「冬籠」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「冬籠」について
【表記】冬籠
【読み方】ふゆごもり
【ローマ字読み】fuyugomori
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「ふ」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
冬籠を含む俳句例
天井に取付蝿や冬籠/柴道
冬籠第五句集へ志/上野泰
雪国へ帰る人あり冬籠/田福
冬籠燈光虱の眼を射る/蕪村
炭はねて心動きぬ冬籠/成美
人形の髪梳り冬籠/後藤夜半
屑籠に抛る紙屑冬籠/上野泰
冬籠伴侶の如く文机/上野泰
座布団の直下南米冬籠/上野泰
鷹番や小屋の住居も冬籠/笑工
幸運な一老人や冬籠/岩木躑躅
命二つ互に恃み冬籠/富安風生
古寺や狐顔出す冬籠/中川四明
薪をわる妹一人冬籠/正岡子規
冬籠伴侶の如く机あり/上野泰
燃料の安算段や冬籠/河野静雲
瓦斯つける袂の燐寸冬籠/宵曲
冬籠鼓の筒のほこりかな/木導
冬籠観音経を襖かな/角田竹冷
冬籠花鳥風月侍らしめ/上野泰
俳句例:21句目~
三月に南米にゆく冬籠/上野泰
三軒家生死もありて冬籠/鬼城
冬ごもる合掌造むき~に/素逝
人を吐く息を習はむ冬籠/千那
大壺の肩の埃や冬籠/河野静雲
火襷の備前を置けり冬籠/澄雄
来信へ直ぐに返信冬籠/上野泰
心消し心灯して冬籠/後藤夜半
冬籠五六椀を人の数/高橋睦郎
浪の雪戸板びらめや冬籠/言水
冬籠素槍一本具足箱/中村史邦
旅をする春の思案や冬籠/正巴
鍋敷に山家集あり冬籠り/蕪村
家の犬庭駆け廻り冬籠/上野泰
冬籠る人の灯や東山/会津八一
冬籠弟は無口にて候/夏目漱石
金屏の松の古さよ冬籠り/芭蕉
夜を好む吾に癖あり冬籠/定雅
物捜がす机の下や冬籠/会津八一
戸に犬の寐がへる音や冬籠/蕪村
俳句例:41句目~
あたらしき茶袋ひとつ冬籠/荷号
いつまでも女嫌ひぞ冬籠/炭太祇
戸明くれば東街道や冬籠り/几董
油売も来ぬ屈詫や冬籠/高田蝶衣
老僧の爪の長さよ冬籠/子規句集
冬籠家動かさん謀りごと/上野泰
冬籠小猫も無事で罷りある/漱石
埃じむ眼鏡磨きて冬籠/高澤良一
壁張るや古新聞に冬籠/寺田寅彦
壺のごと胸中深め冬籠/村越化石
朱硯へ花瓶の水や冬籠/会津八一
冬籠少しの用に長電話/三木由美
此の里は山を四面や冬籠り/支考
冬籠山門の牒句会かな/尾崎迷堂
大和糊少なくなりぬ冬籠/上野泰
貧書斎志功菩薩も冬ごもり/青畝
心ゆく絵紙屏風や冬籠/会津八一
竹林の奥に尼さま冬籠/鈴村寿満
冬籠日のくたびれる明り窓/杉風
思ひごと必ず夢み冬籠/岩崎照子
俳句例:61句目~
眼がつねに涙にうるみ冬籠/林火
冬籠背筋正して鯉の陣/香西照雄
大空と大海の辺に冬籠る/原石鼎
冬籠薬袋を身ほとりに/高澤良一
増水や岨の立木の冬ごもり/洞両
冬籠貧乏神と共にかな/村山古郷
昼も酒夜も酒なる冬籠/小澤碧童
成田詣で終りし母の冬籠/杉本寛
戦へる闇と光や冬籠/野見山朱鳥
鹿喰へと人は言ふなり冬籠/道立
われに来る夢美しき冬籠/森澄雄
用のある時立ち上り冬籠/上野泰
飲食をせぬ妻とゐて冬籠/森澄雄
頼りとす小机一つ冬籠/郷田潭水
一生を勤勉に生き冬籠/黒川花鳩
青山の学校にあり冬籠/子規句集
人形に愛憎すこし冬籠/後藤夜半
人来れば雨戸を開けて冬籠/暮石
今去りし屑屋の素性冬籠/上野泰
今日の客娘盛りの冬籠/後藤夜半
俳句例:81句目~
死神を召使ひをり冬籠/小林康治
仏書より好きな俳書や冬籠/月尚
隣人の深き構へや冬籠/石塚友二
俎の荒れに水かけ冬籠/西山常好
鉢に見る梅の莟や冬籠/井上井月
金泥の額の古びや冬籠/会津八一
冬籠その一日の達磨の忌/森澄雄
母に客我にも客や冬籠/星野立子
組紐の低きへら音冬籠/山下美典
道元のこゑなきこゑに冬籠/原裕
冬籠り米つく音を算へけり/青蘿
冬籠り豁山人と改めて/会津八一
濤音のある夜なき夜も冬籠/蓼汀
身に添てさび行壁や冬籠/炭太祇
起り来る事に即して冬籠/上野泰
蔵幅の数かけ盡す冬籠/会津八一
色糸の赤増えてゐる冬籠/井上雪
巻紙の落書あきぬ冬籠/会津八一
席題を貼りつ放しや冬籠/寸七翁
晩年の塵すこし立て冬籠/小林康治