阿畏子
八十八夜海幸彦に魚群くる/佐野美智
海に降る雨の八十八夜かな/大石悦子
頬白は孵へり八十八夜かな/高橋馬相
満月の八十八夜家ぬち冷ゆ/山田文男
四日ひとり八十八夜机拭く/小池文子
鮭の子の下る八十八夜とか/高野素十
八十八夜深層水にかすかな味/田中英子
八十八夜畑のように眠らんか/鳴戸奈菜
八十八夜笊の莢豆茶に競ふ/百合山羽公
八十八夜老耄旅をこころざす/松村蒼石
八十八夜草の匂ひの猫を抱く/坂本敏子
俳句例:61句目~
八十八夜過ぎ山水の腰強し/櫛原希伊子
八十八夜鼠が白い米こぼす/磯貝碧蹄館
地に置かる梵鐘八十八夜寒/谷口いつ子
塩利かせ八十八夜の飯むすぶ/山本馬句
小屋を組む磧八十八夜かな/猪俣千代子
山の湯に膝抱き八十八夜かな/木内彰志
八十八夜骨壷によき益子焼/鳥居美智子
山裾の井を汲む八十八夜かな/岡井省二
昨夜月夜八十八夜曇りけり/篠田悌二郎
桑に言ふ八十八夜までの霜/長谷川素逝
歯にしみる風の八十八夜かな/手塚美佐
母に焚く八十八夜の昼湯かな/館岡沙緻
母ねむり八十八夜月まろし/古賀まり子
沼にゐて八十八夜の猫長し/小島千架子
泊りたる祖谷の八十八夜の炉/藤岡あき
熟睡して八十八夜かがやけり/相馬遷子
爺ヶ岳八十八夜の月くもる/服部鹿頭矢
琴立てて八十八夜雨に過ぐ/神尾久美子
きらきらと八十八夜の雨墓に/石田波郷
しら藤の見ゆる八十八夜かな/松瀬青々
俳句例:81句目~
すごく青い八十八夜妻病めり/佐藤鬼房
もの種や八十八夜はまだ遠し/高野素十
茅野の花紅きは八十八夜なり/角川源義
茶畑のうねりも八十八夜かな/森田虚逸
萎れ苗いただく八十八夜かな/永田耕衣
赤煉瓦うれしき八十八夜来る/田中裕明
逢ひに行く八十八夜の雨の坂/藤田湘子
七十八や八十八夜なげきの霜/井原西鶴
児を持たず八十八夜寒み寝る/石橋秀野
音たてて八十八夜の背戸の水/影島智子
八十七夜八十八夜きのふけふ/倉田紘文
八十八夜すべての波が陸めざす/原田喬
八十八夜の笊市に買ふ籠一つ/久保乙秋
二夜三夜過ぎし八十八夜かな/草間時彦
馬の仔に八十八夜の寝藁足す/三橋迪子
八十八夜母逝きてより義姉残る/中拓夫
鳴りひそむ月の八十八夜汐/下村ひろし
麦の穂のあをき八十八夜かな/高橋馬相
子を産まぬ八十八夜の唇づけす/松本恭子
手で割れる八十八夜の卵かな/吉田さかえ