俳句例:101句目~
森ひとつひとつに寒暮湧くごとく/村越化石
なにもゐぬ洲に汐充ちて寒暮かな/松村蒼石
海老跳ねて寒暮の厨かがやかす/石田あき子
人買い舟消えた寒暮とおなじ寒暮/伊丹公子
火に乗せし菊に生気の寒暮かな/大木あまり
鯉食べて眼の効いてきし寒暮かな/大石悦子
遠山のまだ見えてゐる寒暮かな/片山由美子
火遊びの子らがまだゐて冬の暮/上田五千石
目つむれば何も見えずよ冬の暮/今井杏太郎
寒暮濃くなりて煮つまる鯛の骨/佐野まもる
冬の暮灯さねば世に無きごとし/野見山朱鳥
頭を垂れてゐるが似合ふや冬の暮/草間時彦
家を出て寒暮のわが家かへりみる/堀井春一郎
サイレンがつどふ寒暮の墓地の空/小川奴々子
足踏みして地の音をきく冬夕/冬の土宮林菫哉
アフリカ象の耳のうしろの寒暮かな/伊藤いと子
佳きことばもて訪いくる寒暮遠い汽笛/寺田京子