「冬の朝」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「冬の朝」について
【表記】冬の朝
【読み方】ふゆのあさ
【ローマ字読み】fuyunoasa
子季語・関連季語・傍題・類語など
・冬曙(ふゆあけぼの:fuyuakebono)
・寒暁(かんぎょう:kangyo)
・冬暁(ふゆあかつき:fuyuakatsuki)
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季節による分類
・「ふ」で始まる冬の季語
・「冬の時候」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
冬の朝を含む俳句例
凡鐘の遠き余韻の冬の朝/枌御許
新聞と足音配る冬の朝/園田信夫
線香の函美しき冬の朝/宇佐美魚目
寒暁や嘶きこそは昇る声/香西照雄
烏ばかり静かにならぬ冬の朝/曽良
父の忌の寒曉ぬつと桜島/奈良文夫
寒暁の小塩いただき寺朝餉/松本旭
冬曙古傷が刻きざみそむ/鈴木詮子
冬曙岩戸開きの終の笛/甲斐すず江
鳥ばかり静かにならぬ冬の朝/曽良
寒暁の音なき母を雫とす/栗林千津
地震偲ぶ鐘殷々と寒の暁/久保曲浦
大声をひとこゑ発す冬暁/小池文子
冬暁の雲を映しぬ高瀬川/宮武寒々
寒暁の島一峯をなせりけり/古舘曹人
冬の朝病者が残す魚の骨/田川飛旅子
寒暁や神の一撃もて明くる/和田悟朗
わかち持つ合鍵三ッ冬の朝/高橋笛美
寒曉の青年の死に隣りせり/山本歩禅
ビルの影踏絵の如し冬の朝/落合冬至
俳句例:21句目~
寒曉を聞きしに勝る利尿剤/高澤良一
水底で時計が揺れる冬の朝/対馬康子
赤松に寒暁の日を刻みたる/西村和子
冬の朝道々こぼす手桶の水/杉田久女
冬暁に父来て生前より多弁/野澤節子
待ちに待つ回復室の寒の暁/辻田克巳
冬暁や紙鶴紙に戻りゆく/宇多喜代子
冬曙ふうてん犬を愛しをり/山田素雁
冬曙六人の病床うかびそむ/石田波郷
冬曙白紙明りといふべかり/中村明子
寒暁といふ刻過ぎて海青し/谷野予志
寒暁や死者よりはづす管の数/小島照子
深みどり汲めば色なし冬の朝/朝木奏鳳
寒暁や素わらじで僧岩を踏む/熊木和子
母病むや寒暁の櫓がぎいぎいと/中拓夫
昆布の村寒暁マッチ明りほど/鷹羽狩行
冬の朝礼単語並べてゐるごとし/平瀬元
冬の朝足なへ足をもてあます/川村千英
冬暁の岩に対ひて人彳てり/石橋辰之助
寒暁や母に添寝のうすあかり/野澤節子
俳句例:41句目~
寒暁や生きてゐし声身を出づる/桂信子
寒暁をはるかな貨車の長響き/野村秋介
寒暁の歩み息継ぎしてただす/深谷雄大
冬暁の鵙聞く顔もやつれしか/結城昌治
能登島に残る灯のあり冬の朝/清水雄峯
菜園や冬の朝タのさまにあり/尾崎迷堂
近ければ濃き山なみや冬の朝/小杉余子
寒暁やおらおらでしとりえぐも/平井照敏
あきらかに寒曉はあり初児生る/中村明子
寒暁やがさりごそりと駅へ行く/峠谷清広
冬曉けの岩に對いて人彳てり/石橋辰之助
ちからある冬曙の薔薇ふくらむ/野澤節子
犬老いて散歩をきらふ冬の朝/萩原まさえ
寒暁の椅子寝の父に看取らるる/朝倉和江
寒暁を起きて一家の火をつくる/阿部完市
寒曉のまぎれなき死を囲みけり/荒井正隆
覚悟の中に冬の朝死も入れる/田川飛旅子
寒暁の明るさわが眼病むごとく/山崎為人
寒暁の鶴啼くこだまかけめぐる/貞吉直子
オリオンのかたむき消えぬ冬の朝/稲畑汀子
俳句例:61句目~
寒暁のあたたかき子を目覚めさせ/坂本宮尾
おらが鍬ここにかゞやく冬の朝/冬の土宮林菫哉
井戸辺の寒暁米とぐ形を妻に真似て/磯貝碧蹄館
寒の暁ツイーンツイーンと子の寝息/中村草田男
未知のふかさへ寒暁みひらく子の瞳/赤城さかえ句集