「冬の山」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「冬の山」について
【表記】冬の山
【読み方】ふゆのやま
【ローマ字読み】fuyunoyama
子季語・関連季語・傍題・類語など
・冬山(ふゆやま:fuyuyama)
・雪嶺(せつれい:setsurei)
・枯山(かれやま:kareyama)
・冬山路(ふゆやまじ:fuyuyamaji)
・冬山家(ふゆやまが:fuyuyamaga)
・冬山肌(ふゆやまはだ:fuyuyamahada)
・冬嶺(ふゆみね:fuyumine)
・冬登山(ふゆとざん:fuyutozan)
–
季節による分類
・「ふ」で始まる冬の季語
・「冬の地理」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
冬の山を含む俳句例
雪山の照り楪も橙も/森澄雄
燕来る遠雪嶺の光負ひ/林翔
雪嶺の朝な影濃き園児服/原裕
ぐるりとまはつて枯山/山頭火
冬山の径落ちたる庇かな/兜羅
冬山や木の根岩根の願狐/篠原
雪山の雪の立錐皆檜/橋本鶏二
雪山の大白妙に初烏/田村木国
雪の山低きは花の梨畑/森鴎外
水を濾す鱒の艶肌冬山中/原裕
鵜の糞の白き梢や冬の山/素牛
獣干す干物並に冬山家/森田峠
男山酒造雪山正面に/高澤良一
銃声の谺雪山無一物/長嶺千晶
枯山や昼三日月と凧/増田龍雨
雪嶺の浮きて流れず茜空/原裕
冬山や峠路別に樵り道/尾崎迷堂
冬山路一石一宇供養塔/福田蓼汀
冬山や松風海へ吹落す/村上鬼城
一夜寝て一夜齢とる冬の山/蓼汀
俳句例:21句目~
雪嶺晴れ畦の水仙風のなか/欣一
中腹に道の岐れる冬の山/桂信子
大宿坊大蔵王堂冬の山/高野素十
大木の伐り倒しあり冬の山/梧月
唇の言葉の下の冬の山/山西雅子
雪山へ眼遊ばす絵付工/羽部洞然
雪山の荒膚仰ぐ針供養/堀口星眠
枯山を越え枯山に入りゆく/篠原
戸隠へゆく道のある冬の山/朱鳥
冬山へ斧忘れ来し夜の笑話/原裕
斧の音深くも入らず冬の山/事紅
雲上にまだ雪嶺や百千鳥/森澄雄
木を倒す音静まりし冬の山/立子
冬山の石仏群の崩壊す/高野素十
頂上に蛇巻き冬の山乾く/飴山實
枯山のうすずみ色は唇に/斎藤玄
只眠るなり雪嶺の前の山/原田喬
初蝶や雪山恍と雲の上/松村蒼石
山開雪山讃歌もて了る/渡辺立男
谷展け雪嶺右へ右へ濃し/太田嗟
俳句例:41句目~
梟に雪山星を加へけり/山下竹揺
産院を繞る雪山四温光/飯田蛇笏
厩出し牛に雪嶺蜜のごと/森澄雄
雪嶺の上の青空機始め/澤木欣一
雪嶺を据ゑ一故旧なき故郷/林翔
皮盗まれて白樺の氷き冬/山口速
雪嶺や昼夜の膳に鱈鰊/岸本尚毅
白雲の中白光の一雪嶺/岡田日郎
雪嶺に鷹の流るる初御空/森澄雄
雪嶺を西に鞴の太き息/成田千空
雪山の堂断食の僧一人/伊藤柏翠
雪嶺も一憂一喜雲移る/堀口星眠
忌に集ふ冬山青き水おとす/原裕
元日や比枝も愛宕も雪の山/虚子
年つまる鼻先にすぐ雪の山/澄雄
愛欲に斑雪の山の遠静か/三谷昭
雪山の初明りして狐罠/小坂順子
冬山を仰ぎ通しの項かな/草間時彦
雪嶺に向きて雪解の簷しづく/素逝
洗面の水の痛さの遠雪嶺/石川桂郎
俳句例:61句目~
焼鏝の煙があまし冬の山/清水刀谷
冬山のいろくづに似し光かな/原裕
枯山や振り返るとき尉鶲/草間時彦
傾ける冬嶺無明の一部落/草間時彦
冬山のさび藍色のこひしさに/綾子
窯跡の緋の陶片や冬の山/小川軽舟
枯山へ走る火襷くづれ窯/伊藤敬子
雪嶺見ゆとて傾ぎゆく一車輛/原裕
冬山の頂きのつと旭かな/西山泊雲
果しなき枯野枯山石鼎忌/原コウ子
表彰状なげしに並べ冬の山/辻桃子
言霊を体温とする冬の山/前田秀子
暮るる海枯山かけて大雨あり/舟月
谷底に吊橋かけぬ冬の山/前田普羅
冬山を窓に心の旅路かな/京極杞陽
冬山へ坐り直して石鼎忌/酒井裕子
雪嶺に産声あげて水芭蕉/渡辺和子
閉門の時来て重し冬の山/和田悟朗
雪山を灼く月光に馬睡る/飯田龍太
冬山の夕べを岩と分ちけり/徳弘純
俳句例:81句目~
鯉喰つて目のあそびゆく冬の山/玄
冬山やどこ迄登る郵便夫/渡辺水巴
枯山の暖色に馴れ狎れし愛/松本進
冬苺引けば枯山やや動く/野沢節子
枯山の奥なまなまと滝一筋/桂信子
雪嶺と色同じくて霞立つ/相馬遷子
雪山を容れて伽藍の大庇/伊藤柏翠
全貌を見せぬ雪嶺白皚々/右城暮石
枯山の上の荒海航を絶え/石原舟月
雪山や駅には駅の煙立ち/京極杞陽
人焼く煙突を見せて冬山/住宅顕信
水鳥に凍てはとほらず逆雪嶺/原裕
冬山とおなじの黝の雲が増す/篠原
雪山を流れて水の炎となれる/原裕
南北の雪嶺太陽西へ行く/津田清子
句縁とは同行五人冬山路/西村和子
雪嶺下小橋つくろふ雪まみれ/林翔
大玻璃戸冬山収め余りあり/上野泰
山科の冬山ちかき庵かな/吉田ひで
冬山や鉈音よりも谺澄み/羽部洞然