俳句例:101句目~
ひらがなの母にまゐらす夏書かな/河野静雲
ともしびに日の射しをりて夏書かな/藤田湘子
たもとして払ふ夏書の机かな/蕪村「新花摘」
ががんぼに夏書の膝を折りたたむ/石田あき子
菱の葉へさざなみ寄れる夏書かな/藤田あけ烏
手のひらの奥のいたみも夏書あと/赤松ケイ子
をしみなく夏書の墨のまがりける/阿波野青畝
摩の一字書きてつまづく夏経かな/曾祇もと子
粥煮ゆるまでがわが刻夏書きかな/加藤知世子
一字づつ緊張ほぐれきし夏書/岡安仁義「磴高し
月と日は男の手なる夏書きかな/太祇「俳諧新選」
百日の鯉きる水に夏書かな/大江丸「はいかい袋」
夏書して芋銭の文字にあそびけり/榎本好宏「四序」
たらちねのゆるさぬ恋の夏書かな/几董「晋明集五稿」
草々のけむれるなかの夏書かな/中西夕紀「さねさし」
夏書すやねみだれ髪をかき上げて/蝶夢「草根発句集」