俳句例:101句目～
納豆汁冬嶺孤松秀でたり/佐藤飯人
雪嶺を若き一日の標とす/藤田湘子
雪嶺を点じ山々眠りけり/大野林火
雪嶺を支へ百日百夜の湖/伊藤敬子
冬山や寺に薪割る奥は雪/飯田蛇笏
東へ低き冬山手紙待つ/馬場移公子
男寝て枯山へ息通はする/伊藤白潮
父の墓枯山けさは雪の山/中山純子
泣くごとく渓流に燈を冬山家/林火
泣虫の妻に一日づつの冬/山本歩禅
雪嶺を大障壁に天守閣/瀧澤伊代次
めぐり来る雨に音なし冬の山/蕪村
枯山に見比べて買ふ鳩の笛/桂信子
遠雪嶺黒部に紅葉下りて来し/源義
雪沓でゆく雪山の発電所/和知喜八
遠雪嶺石楠花は紅こぼれむと/林翔
一髪のごとくに冬の山遠く/日原傳
雪嶺や名もまぶしくて初鴉/森澄雄
雪嶺や口を拭ひて飯の後/岸本尚毅
冬山の漢はっしと楔打つ/佐藤吟秋
俳句例:121句目～
雪嶺に発し海まで短か川/山口誓子
雪嶺へ貨物車長き列と影/右城暮石
ふところに一枚の櫛雪山へ/岡本眸
湖眠る雪嶺深く映すべく/西村和子
雪嶺へ戸口のくらさ猟夫住む/星眠
文江忌の雪嶺の蒼心にす/加藤耕子
冬の山から巨人症の薬売り/仁平勝
雪嶺は天の奥なり目白籠/宇佐美目
雪嶺の麓に迫る若葉かな/野村泊月
月稚し雪山照らす力なし/岡田日郎
朝焼けの雪山負へる町を過ぐ/篠原
雪嶺に向ひて妻と洗面す/椎橋清翠
冬山に入る青竹の籬より/山本洋子
雪嶺の風繭玉に遊ぶかな/村越化石
冬の山より人出て昼食す/桑原三郎
雪山の端が輝き奴凧/阿部みどり女
天帝を追ひ傾ける一雪嶺/岡田日郎
雪山は晴れて港の船往来/高濱年尾
雪嶺の襞亀裂せり父の鬱/齋藤愼爾
遠天に雪山ほのと秋の暮/相馬遷子
俳句例:141句目～
銀婚の旅雪山の虹に入り/影島智子
冬山の犬返しより犬帰る/山口誓子
雪嶺の茜や詩論白熱す/加藤知世子
雪嶺の肩に雲燃え樺の花/西村公鳳
雛買うて杣雪山へ帰りけり/原石鼎
雪嶺の照りをうながす除夜詣/原裕
枯山に生れて滝の白秀づ/伊藤京子
雪山にひとりの眠り沈みゆく/林翔
雪嶺の正装君を送るなり/福永耕二
枯山に日ざすやいなや紫無し/篠原
雪山に大汗はばむしまき哉/中勘助
雪嶺の尚彼方なる一雪嶺/右城暮石
雪山に林相白を以て描き/福田蓼汀
雪山に汝を思へば海蒼し/相馬遷子
雪山に白樺の白やや汚れ/福田蓼汀
雪山に雪降り重ね粥柱/陣内イサ子
雪嶺の佐渡の吹つ飛ぶ大嚏/小島健
短日や雪嶺天に遺されて/小野宏文
雪山に頬削り来し男なり/野澤節子
雪嶺の並ぶかぎりの青霞/岡田日郎
俳句例:161句目～
翁舞国栖の雪山塀をなす/津田清子
冬山を仰ぐ身ふかく絹の紐/岡本眸
畦青み雪嶺しざり秩父別/高澤良一
冬山を叩くが如く板打つ/杉浦冷石
雪嶺に面をあげて卒業歌/岩崎健一
北面の芒は刈らず冬の山/籾山柑子
旅人に雪嶺翼張りにけり/大橋敦子
雪山の夜も聳えをり近松忌/森澄雄
切炬燵夜も八方に雪嶺立つ/森澄雄
雪山の奥に雪山白子汁/長田喜代子
楊萌ゆ雪嶺天にねむれども/有働亨
冬山の襞に漂ふ嵐気かな/西山泊雲
枯山をみなもと鴉争へり/村越化石
枯山をきて頂上の平らな水/桂信子
温泉の色硝子ごし雪の山/京極杞陽
灰色の夜空の下の雪の山/高木晴子
炉に近き窓あり雪の山見ゆる/紅緑
炭色の夜空の下の雪の山/高木晴子
雪の山三角形をただ畳む/橋本鶏二
冬山中煙の束の炎の初め/野澤節子
俳句例:181句目～
山枯るる音なき音の充満す/岡本眸
山枯れて言葉のごとく水動く/龍太
撃たれ落つ鳥美しや山枯木/原石鼎
柴舟に山枯色や小六月/東洋城千句
冬山の麓にならぶ喇嘛八寺/遠藤梧逸
雪山をまぢかに見つゝ通勤す/上村占
冬山やあけくれ通ふ背戸の納屋/石鼎
晩年の道行きどまる遠雪嶺/木村敏男
冬山やどこまで登る郵便夫/渡邊水巴
冬山やましらの通ひ蔓橋/松根東洋城
鷲飛びし少年の日よ雪嶺よ/多田裕計
雪嶺と倒影の間の唐辛子/中戸川朝人
刻々と雪嶺午後の影きざむ/相馬遷子
冬山や太鼓叩いて登りくる/野村泊月
冬山や岩のおもての観世音/石橋秀野
冬山や帽子をはらう栂の枝/前田普羅
冬山や影を落として通る雲/島田青峰
冬山や径あつまりて一と平/前田普羅
雪嶺と交歓に日の短かさよ/大島民郎
冬山や我禅定の岩のどれ/松根東洋城
